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Written by へっぽこ
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そんなわけで。
長い長い悪夢は終わりを告げて、深い深い眠りから目を覚ました僕なのだった。
時計を見れば午前9時。仕事に行くには遅刻である。
とはいえここは病室なので。見渡せばとても雑多な感じの。
どうも大部屋らしく、ベッドの周りはぐるりとカーテンで仕切られている。

すぐお隣のベッドでは、親愛なる誰かが寝ている。
ぐおお、と、マジかと思うようないびきが現在進行形で鳴り響いている。
やれやれ、これではおちおち二度寝もできやしない。と、身体を起こす僕であるが。
「いてて」
それだけでぎしぎし軋む。手と足と首と、体中。
特にお腹と胸の痛みはなかなかだった。
刺すような痛み。ズキズキと痛む。

それでも。
傷はもうふさいであるのだ。
だから後は我慢するだけ。
そんなわけで僕は、痛みはこらえてぐっと伸びを一つ。
身体のあちこちに血がじわーっと巡る実感がそこにはあった。
ふと視線を落してみれば、床にスリッパが揃えてあって。
「ああ、ありがとう」
僕は、誰かが用意したであろうそのスリッパを履いて立ちあがった。

カーテンをなるべくそっと開けると、そこには僕のほかに7つのベッドがあって。全てカーテンで仕切られている。
僕はそんなカーテンの降りた、それらベッドをすり抜けて、病室の扉へとゆっくり歩を進めた。――と。
「おはよ」
静かな声音で声をかけられた。
とってもたおやかな物腰柔らかい癒しボイス。
個人的イメージにはレモンライムとかそんな清涼感が先行する。
うん。
「おはよう」
僕は答えた。
それはメイさんだった。

カーテンの隙間から、顔だけを覗かせて。
ベッドの設置向き的には頭の向きは逆だと思うが、ともかくベッドの上に寝転んだままのようで。
「お久しぶりです。メイさん」
声をかける。静かに。
ぐおおと響く、誰かのいびき。
「ひさし、ぶり?」
言いながらメイさんは小首をかしげて、
「先週会ったばかりだわ」
そう、笑った。ころころ笑った。

ぐおお。ぐおお、と、いびきが病室を支配する。
「まったくもーダン君たらほんっと、このいびきはどーかと思う」
どーかと思う。
「えっと。起こします?」
という僕の提案にメイさんは首をふるふる。
「うんん。それはいいの。寝かせてあげましょ。
 だって、ほら。ダン君だもん。起きたらもっとうるさいわ?」
ごろごろベッドを転げるメイさんは逆さになってそう言った。
「あはは、それもそうですね」
「あ、笑ったね。はい、笑った笑った。」
そう言って、メイさんも笑顔になって。
逆さのまま。僕を、じっと見つめてくる。

「もう、大丈夫だよね?」
「あ。うん。大丈夫、です。」
「そ。」
メイさんは視線を外して、ごろりとうつ伏せに戻り、ふあっとあくびを一つ。
「さて、と。それじゃ、私はもうちょっと寝ていくから、君はそのへん散歩してくるといいよ」
「はい」
と僕。それから。
「メイさん」
「なに?」
「ありがとうございました」
「ん!」
メイさんは手をふりふりと振って、カーテンの向こうへ引っ込んでいった。

思い知った。気が付いた。理解できた。―――なんでもいい。
とにかく僕は。今病室にいて、立っています。地に足つけて。
生きています。現実を。そう、実感した。
その全てはかけがえない友のおかげだ。

そうして僕は病室を後にした。

     /

そうして僕は廊下をあてどもなく歩く。

ぺたぺたとスリッパが鳴く。
ふと。
階段脇のスペースの、自販機とベンチの並ぶ休憩所に立ち寄ってみれば、そこには白衣を着たお姉さんがいて、思い切り自販機を蹴飛ばしていた。
「くそ! お湯じゃねかコレ!」
と、白衣のお姉さんはやかましく、「あー百円損した!」とのたまうと、手をポケットにつっこんだ。
まさぐりまさぐり、じゃらじゃらと小銭を吟味。後、取り出したコインを一つ隣の自販機に投入しボタンを押す。
自販機は“あと30秒”の文字を点灯し、おそらくはコーヒーだろう挽き立てのそれを準備する。
その間、白衣のお姉さんは手持ちの、機械の故障で出てきたのだろう白湯の入ったカップを、中身をうがい場に捨ててから、脇のくずかごへとポイ捨てした。
と、ここで僕と目が合った。

ものすごいクマ。目つきが著しく悪い、超怖い顔。
ポニーテールの白衣眼鏡で三白眼甚だしい、横柄な態度とは裏腹に背は低く、線の細い謎の女性。
くぁっとあくびをし、口を歪ますお姉さん。
とりあえず会釈するも、はんと鼻を鳴らされ、しかとされる始末。
しっし、と手を振られたので、僕はその場を後にする。

そして階段を上りかけたその時、
「まっず! 死ね!」
聞こえてきたのはそんな悪態と、ガツンと機械を蹴る音だった。
……今思い出した。
彼女は、いつか喫茶店でダンを引きずって行ったあの人だ。
「がんばれ、ダン」
ふいにそんな応援が口をついた僕なのだった。

そして僕は階段を上る。

     /

そして僕は屋上へとやってきた。

何となくお日様に当たりたくて、ついついやってきてしまった。
はてさてそこにはたくさんの洗濯竿が掲げてあって、そこに掛けられたいっぱいのシーツが風にはためいている。
いい風、いいお日様、いい空気。
深呼吸するだけでも気分がいい。
と、そこに見知った顔が一人。
洗濯かごを傍らに、シーツを干そうと背伸びしている彼女と視線がかち合う。

「え?え、え。まじでまじで?」と、その人は呟き。
「あわわわ、よいしょー!」
とりあえずあわてながらも、手に持っていたシーツはしっかりと物干し竿に設置する仕事に律儀なその人は、それから。
「おおおおおおお、おきたっすか!店長! ぎゅぅ」
むちゃくちゃダッシュしてきた。ダッシュしてきて、飛びつかれた。
やれやれ元気いっぱい、エイさんである。

軽いはぐ、からのあいさつ。
「起きたっす!」と僕。
「わーい!うす!おはよーっす、てんちょ」
言いながら、ぱっと身体をはなして敬礼するエイ・プール。
店長って…。まあ。でもお店、どうしよっかなぁ。
「ていうか、屋上で何やってるんですか?」
「シーツ干してるですよ。看護婦さんのお手伝いっす。シーツ一つで10円なんす!」

ふーん、――って!
いやいやいや、誰だ? 希代のリンクスにそんな雑務を押しつけたナース(ふとどきもの)は。
「あ! で、いつ喫茶店再開するっすか? 明日から行けるっすよー私」
シュッシュッとシャドーボクシングするエイ・プール。
ええっと。
「まだ、考えてない。かも。ていうか、あの場で続けるのは流石に、ちょっと」
「え? ああー、まあ、やっぱそうですよねー」
エイさんは腕組みし、うんうん頷くと、パチンと指をならしてこう言った。
「そう思ってあの店舗、適当に片して売っ払っといたっす!」

「はい?」
「ええっと。だからさ、今この街で、ああいう事件は困るんですよ実際。だから――」
だから?
「だから始末されました。別に私の一存ではないし、私が直接動いたわけでもありませんがね。簡単に言えば、お上の息がかかったってやつです。てかあの老人?って言ったら早いです? 今はもうあのお店はないのです。理解、できますね?」
じっと見詰めるエイ・プールは、ちょっと冷たい感じがして。

と、いうことは、だ。
僕は聞く。
「あの人。僕を刺した……」
「知らない。自分の喉を掻っ切って、私が見付けた時には死んでいました。死んでそれきり。どーなったかなんて知らないわ。」
そこに同情などない。感情などない。冷たいと感じたのは気のせいだ。冷たさも温かさもそこにはない。
僕を刺したことにも。彼女のバックグラウンドに関しても。エイ・プールは至極フラットだ。温度なんてない。
心配もなく、憂いもなく。まったく、とてもとても頼もしい。
彼女は強い。僕はそんな彼女を尊敬しているんだ。

「そうですか」
それでも僕の気持ちは滅入るのである。気持ちは沈むのである。
でも。
そういうのを背負っていくって決めたんだ。
今の今まで、殺しに殺してきた人たちを、背負っていくと決めたんだ。
―――ああ。
あの、名前も知らないどこかの誰かさん。
きっとあなたは、僕の死を望んでいたのだろうけれど、ごめんなさい。
その望みにはお答えできない。

「それでなんすけど。あのお店は、だからもうあの場にありません。もうじき更地になりますよ」
エイさんは淡々と語る。僕の、“眠る”前の夢の残滓。
「ほんで、問題は新しいお店のことなんですけどね? やっぱ、事件現場からは遠い方がいいかなーって思って、」
言いながらエイさんはポケットから今時珍しい紙媒体の地図を広げると、
「ここの商店街の端っこの、……そうここ。この店舗、抑えときました!」
地図を指差し、えへんとするエイ・プール。
そしてぽかんとする僕である。
「え?」
「テーブルもチェアも、キッチン道具も搬入済みっす!」
ぐっとガッツポーズし、目を輝かせるエイ・プール。
「え?え?」
そしてぽかんとする僕である。

「いやーでもこの隣のお店、あ、フィー’s・フラワーショップっていうんすけど? ま、いたって普通なお花屋さんなんですけどね。経営してんの新婚さんで、もうアツアツっていうか、はっきりいってうぜぇーっす! てか、奥さんフィオナさんっつー名前なんですけどね、店の名前に妻の名を入れるとかまじキッツいっすわ! 離婚して再婚とかしたらどーするんすかね! あ、でも割と話せる平和ボケ夫婦って感じで、お隣さんやるには居心地良いって言うか、あたまお花畑っすよやつら!」
ぺらぺらぺら口が回る回る。おまけに、ぼそっと「あたまお花畑……花屋だけに」とかいう始末。
もうどこに出しても恥ずかしくない、街角のおせっかい焼きの、ゆくゆくはおば…
「あ! 今、すげー失礼なこと考えたっすね! ひどい!ここまでえいぷーちゃん頑張ったのに」
ついに自分のことをえいぷーちゃんとか言い出した!
「ええ、まあ、ありがたいですけど。……なんかインテリオルのオフィスからやけに近いとこにあるというのが……」
なにか思惟を感じる。
「え? や! べ、別に私が通いやすいとこで探したとか、そんなわけではないですよぉ? はは、ホントに…」
へらへら手を振るエイ・プール

ま。いいか。
「ありがとう、エイさん。近いうちに再開できるように頑張るよ」
「っす!」
そうして、僕の夢は“目が覚めた”後も続くのだった。
費用面に関してはまた後日、老人交えて話を聞くとしよう。

と、そんな僕らをよそに、のそっと猫背なナースが屋上にやってきて、曰く。
「もうシーツ全部干してくれたかな?」
「あ。看護婦長さん!」
ふとどきナースはまさかの看護婦長さんだった。
「って、まだやないかい! もぅシーツ干すのも、立派なお仕事ですよエイさん! なんか仕事(お金)をないのー?とナースステーションにやってきたのはあなたですからね! 引き受けたからには最後までやってもらいます!」
「ふぁい」
言われてエイさんはくるっとその場でUターン。
とっとこシーツ干しの業務へと戻っていった。
その後ろ姿に、ワーカホリック過ぎやしないかと心配になる僕であった。

ところで、時系列的には前後することになるのだが。
後日、件の喫茶店に行ってみればそこにはこんな看板が掲げてあった。
《えーぷーカフェ》
「―――――あほか!」
と叫ぶ、僕なのだった。
いったいいつ準備したというのか!
油断も隙もない、ていうか頼んですらいない仕事までこなすエイ・プールなのであった。

     /

さて。
屋上を後にした僕は中庭に降りてきた。
高いところの次は低いとこ、と言うことで一つ。
ちょっと疲れたので、中庭のベンチに座ってのんきに日向ぼっこしていると、ちょっとだけうとうとしてしまって。
ふと、目をつむった。
そのまま、ほんの少しだけ、のんびりと、太陽を浴びる。

すると、ふいに瞼の裏が暗くなって、なんだろーなーって目を開けてみれば、そこには僕の顔を覗き込むように、膝に手を置き中腰に除き込むウィンさんの姿があった。

そのまま暫し、見つめ合う。なんだろう、このままキスでもされてしまいそうだ。
引き込まれる、澄んだ瞳。
「となり、座っても?」
その瑞々しい唇が言葉を紡ぐ。
心地良い、凛とした声にはかつての勇ましさはなりを潜めて、優しさだけが満ち満ちている。
僕は答えた。
「ええ、もちろん」

彼女はすっと身を離し、僕の隣に腰を下ろした、背もたれに身体を預け、はーっと深く息を吐く。
そして足を組んで腕を組んで、空を見上げた。
すっと伸びる喉の白さ。
揺れる前髪。
ああ、なんて。なんて平和な時間だろう。幸福である。
それに嬉しいんだ。
「ウィンさん」
「何?」
ウィンさんは今、
「その服、」
軍服ではなく、なんとびっくりワンピースである。

「とってもお似合いですよ!」
「そ、そうか。ありがとう」
靴はブーツではなくヒール。
胸にはドッグタグではなくリボン。
頭には軍帽ではなくカチューシャ。
彼女は照れたように頭を掻きながら、
「髪、伸ばしてみようかな?」
と、呟いた。

「うん。良いと思う。きっと似合います」
おしゃれすることは良いことだ。女の子なのだから。
「―――今度、メイとエイとダンと、それからセレンを連れて、…その。ぁ、遊びに行かないか?」
「遊び?」
「なんでもいいんだ。バーベキューでも、飲み食べ歩くでも、買い物に行ったっていい。そういうことをしたいって、今の私は思えるようになったよ。」
「ええ、ぜひとも。」
「そして最後は君の喫茶店かな? また、やるのだろう?」
僕は答えた。
「やります。その時は、どうぞよろしく」

     /

そんなウィンさんとの、とてもとても愛おしい時間をぶち壊したのは他でもない。
「ジュワ!」
二階の窓から、飛び降りてきたダンであった。
「へいへい彼女ー、俺とアバンチュールしねぇ?」
と、後ろから声をかけてくるダンは、たぶんウィンさんに気付いていない。
ウィンさんははーっとため息をついて。
「存外、私も軽く見られたものだな、まったく」
振り返って、睨みをきかすウィン。
「あ。すんませんすんません」
と、瞬間ぺこぺこし出すダンである。
そんなダンをよそにウィンさんは立ち上がると、僕の肩をぽんとひと叩き。
すたすたと中庭から退場した。

「ふぃー! 遠くから見た美人オーラにくらっときて思わず声をかけてしまったが、その実ウィン・Dとはまったく。―――まったく!」
ぺこぺこするのを止めて、額の汗とかぐいっとぬぐいつつダン。
「てか、目ぇ覚めたら、まず挨拶しようぜ!俺に!」
「いや、お前すげーぐっすり寝てたしな」
いびきも超うるさかったし。

「いやぁ今回の俺の働きっぷりは、ちょっとヤバくねえ? マジリンクスしてたわー。己の才能が怖いわー」
ぱねーぱねーととてもうるさく、自画自賛がめんどくさい。
「はいはい、あんがとあんがと。」
「ああ、そういや、さっきセレンにあったけどな、先、家帰るってよ」
それを早く言えまったく!だからダンはダンなのだ!
「さっきっていつ?」
「飛び降りる3分前かな」
僕は立ち上がった。

僕は彼女を追いかけることにした。
「行くよ」
「だろうね。ほら、これ持ってけ」
ダンが鞄を投げてよこした。中には着替えが入っていた。
「患者着で愛しの彼女に会いに行くのかい?」
もしかして、二階から飛び降りたのは時間短縮のためなのか?
「――ありがとう。行ってくるよ」
「ああ」
ダンが片手をあげた。
僕はダンの横を通り過ぎつつ、ハイタッチする。
パンと乾いた良い音が響いて。
「行って来い!」
僕は病院を抜け出して、そしてセレンを追いかけた。振り返らずに。
自宅は決して遠くない。歩いて1時間ほどの距離だ。
身体は本調子ではない。動かすと相応に痛みが走る。が、まだ、追いつける。

僕は街を駆けていく。

     /

街路樹は青々としている。
ショートカットで横切った公園は新緑に満ちている。
想い出した。
これが春ってやつなんだ。
人口河川に沿う桜並木にはつぼみが芽生え、開花はもうすぐだ。
そうだ。咲いたら、みんなで花見をしよう。

僕は街を駆けていく。
花が咲いて、じき満開となる桜も、やがて散る。
散って葉桜。
そのあとには梅雨が来て、雨が上がれば夏が来る。
季節だ。
そうして日々は移ろい、巡り巡る。

僕たちは、きっとこれからも生きるだろう。
空と大地の間で、さながらその二つを繋ぎとめるかのごとく。
ずっと、生き続ける。

この街は、幾億人の死の上に築かれている。
街だけじゃない全てだ。全人類。
死んで死んで死んで死んで、その尊い犠牲の上にこの繁栄は成り立っている。
そうして今日も生きていく。笑う僕らはみんな罪人だ。
だからって悲観する事はない。喪に服する必要もない。
自分のしたことを忘れないで。
自分で思う、自分にできる正しいことをすることだ。
そうして地球は今日も輝かしく、世界は今日も平和であって、そして―――
「セレンさん!」

僕は追いついたのである。
 
 
 
     /* one day

それから幾ばくかの月日が流れ、僕らの喫茶店は再開した。
いや、店名は以前の“まよいねこ”とは異なるので、再開と言うよりも新装開店に近い。
そんな新しい店の名は“さくらねこ”。

ほら。桜は彼女が、好きな花なので。
そうして、今日も今日とて――――――

「おはようございます。今日もウェイトレスよろしくエイさん。―――え?給料の前借?一体何にお金使ったんですか!」
「いらっしゃいませ。あ、サインとかいらないんで。ともかく何か注文してさっさと帰りたまえよダン!―――え?メニューに書いてあるスマイルをくれ?悪いが品切れだ!」
「はい、もしもし。喫茶店さくらねこです。クリスマスケーキの注文ですね。承りました王さん。―――え?リリウムには黙っててくれ? はいはい」
「はい、もしもし。喫茶店さくらねこです。クリスマスケーキの注文ですね。承りましたリリウムさん。―――え?王大人にはないしょにしてくれ? はいはい」
「お待たせしました!って、ケーキの写真を撮っていいかって良いですけど、どうするんです?メイさん。―――え?おいしそうだからブログに?て、照れるぜ」
「ありがとうございました!またのお越しを。ウィンさん。―――え?次はお酒も飲みたい?むむ、夜はBARにする、とか!」
と。
まあ、そんなぐあいで。
僕の日常は続いていくのだ。これからも。

そうして、今日も仕事が終わればおうちに帰る。
家の扉を開けて第一声。

「ただいま。セレン」
 
彼女は答えた。
「おかえりなさい」
 
 
          ―――世界は、繋がりでできている。


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**コメント [#xb6ccd5a]
- これで≪わんでい首輪付き≫から始まった一連の騒動も一区切り。最後にエピローグを追加して、いよいよこの物語も幕となります。    まあ、おまけエピソードもあるので、本当の完結は年末頃になりそうですかねー。しみじみ -- [[へっぽこ]] &new{2015-08-22 (土) 20:25:16};
- となりの花屋夫妻ってもしかして…いや、これ以上はよそう。ハッピーエンドで本当に良かった。 --  &new{2015-08-22 (土) 21:03:22};


#endregion

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[[次へ>とある喫茶店にて(小説・全年齢)]]

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