Written by 独鴉


 時は10月24日、ハロウィン1週間前、ミッション以外では関わりの無いリンクス達を一同に集める顔合わせを兼ね、
カラード主催でハロウィンパーティーを開こうと、カラードの大会議場で提案が行われていた。敵対する事もあるとはいえカラードはリンクスの統括組織、
一同に集め面通しをしておく事にこしたことはない。2時間にも渡る論議の末、企業のお偉方は場にそぐわないとして、
呼ばれずリンクスとオペレーターのみが選出された。むろん自由参加などにしてしまえば誰も来ないことは明白であり、
そのため全ての任務を前2週間 後1週間、カラードの責任をもって全ての任務を強制的にキャンセルし、強制的な参加が義務付けられる。

〈カラード主催 ハロゥインパーティーの強制参加〉
 カラードから送られた書類は重要案件として送られた服装から選んで着用することが決められていた。自由にハロウィンの服装にしてしまえば、
無難な格好をしてしまう事は火を見ることより明らかであり、前もって数十着のコスプレ服が用意され書面と一緒に郵送されていた。
リンクスには白い獣の着ぐるみを押し付け、残ったモノを部屋に持ち込みセレン・ヘイズはどれにするか選んでいた。

 黒い魔女やモンスター、アーリヤの被り物と黒いスーツ、奇抜なものまで収められたケースの中、可愛い服もケースに収められている。
この中から服を選ばなければならないのだが、無難なのを一つ選んだところで別の一つの服が気になっていた。ベッドの上に一式広げてみてみる。
フリルと星型の装飾が付いた可愛らしい服、少々細めで♪の装飾が付いたブラックハードブーツ、星型のステッキには小さなガラス玉まで付いている。
どこからどうみても小さい子供が憧れなりたがる魔法少女のコスプレ一式。10分ほど眺めたまま悩んだが誰も見ないしと意を決して着替え始め、
2分ほどで着替え終え鏡の前にたってみる。

「いっ、意外と着れるものだな」

 少し不安があったが、細身の腰まわりやキツメのハードブーツも問題ない。右手で先端に星が付いたステッキを軽く回し、左手で目元にVサインのポーズを決める。

「魔法少女カスミ・スミカ参上♪」

 一般的魔法少女の決めポーズを決めてみるものの気恥ずかしさから赤面してしまう。

「わ……我ながらこれは辛いものがあるか」

 着替えようとしたとき、間の悪いリンクスが着ぐるみを着用したまま扉を開けて中に入ってくる。

「セレン先生、着替えてみたのですが」

「ぎゃぁぁぁぁ!」

 セレンはリンクスを反射的に部屋の中に引きずり込むと扉と首を絞め気絶させる。気絶し床に倒れたリンクスを部屋の隅に移動させ、
いそいそとフリルの服を脱ぐと箱に仕舞い込みむと忘れようとベッドにもぐりこむ。

「起きなさい。カスミ・スミカよ」

 いつのまにか眠っていたのかわからいなか、呼びかけに眼を覚ますと視界にはぼやけたACのような姿がうっすらとみえる。

「私は全てを監督するものであり、ACの神。あなたに」

 枕の下に隠しておいた銃を取り出し神と名乗る光の塊に銃口を向ける。

「神ならば自分でやればよかろう」

 トリガーを引くが反応は無い。どうやらそれなりの存在のようだ。

「私の身はばらばらになり、ほとんどの力を失ってしまったのだ。パーツを集めて一つにできたならば、私の力をもってしていかなる願いも叶えよう」

「いかなる願いもだと? 怪しいものだな」

 ベッドに腰掛ける体勢になり、マガジンを交換し再装填を行う。

「では、あまり残されておりませんが、ひとつ力を見せましょう。」

 部屋の隅に片付けておいた星のステッキが輝き、空中に舞い上がるとスミカの前にゆらゆらと空中を漂っている。

「これであなたは魔法が使えます。これで信じてもらえるだろうか」

 神と名乗る妙な光の塊を見据えたまま、銃を握っていない左手をベッドの上に伸ばす。杖はゆっくりと降下し手の上に載った。

「10月31日までに10のパーツをあつめるのです。全てそろえられた時、あなたの願いを叶えよう。魔法の詳細については説明書に記載してありますので、熟読してからお願いします」

 どこかしら説明染みた言葉を残した後、光の中から薄い冊子が現れテーブルの上におかれ消えていった。

「さて」

 テーブルの上に置かれた説明書を手に取っただけで中の情報が自然と流れ込んでくる。 説明書には変身を解除すればその間の事を覚えている者はいなくなるらしい。
他にも魔法を使うには使い魔となるモノと力の源となる象徴が必要になるともある。象徴いくらか考えてみたがテルスが良いだろうと、
頭の中でイメージを浮かべると登録が済んだのか星型の中央に水晶の様なものが現れる。使い魔は考えるまでもなく、
今もまだベッドの横で気絶しているリンクスを選ぶ。ステッキを向けると光がリンクスを包み柴犬くらいの大きさのモフモフした白い首輪付き獣に姿をかえた。

「かっ、かわいい!」

 思わず抱き上げるときつく抱きしめる。

「モフギャァァァ」

 小さい状態になって耐久性も相応におちたのに、大人が子犬サイズの生き物をきつく抱きしめれば悲鳴の一つも上げるものだ。スミカは慌てて首輪付きを離すと床に着地する。

「モ・・・モフゥ!?」

 気が付いたリンクス、もとい首輪付き獣は二足歩行で立ち上がり自ら何が起きたのかぺたぺた体を触って調べている。
意図しては居ないのだろうがモフモフぺたぺた動く様はとても愛らしい。

「先生これはなんでモフゥ!?」

 どうやら使い魔っぽく語尾や主語に モフ という単語に変換され易いようだ。何かに気付いたのか首輪付きはハッとした後スミカのほうをみる。

「スミちゃん!」

「スミちゃんだと?」

 首輪付きの頭を掴むと頭の高さまで持ち上げる。

「魔法少女スミカちゃん! パーツが現れたのを回収しにいくモフ!」

 女性なら一度は呼ばれたい自分の名前が魔法少女の語尾に付く事。

《魔法少女スミカ》

 一つの夢が叶い、感動のようなものを感じると頭を掴んでいた首輪付きを離す。

「さぁ、杖で移動するモフ!」

「ふむ、こうか?」

 スミカは感じたとおり杖を横に振るうと目の前の空間が避け、その先に空のようなものが見える。

「さぁ、初パーツを集めモフ!」

 空間の裂け目に一歩踏み出すとドアを抜けたように空中に放り出される。

「なっ…空中だと!?」

 とっさに落下に備えようと身構えたが、その様子もなくまるでネクストで空中にいるかのように推力を認識できる。

「魔法少女なのだから当然飛べるモフ」

 慣れた感覚に左右されるのかシリエジオのように素早く飛行はできないようだが、オバーブーストもクイックブーストも使用できる感覚がある。
首輪付きも同じように空中をドヒャァドヒャァと高速で自由に飛び回っていた。

「遊んでないで行くぞ」

 オーバードブーストの使用を念じると背中に光が集まり、後光輪のような形になると急激に加速していく。
しかし音速の領域に到達したというのに空気の壁に衝突する感覚もない。どうやら身の回りを球体の光の防護障壁が覆っているらしく、
プライマルアーマーのようなものだと認識できる。感覚としてシリエジオとほぼ同じ力を使えるとおもったほうがいいようだ。

 3分ほど飛行を続けていると目標地点には巨大な団子虫のような物体が砂漠を横断しているのがみえた。

「なんだあれは?」

 レイレナードのジェットのようにも見えるが、間違いなく有機体であり

「あれも異常のひとつモフ。倒してしまうモフ」

「力を試してみるにはちょうど良さそうだな。いいだろう」

 頭の中に浮かんだイメージのまま杖を振るうと光り輝き、スミカの右側の空間の裂け目から砲身が姿を現す。

「PITONE レールガン!」

 音速弾丸が巨大な団子虫を撃ち抜き、PITONEは空間の裂け目に消える。地上に降りると貫かれた巨大な団子虫のような物体に触れようとしたところ、徐々に霧のように消え去っていく。

「予想よりも理解しやすい力のようだな。モフ、ほかに魔法はないのか」

「スミちゃんのイメージしやすい魔法が使えるモフ」

 私がイメージし易い。つまりネクスト シリエジオの力を模した魔法になるのだろう。

「ん?」

 何か高速飛行物体が近付いてくる感覚があり、集中してみるとレーダーのように周囲を把握できるようだ。
飛行物体はこちらに気付いたのか高度を下げ、姿かたちがはっきりみえてくる。ボディースーツに近いレオタードの腰元にフレアスカートを着用し、レイピアを握る姿はタイプは違うが魔法少女のようだ。

「魔法少女戦士ウィンD 見参!」

「ウィンD、お前も神と名乗る妙なモノに頼まれたのか」

 もはや達観しているのかその姿に動じる様子も無いスミカは堂々としている。

「スミカ先輩!?」

 一方でウィンDはピンク色でフリルの魔法少女の格好をしているカスミ・スミカに度肝を抜かれたのか、レイピアを足元に落としそうになってしまった。
心臓に悪いと思いつつも心を落ち着かせる為別のものに意識を向けようと白くモフモフした首輪付きに意識を向ける。

「ところでスミカ先輩、その白いモフモフした生き物は」

「ウィンDさんこんばんモフ。こんな姿だけどストレイドのリンクスモフッ!?」

 白くモフモフした首輪付きは丁寧に頭を下げるが、まだその姿になれてないのかバランスを崩してころんと前に転がってしまう。
起き上がると恥ずかしそうに頭を掻く姿は余りにも愛らしい。ウィンDは思わず撫でようとしたとき首輪付きは急に浮かび上がるとどこか一方向をじっとみている。

「目標確認モフ!」

 閃光弾が首輪付きから撃ち出されると暗闇を照らし出し異常の存在を明らかにしていく。

「これが異常の存在だと?」

 まるで攻め寄せる津波のように先ほど倒した大型の団子虫のような群隊が砂漠を突っ切りこちらに向かってきている。数十ではなく数千を超える群れは対処できる数ではない。

「さすがにこれだけの数をコロニーに着く前に倒すのは」

 先ほど一体倒したばかりだというのに、これだけの数を倒しきるのは不可能に近い。また魔法少女戦士ウィンDの力は一対一向けであり軍相手には不向きなものだった。

「AMIDAという生物らしいモフ。そういうものだと何故か認識できたモフ」
 使い魔となった首輪付きモフモフはその役目を果たすことが出来るよう、自動で情報がダウンロードされるようになっていた。

「殺っ★嫌っ★テルス、召還♪」

 妙な効果音の混ざった中、魔法少女としてはお約束に近い片手で杖を回転させ目元にピースを当てるお決まりのポーズに、
頭が真っ白になりつつあるウィンDを見てさすがにスミカも恥ずかしくなった。僅かな時間的合間をもって轟音と共にスミカの背後の空間が引き裂かれ巨大なテルスの上半身が空中に現れる。
地面に両手を着き前傾の体制を取ると、首輪付きはテルスの頭に飛び乗り照準ゴーグルのようなものをつける。

「スミちゃん、照射準備OKモフ!」

「なぎ払えっ!」

 杖が標的に向けられカスミ・スミカの言葉に従ってテルスの前面センサー部が口のように上下に開く。

ゴヴァァァァ!!

 放出されたエネルギーが黒いAMIDAの群れを爆発と業火海に消滅させ、5秒間の照射によって全てが消えうせ静かになった夜空の中、
光り輝くモノが荒地となった場所に一つ残っていた。スミカ達が近付いて確認みると人間くらいの大きさだが、ACのコアのようなものだった。

「これが神のパーツなのか」

「あと9個。少々大変そうだが願いの為だ」

「スミちゃん、これどうするモフ?」

 光る物体に首輪付きが触れようとしたとき、光が弱まり特徴的なバケツヘルムとアンテナヘルムを被った上半身裸のマッチョダンディな二人組みが姿を現す。

「遅かったじゃないか」

「助けてくれた礼に尻をかそう」

 数秒間、風の音が聞こえるような静寂な時が流れた後3人は同時に叫び声を上げた。

『偽パーツかぁぁぁぁぁ!』

 二人と一匹のパーツ集めの戦いはまだまだ続きそうである。

《続く??》


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