前回までの粗筋
全世界を破壊尽くそうとしたクラインの乗る蒼きパルヴァライザーを倒し長き因縁に終止符を打った鴉。
しかし鴉の齎した平和も長く続かなかった。国家解体戦争が始まったのである。
圧倒的なネクストの前に蹂躙されていくバーッテクス。
そしてついに本拠地サークシティまで侵攻されてしまうのだった!

Written by ケルクク


<最後の鴉~~国家解体戦争編~~>第41羽 『嫌われ者の幕引き』

「来たか」ジャックは脳内レーダに敵性を示す赤い光点が点いたのを確認し呟く。
敵は何の躊躇いもなく一直線にこちらを目指して侵攻してくる。
侮られている事に不快感を覚えるが直に仕方が無い事だと思い直す。
何しろ相手はネクストなのだ。地上最強の兵器。ネクストに対抗できる兵器がこの世に存在しない以上、傲慢になるのも仕方がない。
「いや、一つだけあったか」愛機の後ろにある機能を停止した施設を見やり苦笑する。
インターネサインの守護者パルヴァライザー。あの最悪の兵器ならばあるいはネクストに勝てたかもしれない。
「だが仮に使えたとしても使う気は無いがな」ジャックがそう結論付けたところで扉を破壊し、一機のAC、いやネクストが姿を現した。
「遅かったじゃないか」
「ひゃははははは!!そいつはすまなかったなぁ!!でもそのおかげで寿命が延びたんだから感謝しろよ」
試しに声をかけてみると直に嘲笑が返ってきた。
愚かな。圧倒的な弱者がこうも堂々と姿を晒しているのに何の疑問も抱かないとは。作戦変更だ。残り二機が来るまでもう少しだけ時間を稼ぐとしよう。
「そういえば残りはどうしたのだ?侵入者は三機と聞いていたのだが」
「あ~~??っと、そうそう、お前に礼を言っておかなきゃいけなかったんだ。あの臆病者共なら後方部隊の雑魚共が襲われたって報告が来た瞬間に帰ったぜ?
 ひゃはははは!!!おかげで僕様は手柄を独り占めってわけだ!!何がNO1だ!!何がアクアビット最強だ!!補給の確保が最優先?罠がある?ひゃはははは!!何にも無いじゃねぇか!!!」
ちっ。残り二人は撤退したか。だが構うまい。ここから引き返しても間に合わん。そして補給部隊が壊滅すれば撤退した二機も暫くは動けない。
何しろネクストはACに比べ短時間の移動力・機動力は絶対的だが、コジマ汚染のリスクで長時間の運用には向かないからな。
しかしそうすると罠にかかったのはこいつだけか。まぁ急造の罠なんだ。この程度の獲物で満足すべきだろう。
「ひゃはははは!!!バーテックスを一人で壊滅させたとなれば僕様のランクも上がる!!お前には感謝してやるぜ!だからお礼に嬲らずにあっさり殺してやるよ!僕様は優しいだろう?」
ネクストがゆっくりと持っていたライフルをこちらに向ける。ライフルといっても一発の威力はこちらのグレネードに匹敵する。まともに喰らえば十発も持たないだろう。頃合か。
「ひゃはっははは!!これで僕様がアクアビット最強のリンクスだぁぁ!!」
「悪いがその夢は永久に諦めてくれ」相手が引き金を引く寸前に起爆装置を押す。
「なっなんだぁ!?地震!?」突如起こった地震にネクストの操者、いやリンクスというのだったかが悲鳴を上げる。
「いやここが崩壊を始めた音だ。まもなく私達は数千億トンの土砂の下敷きになる」
「ふざけるな!!今すぐ止めろよ!!お前も死ぬんだぞ!!!」
「そうだな。だが老いた鴉1羽と世界に26匹しかいない山猫の交換なら悪くないさ。それに悪いが発動させたら止められん」
「そんな!?この僕様が!選ばれたリンクスである僕様がこんなところで死んでたまるかぁぁああああぁ!!!」
絶叫と共にネクストが凄まじいスピードでUターンしOBを使い来た道を戻っていく。
「止めを刺していかないか。やはり詰めが甘すぎるな」
フォックスアイのKRSWをパージし隠しておいたRASETSUに持ち替える。
さてそれでは逃げた山猫を狩りに行くとするか。

****

「あぁぁぁあああ!!!どけよ!どけよ!どけよ!!僕様はこんな所で死ぬわけにはいかないんだぁぁああ!!!」
五分ほど進むと崩落した通路に向かって狂ったようにライフルとバズーカを撃ち込んでいるネクストを見つけた。
OBを使った事と降り注ぐ土砂のおかげでPAはダウンしているな。
「計算道理だな。しかし最後の最期まで騙し討ちか。まぁ私らしいと言えばらしいか」自嘲と共にOBを起動させる。
「そうだ!僕様が!!選ばれた存在である僕様が!こんなところで!こんな事で死んでいいはずが無いんだぁぁぁあ!!って敵!?」
ようやく気付いたネクストが振り返る。しかしもう遅い!!ネクストのコックピットに向かってRASETSUを振り上げる。

「や ら な い か」

****

「この世に最強はいても不敗はいない。確かにそのとおりだったな、鴉」
土砂が降り注ぐ中、コックピットにRASETSUが突き刺さったネクストの上で生涯最後になるであろう煙草を吸いながらここにはいない歳の離れた友人に語りかける。
「この私ですら倒すことが出来たのだ。ならば最強の傭兵であるお前に倒せないことはあるまい。後は頼んだぞ、鴉」
そしてジャックは土砂に埋もれかけた愛機に頭を下げた後、目を閉じた。

<最後の鴉~~国家解体戦争編~~>最終羽 『鴉』に続く

「ふぁあ~」今週号の週間ラインアークを閉じて大欠伸をする。
「うにゃ~、眠い」昨日は薄いご本を買うために徹夜で並んだからな~。
もうだめ。お風呂に寄りかかって瞼を閉じる。
まだ弟も洗濯してるから少しぐらい寝ても良いよね。
おやすみなさ~い


目を開けたら死んだ筈のシャミアが嗤っていた。
ってことはこれは夢ね。うわぁ、最悪。早く起きないと。
起きる為にとりあえず自分を殴ろうとしたが指一本動かせない。それどころか私の体の癖に勝手に喋り始める。
「私を好きにしたら弟は助けてくれるんでしょね!」
「ええ。私はあなたを嬲り殺しにしたいだけだもの」
ニヤニヤと意地悪く嗤うシャミアの返答を聞いた『私』は唇を噛んで俯く。
駄目だ。どう頑張っても指一本動かせないし起きれないわ。これは弟が起こしてくれるまで悪夢の中にい続けるしかないわね。うぅ、早く起こしてよ。
私が覚悟を決めると同時に『私』が顔を上げる。
「いいわ。なら私を好きにして。その代わり弟は」
「ええ、助けてあげるわ」
「なら好きにしなさいよ」
「ええ、じゃぁとりあえず」
喜色を浮かべてシャミアが右手を振り上げた。
「あぁぁああ!!!」次の瞬間目の前が真っ白になる。次いで鼻が灼熱する。激痛がやってきたのはその後だった。慌てて鼻を押さえるとぬるりとした熱い液体が掌に溜まる。
ここで私はようやく鼻を殴られた事に気付いた。これは鼻血なんて生易しいものじゃないわ。鼻骨が砕かれてる。
「駄目でしょ、玩具が人間様に無礼な口を利いたら、ほら立ちなさい」
シャミアが嗤いながら蹲り悲鳴を上げる私の脇腹を思い切り蹴り上げる。
激痛と衝撃に息がつまり、次いで胃の中のものが逆流する。
口から血の混じったピンク色の吐瀉物を撒き散らす私をシャミアがさらに蹴り続ける。
「ほら!早く立ちなさいよ!!立たないと弟を殺すわよ!」
シャミアの怒声に痛みで丸くなる体を強引に起こし立ち上がる。
鼻血と吐瀉物を垂れ流しふらつく私にシャミアが拍手を送る。
「そうそう、よくできました。その調子で死ぬまでちゃんと私の言う事を聞くのよ。そうしたら弟も無事に帰してあげるからね」
「はい、シャミア様」
「いい子ね。それじゃぁ玩具が人間の服を着ているのはおかしいから裸になりなさい」
「はい」シャミアの言葉に従い服を脱いで裸になる。
「さてそれじゃあ最初は何をして遊ぼうかしら。そうね、とりあえず考えている間あなたを待たせるのも悪いからこうしましょう」
シャミアがオイルライターを取り出して私の左乳首を炙る。
突然の灼熱感に悲鳴を上げて飛び退く私にシャミアが嗤いかける。
「駄目よ逃げちゃ。さあ、ここに来て自分で炙られなさい。そうしないと弟の足の指を全部焼いちゃうわよ?」
「はい、申し訳ございません」震える足を強引に前に進める。そして炎に自分から左乳首を入れる。
灼熱感と激痛に跳び退きそうになる体を強引に押さえつける。全身から脂汗が噴出し痛みで目の前が真っ白になる。
痛みを悲鳴を上げる事でごまかすとシャミアに「煩いわよ。考えられないじゃない」言われたので自分の腕に噛み付いて悲鳴を殺す。
肉の焼ける嫌な匂いが充満する中シャミアが涙と涎と脂汗でびしょびしょになった私を見て嗤う。
「う~ん、全然思いつかないわねぇ~」とわざとらしく呟き、顎に手をやりながら苦しむ私を嘲笑う。
どれくらい時間がたったのかはわからない。でも気を失う寸前に突如私は苦痛から解放された。
「そうね右腕にしましょう」
上機嫌なシャミアが何かを言っているが気力・体力が共に限界な私は何も考えられない。
「ほらこっちにきなさいな」
シャミアが私の腕を引く。反抗する力の残っていない私は為すがまま手を引かれる。
「座りなさい、それで右手は台の上におくのよ」
シャミアが私を椅子に座らせ右手を隣の鉄製の台の上に置く。
私はようやく訪れた体を休めるチャンスに何も考えずに脱力し荒い息を吐きながら椅子の背もたれに体を預けた。
視界に焼け爛れ今も炭化した私の左乳首が映る。きっと普段なら悲しくて泣いてしまうのだろうけど今はその体力も惜しかった。
シャミアが皮ベルトで私の右腕を固定していく事に頭の片隅から警告が届くが休みたい私はそれを無視する。冷えた鉄が火照った体に気持ち良いからもうちょっとだけ。
「はい、終わり。最後にこれを着けてっと」
右手を完全に固定し終わったシャミアが私の口に穴の開いたゴルフボールのような物を嵌める。
息苦しい方抵抗する気力がまだ回復していなかったので私はゴルフボールの穴から垂れ続ける涎が胸の谷間に溜まるのをボーっと眺め続ける。後ろでカチリと音がした。
「さぁ、これでよしと。呆けたあなたの目を覚まさせてあげる」
シャミアが私のオデコにキスをしたシャミアが消える。
そして後ろから「そ~れ」という声と共に何かが振り下ろされる音がした。
「ふぎゃぁっぁあぁぁあ!!!」突然の激痛に絶叫する。何!?何が起こったの!?
「いいわ!もっと啼きなさい!!」再度の何かが振り下ろされる音。そして何かが折れたくぐもった音。最後に激痛。
「ふぃぎゃぁああぁ!!」あまりの激痛に視界が点滅する。気付くと椅子からずり落ちて床で丸まっていた。
動いたせいでずれた視界の端に嗤いながら警棒を振り上げるシャミアの姿が見える。
「ふぁっふぁっふぇ!!」「そら!そら!ドンドン行くよ!!」シャミアが凄まじい勢いで警棒を振り落としていく。
その度に無茶苦茶な激痛が右腕を中心に炸裂し、涙と鼻水と涎を垂れ流し悲鳴を上げる。
「ふぁふぇふぇ!ふぁふぇふぇふあははい!ふぉひゅふぃんふぁふぁ!!」
必死にシャミアに止めてくれるように頼み込むがゴルフボールのせいでまともに喋れない。
何十回と殴られた右腕は内出血で真っ青になり三倍程度の大きさに腫れ上がりさらに所々から粉々に砕かれた骨の欠片が皮膚を突き破って外に出ていた。
駄目!!このままじゃ腕が壊れちゃう!!痛みよりもその恐怖に突き動かされて必死にシャミアの足を掴む。
「ふぉひゅひんはふぁ、ふぁふぇふぇふははい。ふぉのははふぁふぁふぁひのふへふぉわへはうまふ」
涙を流し必死に懇願する私にシャミアが笑いかける。
「なあに?もしかして止めて欲しいの?」
「ふぁい!ふぉうふぇふ!」意思が伝わり必死に頷く私。
「そうね、確かにこんなに腫れてちゃいたいわよねぇ~?」シャミアが嗤いながら私の右腕を撫でる。
「ふぃぎゃぁあぁぁああああ!!!」シャミアに触られるたことで電流が走ったような痛みを感じ悲鳴を上げる。
「ごめんなさい。触ったら痛いわよねぇ~。そうだ、なら私が痛くなくしてあげるわ」
シャミアがわざとらしく頭を下げ部屋から出て行く。
良かった。直してくれるんだ。安堵の息を吐くが戻ってきたシャミアを見て血の気を失う。
「痛いところはとっちゃいましょう」
右手に大きな斧を持ったシャミアがゆっくりと近づいてくる。
「ふぁふぇふぇ!ふぇっふぁふあはないふぇ!!」悲鳴を上げてシャミアから遠ざかろうとするが右腕がしっかり固定されているためどうしようも出来ない。
「ふぇふぁいまふ!ふぇふぁうんふぇふ!ふぉひゅひんふぁま!!」涙を流しながら懇願する私にシャミアが嗤いかける。
「そう。あなたも気に入ってくれたみたいで嬉しいわ。じゃあ、やっちゃいましょう」
嗤うシャミアが大きく斧を振り上げる。
「ふぁっふぇ!!おふぇふぁい!!ふぁふぇふははい!!」「そぉら!!」
「いぎゃぁぁああああぁああああああ!!!!!!」
凄まじい衝撃に体が九の字に折れ曲がる。次いで冗談のように吹き出した血が私とシャミアを真っ赤に染める。
「ふぃふぁい!!ふぃふぁい!!ふぃふぁい!!」
「あはははははぁははぁはぁはぁはぁあ!!ショベン漏らすくらい気に入ってくれて嬉しいわ!!」
視界が真っ赤に染まる。腕が熱い!!恐る恐る見てみると斧は肩と肘の真ん中ぐらいの位置で肉を裂き骨を半分断ち切った位置で止まっていた。
「あら?でも全部切れてないわね?待っててね、直に切ってあげるから」
シャミアが斧に体重をかけながらゆっくりと上下に動かす。
その度に骨が断ち切られるゴリゴリという音と全身をバラバラにしそうな痛みが襲う。
「ふぁふぇふぇ!ふぁふぁひのうふぇをふぃふぁっふぁいふぇ!!」
「ああ!安心して!もう直よ!これでおわりぃい!!」
返り血に真っ赤に染まったシャミアが全体重を斧にかけたときブチンという致命的な音と共に私の右腕は切り離される。
そしてそのショックと出血と痛みがついに私の意識を奪うのだった。

良かった。これで悪夢から開放される。


「姉ちゃん!!起きてよ!!洗濯終わったぜ!!続きしてくれよ!!」
弟に体を揺すられ目を覚ます。
うぅ、最悪な夢。あの蜘蛛女!死んでまで人に迷惑かけるんじゃないわよ!!
でも良く起こしてくれたわね。欲を言えばもう少し早く起こして欲しかったけど。
お礼の意味を籠めて期待に息を荒くする弟にキスをする。そしてそのまま右手で私のお腹に当たる弟の子供おチンポを扱こうとしたところで、

自分の右腕が無くなっている事に気付いた。

「あれ?なんで?私の右腕どこ?」
右腕が無くなっている事にパニックになっている私に弟がなんでもないように告げる。
「どこって、姉ちゃんの右腕はさっき切られちゃっただろ?それよりも早く続きをしてくれよ姉ちゃん!早くしないと左腕まで無くなっちゃうよ!」
「ちょ!?それってどういう!?え?」弟を問い詰めようとしたところで突然私の左腕が地面に落ちた。
「ぎゃぁあぁぁぁあぁぁあ!!痛い!!痛い!痛い!!」次いで来る凄まじい激痛に床を転げまわる。
私の肩から吹き出す血が弟と私を真っ赤に染めていく。出血と痛みでまた急速に意識が遠くなっていく。
「あ~あ、時間切れか。それじゃぁ姉ちゃん、お休み」

そして私は弟の言葉を最後に意識を失った


「ふぎゃぁぁあああぁぁぁああ!!!!!」
突然左腕を襲った痛みに頭が覚醒し、次いで激痛に自らが作った血溜まりの中をのたうちまわる。
「あははははっははは!!おはようメイちゃん!!メイちゃんたら中々起きないから左腕を切って起こしてあげたわ!!あはははぁ!そうしてみると芋虫みたいで素敵よ!!あはっぁははぁああはぁあ!!」
何で!?何でまたここに戻ってくるの!!まさかさっきまでのが夢でここが現実なの!?違う違う違う!!痛い!イタイイタイよ!
そうよ!シャミアは死んだわ!だからこれは夢なの!でも痛い!痛い!痛いの!腕が痛いの!!この痛さは本当に夢なの!?現実じゃないの?
「そうねぇ、これからどうしましょうか?両足落として達磨にするかそれとも洋ナシでも使おうかしら?」
痛くて頭が上手く動かない。ここが現実なのか夢なのかわからない。ううん、どっちでもいい!誰か私を助けて!ここから出して!!!お願い!!
お願いお願いお願いお願いお願いお願いお願いお願いここは痛くて苦しいのお願いお願いお願いお願いお願いお願い痛いのは嫌なのお願いお願いお願いお願いお願いお願いお願いお願い誰か誰かお願いお願いお願いおうちに帰りたいのお願いお願いお願いお願いお願いお願いお願いお願いお願い
「決めたわ!」
シャミアがうわ言の様にお願いを言い続けながら転がる私を踏みつけ動きを止める。

「さぁ、ここからが本番よ。たっぷりとお啼きなさい。人間として生まれてきた事を後悔するほど愛してあげるから」

次回!メイのいけない性教育・四時間目『家庭科』に続いたらどーする?

 
後書き
某所からの移送です。良かったら見てください
 


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ンジャムジ、ようやくお前に謝りにいけるな
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*1 ※注 無事に帰れるかは保障しません