小説/長編

Written by えむ


「エーレンベルクはいただく」

 レックスの一言。それはその場に居合わせている者全員にとって、正気を疑うようなものだった。
 破壊するというのなら企業側につくことになる。逆に破壊させないというのならORCA側につくことになる。だがレックスが言ったのは、そのどちらでもなく「いただく」と言うもの。企業に破壊させないと言ってるようなものであり、ORCAには使わせないと言ってるわけだ。それはつまり、両者を敵に回すと、大々的に宣言したようなもの。
 これでレックスがフォートネクスト以外にも、それなりの戦力を伴ってきていれば説得力もあったことだろう。仮に単独でも、レックスがホワイト・グリントのリンクスである『彼』やステイシスのオッツダルヴァのように、とてつもない強さをもったリンクスだったなら、やはり反応は変わっていたかもしれない。
 しかしながら現状として、レックスのリンクスとしての純粋な技量は平凡。しかも戦力は、自分のネクストであるフォートネクスト1機。今、ここにいるネクスト全機を相手にしたところで、到底彼に勝機があるとは思えない。 
 それでも、その場にいる者たちが動かないのは、カラードでのレックスの評価にあった。この男が何の策も無しに飛び込んでくるはずはない、何か…あると。

「……とりあえず、企業側の出鼻はくじけた…か」

 動きを止めた企業側を見て、レックスはコクピット内で胸をなでおろす。
 戦力の量的には企業側が有利である以上、一度攻撃が始まってしまえば止めるのは難しい。そうなってしまってはエーレンベルクの破壊を阻止することは不可能にすらなってしまう。そういう意味では、その場しのぎとしても足を止めさせたのは僥倖だ。まさか、ここまで絶妙なタイミングで乱入できるとは思ってもいなかったのだが。
 そして、ORCA側からも攻撃はない。「エーレンベルクをいただく」と宣言した時点で、エーレンベルクは攻撃対象に含まれていないと言ったような物。エーレンベルク奪取のため、ORCAのネクストと部隊を排除しなければならないとは言え、企業が攻撃を開始すればORCAよりも企業撃退を優先することも明らか。そこで互いに消耗でもしてくれれば、ORCAとしては願ったり叶ったり。わざわざ余計な手間を使ってまで手を出す必要はない。リスクを減らすための判断としては、的確。指揮官は、相当優秀なようだ。

『問題はここからだぞ』
「……わかってる」

 セレンの言葉に頷く。
 立ち回り方を一つ間違えれば―――そこでゲームオーバーだ。1対1ならまだしも、複数を相手に出来るほどの腕がないことは、自分も良くわかっている。
 注意を企業側へと向ける。ORCAは完全にこちらの出方をうかがってる手前、先に手を出さない限りは大丈夫だろう。一番のネックは、エーレンベルクの破壊を目的とする企業側だ。
 とは言え、あまり何もせず放っておいても良くない。今の状況で戦えば、ほぼ確実に落とされる以上。時間を稼がなければならない。一応、そのための材料はそろえてきてある。

「王小龍。あんたと交渉がしたい」

 話を切り出す。

『…聞こうか』

 案の定、乗ってきた。常に策略を巡らせるような人間にとって、この手の提案は効果的だ。かくいう自分も、そういう提案を相手からされれば、まずは聞いてみようと考えてしまうのだから。
 話を続ける。

「こちらの目的は、エーレンベルクの保有であって発射する事ではない。よってエーレンベルクの安全さえ確保できるなら、そちらに協力する備えがある」
『発射しないと言う保障は?』
「アルテリアはいまだORCAの手中にある。回すエネルギーを止められて撃てるはずがない」
『使えもしない物を保有すると言うのか』
「そうなる。ただ残すだけの価値はあると、そう考えているからこそ破壊されては困るんだ」
『…企業連を敵に回すことになってもか』
「それが避けようないのなら…ね。最もそうならないことを願って、こうして交渉を持ちかけてるわけだけど」
『それを認めることによって、我々にどんなメリットがある?』
「この一件に関して、こちらは企業側に対し協力は要請しない。こちらが気に入らないのなら遠くから見守っておけば良い。それこそ捨て駒にするつもりで」

 戦略的な意味で、出した条件としては悪くないはずだ。レックスがエーレンベルクを奪取できればクレイドルの危険は回避できるし、企業側は損害ゼロで目的を果たすことが出来る。仮にレックスがORCAに撃破されてしまったとしても、その後をすぐ突けばそれだけで企業側のリスクは軽減することになる。少なからず相手は損害を被ることになるのだから。
 だが――この交渉条件では、こちらにとって有利な展開にならないのは明らかだ。エーレンベルクの破壊は企業連の総意。レックスの条件では、とてもじゃないが釣り合わない。
 だからこそ、次の手を先に打つ。

「…悪い話じゃないと思う。エーレンベルクの破壊こそが最重要とか言うのなら、話は変わってくるけど」

 さりげなく相手に向けて一石を投じる。
 もし、ここでエーレンベルクの破壊が重要だと言うのなら、自律兵器破壊のために存在するエーレンベルクは企業にとって何よりも困るということになり、こちらとしては企業と自律兵器の関係を知ることができる。クレイドルを守るのが目的ならば、エーレンベルクの破壊は絶対ではないからだ。
 もちろん企業と自律兵器の関係は、ラインアークも掴んではいない。自律兵器の量からして、配備したのが企業の可能性は十分に考えられたが、それに繋がる証拠は一切ない。よって、もしかしたら解体される前に存在していた国家の仕業である可能性もあると考えている。そちらの証拠も当然ないのだが。
 だが仮に自律兵器を配備したのが国家の方で、企業は自律兵器とは関係ない場合。その場合も、その存在を明らかにしかねないエーレンベルクの存在は脅威ではないはずだから、こちらの条件は飲めるだろう。
 そして例外として。もし企業が自律兵器と関係があったとしても、その事実を隠すことを何よりも優先するのであれば、やはり条件を飲むだろう。その場合は、自律兵器を配備したのが国家なのか、企業なのかはわからないままになるが。当初の目標であるエーレンベルクの確保は、やりやすくなる。

『……いいだろう』

 しばしの沈黙を経て、王小龍の答えはそういうものだった。

『だがエーレンベルクを撃とうとした時は――わかっているな?』
「約束はちゃんと守るさ。ご理解に感謝する」
『……一時撤退だ。ここはラインアークに一任する』

 そう告げて、ストリクス・クアドロが踵を返し、来た道を引き返していく。それに続き、残りの4機も後へと続く。

「いいのですか、王大人」
「構わん。余計な情報を与えるくらいならな」

 ブーストで移動を続けながら、リリウムの問いに王小龍は静かに答えた。

「余計な情報?」
「そうだ。アサルトセルと企業の関係についての」
「まさか、ラインアークはアサルトセルの存在を知っていると言うのか?」
「…有り得ない話ではないわね。フォートネクストは、クレイドル空域で一度作戦行動を取ってるわ。何かの間違いで、確認したとしても不思議じゃないわね」

 リザイアが、少し前にクレイドル03でフォートネクストが交戦していたことを思い出し、そのことを告げる。

「いずれにしてもだ。アサルトセルと企業の関係を、あの男――強いてはラインアークに握られることのデメリットを考えれば、これが最適の手段だろう。それにクレイドルはどちらにしても守られる」

 企業は、自分の決定を良くは思わないだろうが、アサルトセルにも関わることを伝えれば、ほぼ間違いなく黙ることだろう。その点で、咎めを受ける心配もない。
 それに、レックスが言ってた通り。彼がエーレンベルクの確保に失敗したとしても、その時は改めて予定通りに動けばいいだけのこと。そう考えても、判断としては間違っていない。ただ一つ。

「ラインアーク…。どうやら、また無視するわけにはいかなくなってきたか…」

 かつてホワイトグリントがいた時のように。ラインアークの存在感が、少しずつ大きくなっているのは紛れもない事実だった。






「……撤退したか。うまくいけば、決定的な情報が掴めると思ったんだけどな
『あの陰謀家のことだ。あの言葉の裏にある意図に気づいたのだろう』

 撤退していくネクストの後ろ姿を見つめながら、レックスは小さく肩をすくめていた。企業連の総意を盾に、こちらの提案を蹴ってくるかとも思ったのだが、予想以上にすんなりと撤退してしまったのだ。
 場合によっては、こちらが撤退することも覚悟して、話を切り出してみたのだが。どうやら密かな目論見の方は上手く行かなかったようだ。それほどまでに自律兵器のことを知られたくはないと言う事か。それとも企業は関係ないのか。どちらにしても、それを確認する術は今はない。

『まぁ、自律兵器の件は後だ。まだやることがあるのだからな』
「わかってる。むしろ、ここからが本番だ」

 だが、それに関しては後ででもどうにかなる問題だ。今はエーレンベルクを確保するために得た絶好のチャンスを逃さないことの方が優先だ。

「待たせて悪かったな」

 今度は通信をORCAのネクストへと繋ぐ。

『あわよくば企業と潰しあってくれるかと思ったのだがの。よもや、企業を撤退させてしまうとは。お前さん…リンクスよりも他の職業の方が向いておるんじゃないか?』
「さぁ、どうだろう。考えたこともなかったな、それは…。それよりも一応尋ねるが。エーレンベルクを明け渡してはくれないよな?」
『明け渡すつもりなら、最初からこうして迎撃になど出て来んよ』
「……だよな。だったら仕方ない」

 ゆっくりとフォートネクストをエーレンベルクのほうへと向ける。その根元には、重二脚型アルギュロスベースのネクストが立っている。

「改めて言わせてもらう。エーレンベルクをいただく!!」
『やれやれ。まぁ企業を相手にするよりはマシか。若いの、簡単に行けるとは思うでないぞ?』

 ORCAのネクスト。月輪が前へと移動を開始する。それに対し、レックスもフォートネクストを前へと出す。

『敵はハイレーザーライフルにプラズマライフル。アルギュロスベースだから重装甲に分厚いPAも持っている。だが…あの背部装備はなんだ……?』
「…あれは僕も初めて見る。警戒しといた方がいいな」

 セレンが相手の機体の背部に備え付けられた装備に気がつく。大抵の装備は頭に入っているが、月輪が装備している背部兵装だけは見たことのないものだった。当然レックスも知るはずはない。見たことのない装備に警戒を強めつつ、さらに移動。互いの射程内へと相手が入る。
 レックスは左腕のNUKABIRAと背部のOIGAMIを起動。通常ブーストで横へと移動しつつ攻撃のチャンスを伺う。
 先手必勝とばかりにNUKABIRAを発砲。月輪はクイックブーストで回避。ブーストを使って少し浮上し、マニュアルで地面狙いで撃ちこみ、爆発に巻き込む。

『…器用な真似をするものだ』

 だが直撃弾でないのに加え、アルギュロス特有の厚いPAと装甲が爆風を防ぎ、思ったよりもダメージは通らない。

『だが、その程度なら問題もない。次はこちらの番と行こう』

 プラズマライフルが火を吹き、フォートネクストに直撃。プラズマ弾の炸裂による影響によってその場一体が電磁波に覆われる。ECMと同じその効果によってレーダーが潰されたのも束の間。月輪が丘の向こう側へと消える。

「…どう来る…?」

 無闇に動かず相手の出方を伺う。次の瞬間、周りが青白い光に包まれた。

「………っ!?」

 身の危険を感じ、条件反射的にその場からクイックブーストで離れるフォートネスト。そして、今フォートネクストがいた場所を、青白い光の塊が飲み込みつつ遠くへと消えていく。
 直撃はしなかったものの、PAが一気に削り取られていた。そのままここの留まるのは危険だと、すぐさまそこから移動。再び丘の影へと見えなくなる月輪の姿を捉える。

『気をつけろ。あれは大出力のコジマ兵器らしい』
「しかもチャージなしであの威力とか…。反則だろう…」

 一瞬、背部兵装が展開しているのが見え、先ほどの攻撃とあわせて、それがコジマキャノンの一種であることがすぐにわかった。そして同時にコジマキャノン特有のチャージングがなかったことに気づく。死角に入ってから攻撃があるまで、ほとんど時間は過ぎていない。その僅かな時間で、コジマキャノンをフルチャージすることは不可能なはずだが、放たれた一撃は強烈なものだった。
 直撃すれば、防御特化のアセンとなっているフォートネクストでも何発もは耐えられないだろう。せいぜい1発がいいところだろう。
 そうこうしているうちに向こうがハイレーザーライフルとプラズマライフルを撃ってきた。こちらもレールガンとOIGAMIの時間差射撃で応戦。互いに被弾する。

「………まずいな」

 防御力はこちらに上回っているし、耐久値もこちらが上だ。火力も数値上は大差はない。むしろ上だ。だが向こうはハイレーザーとプラズマ、そして大出力のコジマ兵器。実弾よりも攻撃が通りやすい装備ばかりだ。さらに攻撃間隔の差もある。一発の威力は高くても頻度が低すぎる。このまま削り合いを続ければ、落ちるのはこちらが先だ。
 しかも相手は重量型ながら、プラズマライフルによるECM効果と地形を巧みに利用して攻撃を仕掛けてきていた。わざと地上戦を仕掛けてくるのは、最初にみせたOIGAMIとレ-ルガンの空中起爆を警戒してのことだろう。
 結果として、起伏に富んでいるここの地形では却って、持って来た装備が仇になってしまっている。弾数の都合、無駄撃ちができないのもあって、ペースは完全に相手の方へと傾いてしまっている。
 これでエーレンベルクの防衛砲台からも攻撃があったら、本当にどうしようもなくなるところだ。戦闘開始と同時に砲台から死角となる場所へと戦場を移し、それは何とか避けられているが。
 APはまだ70%近くを残している。それでも流れは良くない。

「……技量も経験も上ってことか」

 元より技量は低いことは自覚している。唯一武器と出来るのは、レイヴン時代に重ねた実戦経験と持ち前の状況分析力。傭兵だったのもあって、戦場経験はかなり多いほうだと思う。だが幾ら多くても年齢と言う壁はある。時を重ねて熟成した経験は、それはそれで大きな武器となる。
 数回の立ち回りを経て、レックスは対峙している相手にそれを感じ取っていた。

『児戯だのう、お前さん。まるでよちよち歩きだ』
「そりゃそうだろ。てきぱき動けるほど器用じゃ……ないっ!!」

 クイックブースト。再び紙一重のタイミングで相手のコジマ兵器をかわす。再び消し飛ぶPA。そこへ容赦なくハイレーザーが叩き込まれる。
 コアをアルギュロスに変えていて本当に良かった。そんなことを思いつつ、なんとか連続クイックブーストで岩陰へと滑り込む。AP60%。いよいよ持って危なくなってきた。

『だが思ったよりも粘る。まぁ、それならそれでこちらにも手はあるがの。―――お前さんの出番だ、ハリ』
『やっと俺の出番ってわけか!!いくぜっ』
「……っ!?」

 フォートネクストのレーダーに新たな機影が映った。それは瞬く間に距離を詰め、フォートネクストの真上を取る。

『ランク10 クラースナヤだと!?なぜカラードのリンクスがここにいる!?』
 
 カメラを通じて、新たに現れたネクストの姿を見たセレンが驚きの声を上げる。
 そうしているうちに赤いアリーヤ…クラースナヤの背部に積まれた有澤製のグレネード――レックス自身馴染みのあるOGOTOがフォートネクスト目掛けて撃ち下ろせる。
 発砲音を聞くと同時に、ブーストを使って僅かに浮上。すぐさまバックブーストで下がる。だが安全圏までは逃げられない。正面で爆発が起こり、PAが爆風を軽減する。

「さすが有澤製グレネードだ…」
『こんな時に感心している場合か!!相手は戦闘時間こそ短いが、オッツダルヴァにも並ぶ天才だぞ!!』
「…っ!!」

 オッツダルヴァにも並ぶ天才。だとすれば、勝てる確率は低い。すぐに再び回避行動に移る。だが避けられない。振り切れない。
 クラースナヤの動きは、これまでレックスが見てきた中でも特に機敏に感じられた。コレに匹敵するとしたら、ラインアークの防衛で見た二機。ホワイトグリントかステイシスくらいのものだろう。いや、もしかするとそれよりも鋭いかもしれない。
 鋭く、速く、縦横無尽にクイックブーストで動き回りながら、その速さの中で確実にライフルとグレネードを当てに来る。グレネードだけは、ぎりぎりのところで直撃弾を避けるも、ライフルはほとんどかわせなず、被弾が重なっていく。
 クラースナヤの猛攻から逃れようと、必死で回避行動を取っているうちに戦場は陸地から、水上へと舞台を移していた。

『そいつだけに注意を向けるな!!敵は一人じゃないんだぞ!!』
「………っ?!」
『そういうことだ。忘れてもらっては困るよ』

 元々一対一の戦闘が精一杯のレックスに、月輪の動きにまで注意を払う余裕はなかった。再び注意を向けたのは、セレンに怒鳴られてから。だが気づいた時には遅い。
 すでにアサルトキャノンは展開済み。タイミングさえ合えば、アサルトキャノンの直撃を回避することはできるかもしれない。だがPAを今全て持っていかれれば、クラースナヤの猛攻に耐えられずに落ちてしまうだろう。
 だがレックスは諦めてはいなかった。ほぼチェックメイトと言える状況に置いても、どこかに突破口はないかと

「くっ!!」

 アサルトキャノンが放たれる。その次の瞬間、レックスはブースターを完全にカットしていた。フォートネクストが水の中へと沈み、その頭上をアサルトキャノンの砲撃が通り越していく。
 そして、フォートネクストの上半身を上へと向ける。フォートネクストはまだ水の中だが、はるかに砲身の長いOIGAMIの方向は水面から顔を覗かせている。その先にいるのはアサルトキャノンを撃ち終わったばかりの月輪。

『むぅっ!?』

 OIGAMIが火を吹く。だが発射直前、OIGAMIの砲口に気が付いたネオニダスは、その射線上から月輪を回避させていた。撃ちだされた榴弾が月輪のPAを掠め、虚空へと見えなくなる。

「……かわされた…っ」

 一か八かの不意打ちだったのだが。その一撃は見事に回避されていた。
 再び水上へと上がるフォートネクストに、月輪のハイレーザーライフルとプラズマライフル。クラースナヤのライフルとグレネードが向けられる。

『なるほど、リンクスだ』

 NUKABIRAとOIGAMIを向けるフォートネクストを見て、ネオニダスが呟く。現状においてフォートネクストの勝ち目はほぼない。それでもいまだ、そこに諦めの色はなかった。最後の最後まで諦めない。その姿勢に少しばかり感心する。

「……さすがに、詰んだかな…」

 最後まで抵抗するつもりではいるが。それでもこの状況を突破できる方法が浮かばない。もう少し装備を違っていれば少しは変わったかもしれないが、相手がわからないのに適切な装備を選ぶことなど出来るはずもない。
 覚悟を決めるしかない。そう考え始めた所で、セレンの一声が届く。

『レックス。もう少し粘れ。それでどうにかなる』
「…え?」

 次の瞬間、月輪とクラースナヤに複数の小型ミサイルが襲い掛かった。突然の攻撃に、両機はフォートネクストから離れ、回避行動へと移る。

『増援か?』

 レーダーを確認すると、一機のネクストが近づいていた。すぐに機体を翻し、そちらの方へと振り返る。

『……何?』
『おい、あれは―――』
「……なんで…」

 そのネクストは、まだ遠くにいた。ここからでは機体の判別も難しい距離。にも関わらず、ネオニダスも、ハリも、そのネクストを判別することが出来た。そしてレックスも。
 誰もが、唖然とする中。その場に向けて、そのネクストから通信が届く。

『こちらホワイトグリント。救援に向かう、持ちこたえてくれ』

 その一言は、この上なく頼もしいものだった。

 
To Be Countinue……


now:155
today:2
yesterday:2
total:1766


移設元コメント


☆作者の一言コーナー☆
 ネリスのヒロイン化をあきらめた、えむですorz
 ここからいちゃいちゃさせてもダメだよね、絶対…。
 てか、色々予定の関係で、もうちょい先になりそうだし…。

 まぁ、それはさておいて。エーレンベルク攻防戦中編。結局まとめきれずに3部構成となりました。なんなんだこの熱の入れ具合。
 例によって突っ込みどころ満載の展開だっただろうとは思いますが、自分の中では納得がいき、満足のいく展開のつもりです。よって悔いはない。
 そしてレックス・フルボッコ。でもまだAP40%はあります。タンクの40%あなどるなかれ。増援も来たし、まだまだこれからです。

 今回はわけあってコメントレスは控えさせていただきます。
 ですが、たくさんのコメントありがとうございました。あまりの多さにひるんだのは、ここだけの話ですorz

 さて次回はエーレンベルク攻防戦後編。どうなるかわからないけど、あまり期待せずにお待ちください。
 あと次の更新は1週間以上開くと思います。――ACE:Rにしばらく時間をとられると思うので(ぉぃ
 
 では今回はここまで。お付き合いいただきありがとうございました~(・▽・)ノシ


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