Written by クロエ


世界のほぼ全てが荒廃した世界、人々が住める地域は「シティ」と呼ばれ、そこを統治している
そして必然的に防衛部隊は非常に多種多様の兵器を保有することになる
一番復旧しているのが普通の戦車や戦闘ヘリを始めとした兵器だ、さらにそこに
「AS-12 AVES」を代表とする高機動型
「R2B SHCHIT」を始めとした盾を有した機体であり、機種にもよるが高火力高防御力を誇っている
そして最後に「Sz11 SPEER」を始めとしている狙撃型、この種は遠距離攻撃に長けている

今回は防衛型に主眼を当てて見よう

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シティ防衛部隊北西担当の「第13特殊防衛部隊」は対AC専門の部隊であり、ACとの戦闘を主体とした戦術、及び武装を保有している

部隊創設当時は防御力も低い「R2B SHCHIT」を運用していたが、当時の部隊長の意向で運用方法を対AC戦闘にしたことでシティ防衛部隊の直上の組織「警備部隊」の目に留まり、新型や試験運用中の機体を優先的に回される様になった
最初こそ盾無しの「R2B SHCHIT」だったが、「R2B SHCHIT」に盾を装備したモデルを始めとしてからグレネードキャノンを装備し、盾を標準装備した「R2B2 SHCHIT2」やAC用のパルスキャノンを小型化し装備した「R2B3 SHCHIT3」を運用し、ACとの戦闘を互角以上に繰り広げている

その為優秀な人材を優先的に回されるが、同時に損耗率も高く、ACを一機撃墜するだけで部隊の半数の機体を失う時もある、それでも優秀な指揮官がいる為、部隊の解隊は″まだ″されていない

そんな部隊の会話と対AC戦術のお話

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「ねぇ隊長、対AC専門の部隊なのはいいんですが、なんで俺らは出撃の機会が無いんですか?」
金髪の好青年が言うと隊長と呼ばれた男が

「あぁ、今はお前らが乗る予定の 「R2B3 SHCHIT3」の整備中だ、あぁ見えて繊細な機体なんだ、それまではシュミレーターで我慢してくれ」
隊長は頭を掻きながら

「まぁなんだ、″あんな″戦闘方法だがあの方法でこの部隊は戦果を挙げてる、諦めろ」
そういうと部隊員の方を向き

「では質問だ、我々の運用する R2B SHCHITの特徴はなんだ?」
そう尋ねるとすかさず

「「「二脚型ACで運用出来る並大抵の攻撃を弾くシールド!圧倒的連射力を持つガトリング!これにより相手の頭を上げさせないことです!!」」」

部隊員が立ち上がり、後ろ手で手を組みそう言うと隊長が

「では R2B2 SHCHIT2の特徴はなんだ!!」

「「「ACの姿勢を容易く崩す高威力のグレネードキャノン!!初期型の R2B SHCHITの持つ盾よりも頑固なシールドを持ち更に堅牢に仕上がった機体です!!」」」

「では聞こう!! R2B3 SHCHIT3の特徴はなんだ!!」

「「「軽量級の装甲を容易く溶かすパルスキャノンの連射により軽量級を叩き潰し!ACと違い構えやエネルギーの心配が無いことですが!!その反動で自分の持つ盾を溶かしてしまうため盾を運用出来ないことです!!」」」

「よし、上出来だ!!新人は10分後にガレージに来い、直々に教えてやる」

「解散!!」
隊長が最後に言うと即座に部隊員が解散し、ブリーフイングルームに残ったのは部隊長だけだった、そして部隊長はガレージの方面に歩いて行った

~~~~~ガレージ~~~~~

「よし、来たな新人共、これがお前らの乗る R2B3 SHCHIT3だ、と言っても訓練用に改造されたやつだが、基本性能はキャタピラを移動手段とし、陸地に関しては圧倒的な走破性能を有している、そして近接時はパルスキャノンでは無く体当たりを行うと、例えACであろうとダメージは必須であることを忘れるな、いいな?」

パイロットスーツに身を包んだ部隊長が言うと黒髪の青年が
「隊長、質問宜しいですか?」
と素直に言うと

「なんだ、岡部」

「は、肩の突起物は確かにACにダメージを与えれると思いますがそこまで接近されたのであれば我々の死は確定しているのでは?」
手を後ろ手に組み、疑問を問いかけると、隊長が

「そうだな、良い質問だ、確かに体当たり出来る距離であれば我々は既に死んでいる可能性があるだろう、しかしACにはブーストチャージと言う攻撃方法があるのは知っているな?相手がブーストチャージの姿勢を取ったら即座にキャタピラを後ろに回し後退、ACのブーストチャージが空振りした所で体当たりをぶちかますのだ」
隊長がさも当然の様に言うと岡部と呼ばれた男が

「しかしACにはレーザーブレードや射撃武器があります、そちらにはどう対処するのですか?」
疑問を続けて言うと

「その場合はR2BSHCHITやR2B2SHCHITの盾に任せるのが一番だ、貴様の乗る機体は盾が無い分ACのライフルやバトルライフルが脅威だが、盾持ちに任せることで、R2B3 SHCHIT3のパルスキャノンを叩き込め!」

「分かりました、ご指導ありがとうございます」
そう岡部が言ったのを聞いた隊長は少し後ろに下がり、部隊員の方向を向き
「よし、では今回の教義の内容だが……」

そこまで言った直後館内無線から

「緊急連絡!!緊急連絡!!所属不明ACが此方に向かっています!対AC専門部隊は直に出撃をしてください!!繰り返します……」
館内無線が告げたのは所属不明ACの進行、つまりはシティに攻撃を仕掛ける可能性が高いということだった。
最初に反応したのは隊長だ

「お前ら!!無線の内容はわかったな?お前らは第3ガレージに向かえ、そこに訓練機じゃないR2B3 SHCHIT3がある、そこにいるオペレーターの指示に従え!!俺は出撃する!」
激しく怒鳴るように言うと直ぐ様部隊員が

「「「了解!!!!」」」

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所属不明AC視点

「聞こえる?アンタ、今回の作戦内容はシティ防衛部隊の殲滅、とは言っても数を減らすだけよ、残弾が少なくなったり、機体の損傷が激しくなったら撤退するわよ」
ACを牽引するヘリに乗っているミグランドの女性オペレーターは作戦の内容を告げると、少し驚いた様子で別の女性が

「珍しいですね、アナタが彼の心配をするなんて、少し意外ですね」
と本音を漏らすと

「仕方ないでしょ、今回の撃破対象が対AC専門の部隊なんだから、心配するわよ」
と、呆れる様に言うと

「そう……ですよね、相手の詳細情報はないんですか?彼にデータを送れば少しは危険が減るのでは?」
器機の操作になれない女性はそう勧めると

「それにしてもコイツらおかしな戦い方をするわね、機動型で撹乱して、防衛型で攻めるのはセオリーとして、盾を主武装なんて戦い方間違えてるんじゃないかしらね」
データを送信しながらそう言うと何かに気付いた様に顔を上げ

「ちょっとぉ!!RDぃ?AC投下地点過ぎてるじゃない!教えなさいよ!!」
声を少し荒げながら前の座席に座る男性の背中を蹴ると

「聞こえる?ちょっと投下地点過ぎちゃったけどAC投下するわね、撤退するなら連絡いれてね、じゃあAC投下」
そう言ってACを投下し、ヘリは急旋回し、予め用意してあった安全地点でACの回収の準備をする

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対AC専門部隊視点

「高速で接近する敵ACを確認!こちらの応答に返答をしません!!各機迎撃態勢!!」
館内無線、機体内無線が激しく情報を吐き出す

「敵ACの機体構成はライフル二丁!バトルライフル一丁!ヒートパイル一丁です!中量二脚構成です!!」

「敵ACは最近目まぐるしく活躍しているレジスタンスの傭兵の模様!!」

「高機動型は出撃、迎撃急いでください!!接敵まで約2分です!!」

「狙撃型ポイントに到着を確認!!敵ACが射線に入り次第攻撃を開始してください!!」
情報を吐き出す無線はその都度内容を変えるが、今は専ら作戦内容だ
その中にも幾つか種類があり、敵ACの武装を知らせる物、自陣営の部隊の配置の有無等々である
その中で唯一静かに応答を行う部隊がある

「こちら突撃部隊、高機動型が戦闘に入り次第突撃を敢行する、各自それに伴い作戦を開始せよ」
盾を持たないR2B3 SHCHIT3に乗る部隊長が述べると

「了解、これより突撃援護に付く、管制塔、リコンジャマーの適宜展開を頼む」
リコンジャマー、ACが持つ偵察ユニットである「リコン」の効果を阻害し、一定範囲内のリコンは効果を失う、これが対AC専門部隊の一つの武器だ

「こちら管制塔、安心しろ、そちらの位置は適宜確認している、心配するな」

「第13特殊防衛部隊の皆さん、聞こえますか?高機動型があと約1分で交戦区域に到着します、準備をしてください!」
若い女性のオペレーターが告げると

「よし、作戦はいつも通りだ、敵の行動によっては変更を伴うが、それまでは各自戦闘を続行しろ」
部隊長がそう言うと無線に連絡が入り

「ただいま先行していた防衛部隊が敵ACと接触、交戦しています、時間はありせん、すぐに出撃を!」
オペレーターの無線を聞いた部隊は直ぐに行動を開始、交戦区域に向かって行った。

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未確認AC視点

「聞こえる?作戦はさっき確認したように防衛部隊の数を減らすことよ、そんな機体だけど真っ正面からなら負けないはずよ、頑張ってね」
それだけ言うと無線は一方的に切られた

「はぁ、こんな機体じゃ高機動型すら落とせる気がしないよ」
とポツリと呟いたのは誰に聞かれるでも無く散って行った

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防衛部隊視点

「お、おい……なんだあれは?」
ポツリと先行していた防衛型のパイロットが呟く

「いや、あんな機体は産まれて初めて見た、どうすればいいんだよ…………」
一人がポツリと答えた、それもその筈だ、敵ACの武装は「ライフル二丁、バトルライフル一丁、ヒートパイル一丁」のはずだったのだが、目の前にいるACの武装はレーザーライフル、しかも既存のレーザーライフルの中で最も重い「KARASAWA」と呼ばれる武器を「4つ」搭載している、脚部は中量二脚、射撃精度の高い腕部にレーザー兵器に強いコアパーツ、そしてカメラ性能に特化させた頭だ
レーザーライフルを積むと必然的に大型で容量の大きいジェネレーターを搭載しないとレーザーライフルがすぐに使えなくなる、それを理解した上で言った言葉はただ一つ

「「「重量過多じゃねぇか!!!」」」
部隊内無線では無くオープン回線の為向こうにも聞こえる、勿論味方にもだ
そして無線にほぼ同時に
「あ、防衛部隊の方ですか」
「おい貴様らオープン回線で何をしてる!」

と、そして叫んだ防衛部隊員は
「すみません隊長、敵対していないもので、判断を請いたいです」
先行部隊を率いてた部隊長はそう聞くと

「間もなくそちらに到着する、逃がすなよ」
それだけ言い残し、無線を切った

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所属不明AC視点

「あぁ、なんかヤバそう、だから嫌なんだよこんな重量過多な機体で出撃とか、防衛型に来られたら絶対死ぬ、間違いなく死ぬ、重いし旋回しないし……」
そうぼやいてると偵察ユニットのリコンに反応が多数確認出来た

「ハッ!?やばいやばい敵は!?数は!?つーか旋回間に合わねぇぞ!!」
一人で仲間と無線を続けながら言うと

「うるさーい!なぁによ旋回ならブーストを使ってジャンプしながら旋回しなさい、ちょっとはマシになるから、じゃあねぇ」
無線を一方的に切られた、しかしそんなことを聞ける訳でも無く

「よし、よし落ち着け落ち着け、大丈夫大丈夫、旋回しよう、攻撃しなきゃ攻撃されない筈だ、ブーストも使わないで回れば平気だろう」
そう言いブーストを使わずに小さく足元を動かしながら旋回をしていると、突然

「「「重量過多じゃねぇか!!!」」」

「え?なに?」
としか言えなかった

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新たに防衛部隊の機体が数機交戦区画に突入、それは防衛部隊の隊長率いる小隊だった
「こちら防衛部隊隊長、交戦区画に突入、これより戦闘体勢に移る」
防衛部隊隊長はいつでも攻撃出来るように体勢を整えてから突入を図ったが、無用の心配だった

「あれ?隊長、遅かったですね、こいつ全く動きませんよ、まだ旋回してますよ」
呑気な声で部下の声を聞くと直ぐ様

「ほらお前ら、コイツに敵意が無くても高機動型は落とされた、とっととコイツを始末して帰るぞ」
そういいながら敵ACの側面に回り込み盾で相手の旋回を阻害、それに習い部下達もACを囲み、ACを動けなくした

「え?え?何?やめてくれ……!」
言葉はそこで途絶え、残るのは多数の防衛型に囲まれるACとひたすらにACを盾で殴る防衛型だけだった

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後に分かる事だが後にも先にもあの傭兵の操るACを撃破したのは「第13特殊防衛部隊」だけである、傭兵は死にかけながらも生き延び、当時の事を語る時は
「あの時は本気で死ぬかと思った、それにあんな風に囲まれるともう頭の中レイプしかよぎらないんだね、はじめて知ったよ」
と笑いながら語るのである


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