小説/長編

Written by えむ


 独立傭兵と言うのは、結構面倒な物である。依頼の大半が企業である以上、企業に嫌われては仕事を失う可能性があるからだ。
 傭兵によっては「企業寄り」の傭兵もいたりはするのだが、レックスはどこかを贔屓するつもりは全くない。どの企業にも深くは肩入れせず、けれども極端も敵対しない。そのスタンスが一番動きやすいと思っているくらいだ。
 だがそうした立ち位置を取る以上は、企業のご機嫌取り…と言うのも重要になってくる。
 増して、GAグループに所属するBFFのフラグシップを撃破した以上、何が何でもGAとの関係は改善しておく必要がある。GA系列の装備が多いことを考えても、ガチタン&実弾爆発系大好きリンクスであるレックスの個人的な事情としても。
 そんなわけで、レックスはGA優先でのミッションを受け、今に至っている。

 そこで今回受けた任務は、GA輸送部隊を救援すると言うものであった。
 現在輸送部隊にインテリオルのAF部隊が接近しているので、攻撃を受ける真に撃破してほしいとの事。もちろん、二つ返事で承諾したレックスは、現地へと急行した。
 今回の装備は、毎度同じ有澤製普及グレネードに、テクノクラート製の5連ロケット砲CP-51の二種類。例外なく、二つ差しでの出撃だ。
 
「……なぁ、セレン。なんでランドクラブって…あちこちで使われてるんだろうな」
「量産型AFと言うのもあるのだろうが…。拿捕されたりすること多いらしいぞ…?」
「なるほど。それで自分の所らしさを出す装備を乗っけると」

 カメラを通した先には、多連装型レーザー砲を搭載したランドクラブの姿が二機あった。あとは、護衛のノーマルがちらほら。

「そういや、前にトーラスも持ってたな。…インテリオルがレーザーなら、トーラスはコジマ兵器とか?」
「……充分にありうる話だ。それより、そろそろミッションを開始しろ。ぐずぐずしていると、輸送部隊がやられるぞ」
「おっと、それもまずい。それじゃあ、行くかっ」

 すぐにオーバードブーストを起動し、ランドクラブへと突っ込むフォートネクスト。正面から両肩に積んだ5連装ロケットへとFCSを変更。それらを連射しつつ突っ込み、ランドクラブの足の下を潜り抜ける。そして、通り抜けたところでクイックターン。180度向きを変え、グレネードを叩き込む。

「よし、まずは1機だ」

 セレンの撃破報告で確認し、2機目も同じような機動で撃破。そのまま残るノーマル部隊の掃討へと移る。レーザー兵器には弱いGAフレームではあるが、そんなのお構いなしにグレネードで粉砕していく。
 仮にも以前の状態でも勝てる相手。今のレベルアップしたレックスにとっては、大した脅威ではなかった。
 結果として、護衛部隊に損害はなし。そこそこのダメージと弾薬費で出費も小さく、GAのご機嫌取り第一段階は、ほぼ成功に終わったと言って良かった。

□ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □

 さて、GA輸送部隊の救援を成功させてから数日が過ぎたある日のこと。思いもよらない相手が、レックスの元を尋ねてきた。
 ちょうどセレンはその日、別用にて外出。レックスは日ごろの日課でもあるシミュレーションの訓練――高速機相手にグレネード縛りをしていた時のこと。訓練が一段落し、シミュレーターから出てきたレックスに、不意に声がかかったのである。

「少し、時間をもらえるかな?」
「はい?―――うえぇっ!?」

 落ち着いた渋みのある声に、振り返ってみれば。そこには以前協働した相手である有澤隆文、本人がそこにいた。まさかいるとは思わなかっただけに、レックスは冗談抜きでびびってしまったが。

「え、えっと。あの…。僕に何か…?」
「そう硬くなることはない。時間が少し出来たのでな。同じタンク乗りのリンクスとして、話でも思ったのだよ。もちろん君がよければだが?」
「だ、大丈夫です。忙しいわけじゃないので…っ」
「そうか。では、とりあえず場所を変えるとしよう。来たまえ」

 そう言って歩き出す彼を見て、レックスもあわててその後を付いていく。そして数分後には、二人はカラード施設内にある休憩室の一角にいた。
 有澤本人は落ち着いた様子でどっしりと構え座っているが、レックスは変に緊張してガッチガッチ。前から話してみたかったというのは事実だが、いざこうして対峙している言葉が出てこないのである。存在感になんか圧倒されて。
 何か話題。何かないか…とレックスが一人悩んでいると、救いの手は向こうのほうからやってきた。

「さて、唐突で悪いのだが。なぜタンク機を選んだのか、聞かせてもらってもいいかね? 私の場合は、自社の機体がタンクだった…というのもあるがね。独立傭兵である君は、そんな制約があるわけでもなかろう」
「あ、はい。まぁ、なんと言うかすごい単純な理由だったりするんですけど…」

 そう断って、レックスはタンク機を選んだ理由を説明し始めた。
 多少の攻撃を物ともしない頑丈な装甲。タンク機ならではの圧倒的とも言える重量感。その類まれない積載量から携行可能となる大火力兵装の数々(主に爆発物系)。ネクストにはないが、キャタピラの独特の走行音の響き。それでいて、タンクと言う存在の歴史の重さと深み―――。
 
「そういうのが、すごくかっこいいと言うか。あこがれると言うか」
「なるほど。だが、その気持ちはわからなくもない。他の機体では感じることの出来ない物だからな」
「そうなんですよ!! 軽い機体も悪くはないと思うんですけど。グレネードキャノンとか、反動の大きな武器の反動に耐えられないし。そう考えれば、重装甲タンクに大口径キャノン。この組み合わせは、もうガチだと思います」

 これしかありえん。とでも断言するかのように、拳を握りつめて言い切るレックス。それに対し、社長も腕を組んで頷く。

「私も同意見だ。反動を打ち消す最も効率のいい方法は機体重量を持って御すること。だから同じタンク脚部でも、たとえばインテリオル製のものでは大口径砲は使いこなせまい」
「それは仕方ないですよ。インテリオルはエネルギー兵器主体の企業だし。たぶん反動の大きな武器を積むことは最初から想定してないじゃないかと」
「なるほど。しかし…インテリオルのタンクは、エネルギー兵器への耐性は優れていると聞いている。私個人としては、その辺の技術も組み入れたいとこなのだが…」
「GAとインテリオルは仲悪いですからね…。実弾兵器にもエネルギー兵器に対しても鉄壁の防御を誇るタンク…。そんなのが出来たら、最高なのに…」
「GAの傘下である以上、現状では無理な話なのが残念だよ」
「本当ですねぇ…」

 二人そろってため息をつく。気がつけば、いつの間にか意気投合してる。レックスも最初の緊張はどこにいったのやら、と言ったところである。
 話は、さらに続く。
 
「それにしても、どうしてグレネードキャノンって…作るところ少ないんでしょうね」
「今のところ、我が有澤重工以外には、アルドラとアルゼブラのみと言ったところだったか。恐らく、火薬を主とする兵器など時代遅れとでも考えているのだろう」
「時代遅れねぇ…。着弾時の爆発や、それに伴って発生する空気の振動感がいいのに…。あれは火薬を大量に使用する榴弾ならではの良さですよね」
「うむ。レーザーキャノンやプラズマキャノンも兵装としては優秀なのは認めるが。実弾使用の歴史は、エネルギー兵器とは比較にならないものがある。いわば歴史の重みと言う奴だ」
「年季が違うってことですね。でも現状だと、グレネードキャノン以外じゃ感じれないのが残念か。例外はMSACの大型ミサイルかな?」
「あれか。実はあれの開発には、有澤重工も関わっていてな。主にミサイルに搭載する炸薬関連で技術協力をしたことがあるのだよ」
「そうなんですか? 道理で、ただの大型ミサイルにしては爆発のレベルが高いわけだ…」
「ほぉ、それがわかるか」
「わかりますよ。あの爆発力は、そうそう出せる物じゃないですし」

 なにやら納得した様子で唸るレックスに、社長はひどく感心した様子だった。
 周りで聞いている面々に言わせれば「え?爆発にレベルってあるの?」と、まずそこに突っ込みを入れるところであるが、どうやらレックスと社長にはそれがわかるらしい。

「そう考えると、老神もぜひ使ってみたいな。あれは大口径の実弾キャノンとしては最高傑作だと思いますし」
「…ふむ。ならば、一つ進呈するとしよう。最も、量産はしていないので、組み上げに時間は要することになるが」
「マ、マジでですか!?」
「何…、今までここまで話がわかる者など、そうそういなかったのでな。それに、君の最近の活躍も聞いている。そんな君に、我が有澤重工の傑作である老神を使ってもらえれば、宣伝にもなると言う物だ」
「あ、ありがとうございますっ」
「ふっ…。では、私はそろそろ失礼するよ。少しの時間だったが楽しませてもらった。また会おう」

 老神ゲットフラグに大喜びするレックスに、笑みを浮かべて。社長は、席を立ってその場を立ち去っていく。そんな彼の背中を見送って、見えなくなってから。レックスは、すぐさま携帯端末を取り出し、ネリスへとメールを送った。
 内容はこうだ。
「老神キタ━━━(゚∀゚)━( ゚∀)━( ゚)━( )━( )━(。 )━(A。 )━(。A。)━━━!!」
 そして、それに対するネリスの返信はこうだった。
「乙」






 それから数日後。GAからPA-N51襲撃の依頼メールが届いた。関係修復のためにと、迷うことなくその依頼を受諾したレックスであったが―――
 そこで思いもよらぬ展開に直面しようとは、その時のレックスは知る由もなかった。

To be countine……


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移設元コメント


☆作者の一言コーナー☆
 
 題名センスないなぁ…と思っている、えむです。
 今回も間幕。だからって、この題名はどうなのだろう…orz

 有澤社長再登場の巻。そして老神フラグ。まぁ、実際に使い出すのは、もうしばらく先となりますが。
 ちなみにお茶会はカット。理由はSoM撃破時点でのレックスの評価は平凡以下。よってお茶会は原作と全く変わらない内容にだったからです。レックスの主人公としての本番はチャプター2からなのです。

 そして次回、今度こそチャプター2へ突入。
 オリジナル展開も出てきますので、その手が苦手な方はご注意を…。

 では、このあたりで。
 今回もここまでお付き合いいただきありがとうございました。m(__)m


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