Bloodborne

Bloodborne/世界観



ヤーナムの歴史

ゲーム中で入手できる文献を基に推察、それをまとめたものであり、公式設定ではない。

1.古代トゥメル文明

本編よりはるか前の時代、神秘の知恵を持った人ならぬ人々であったとされるトゥメル人は広大な地下遺跡を建造した。
これがのちの聖杯ダンジョンである。

2.ビルゲンワースの探究

聖体の発見と瞳の研究

月日は流れ、トゥメル遺跡の上に築かれたヤーナム市は大きく発展した。
その中で、ウィレーム学長が教鞭をとる史学と考古学の学術組織・ビルゲンワースが誕生する。
人の内面・知性的な進化を唱えるウィレームの元には多くの学徒が集った。その中には狩人のゲールマンや、のちに初代ヤーナム教区長となるローレンス、筆記者カレルの姿もあった。

ビルゲンワースはトゥメル遺跡の発掘に乗り出し、その結果として「聖体」――おそらくは宇宙的存在「上位者」の血――を発見し、それを地上へ持ち帰る。
上位者の血を研究するウィレームは自らの理念の発展として、自分も上位者に近づいてさらなる啓蒙を得るべく、脳裏に「思考の瞳」を宿した宇宙的・高次元思考者になろうという野望を抱くようになった。
遺跡発掘の過程で現れる数々の狂気的な神秘は、幾多の研究者たちを発狂させた。のちにビルゲンワースの門番となる墓守もその一例である。研究者たちは濃厚な人血を気付け薬・鎮静剤として用いるようになり、それは後の「血の医療」の源流となった。
カレルが上位者の声を解析し、独自の文字を当てはめたのもこのころだろう。

ビルゲンワースの好奇心・探究心は血濡れの情熱に彩られていた。
あるとき、彼らは上位者ゴース(あるいはゴスム)ゆかりの地であろう(と思われる。伝承か信仰の対象か実際に接触したのかはわからない)漁村を訪れ、かの地の住民の頭蓋を抉り抜いた。
脳裏に瞳を求めたが故のこの非道は、幾多の呪詛を集めることになる。おそらくこの非道の実働部隊となった、ゲールマンをはじめとする最初期の狩人達の罪=恥=秘密として、尽きぬ悪夢の始まりとなったのだ。

離反者の現れ

あるとき、カインハースト貴族の間者が、ビルゲンワースの研究成果をカインハーストの城へ持ち帰った。
カインの貴族は古くから血を嗜むとされるが、それがこの背信を切っ掛けにしたのか、それともそれ以前からのことだったのかは判然としない。ともあれビルゲンワースの血とカインの血は交じり合い、穢れた「血族」が生まれることになった。
この裏切りはウィレームを相当怒らせたらしい。

ローレンスは、自らの理想のためにビルゲンワースを離れた。ただしこちらは平和的な独立であり、ウィレームからは「裏切り者」と呼ばれたものの、それ以外は特に何事もなく見送られている。
ローレンスは上位者の理論的な研究にとどまらず、人や上位者の血を実際に取り込むことで、上位者を目指そうと試みたのである。血の医療を恵む「医療教会」の源であった。

衰退

これ以降、ビルゲンワースは忘れられていく。
ゲーム本編の時代では、立派な学術棟は既になく、ビルゲンワース本亭自体も医療教会の禁域(という名の聖地?)に指定され、外部と隔絶してしまった。
結局、ウィレームは真なる意味で瞳を宿すことはできなかった。中途半端に触手を生やした彼は、本亭2階の月見台にて、安楽椅子に揺れている。

ゲールマンの悪夢

最初の狩人、ゲールマンは何人かの弟子をとった。
おそらくは彼、あるいは彼ら、もしくは彼らの活躍を受けた技師たちが、いくつかの狩人工房を作ったと思われる。

ゲールマンはローレンスのようにビルゲンワースから離脱したのか、衰退するビルゲンワースから自然独立していったのか、そのあたりは判然としない。
どこかのタイミングで、ゲールマンはローレンスらが呼び出した上位者・月の魔物に魅入られ、狩人の夢の番人として、悪夢にとらわれるようになった。

カインハーストにルーツを持つ女剣士・マリアは、ゲールマンの弟子のひとりである。
カインの血の刃を厭った彼女は、ゲールマン流の純粋な業を振るったが、やがてその剣を漁村の井戸に捨てた。
理由は「ただ心弱きが故に」としか語られない。漁村の殺戮を見て狩人に絶望したか、あるいは自らそれに組した恥か、それとも……?

3.医療教会の台頭

最初期

ローレンスは、おそらくは聖堂街にて血の医療の研究を始めた。
ただし厳密には、この時点では「医療教会」と呼ばれる組織には達していなかったらしい。
(処刑隊の衣装が「後の教会装束の基礎」となった、とある)

血族を根絶するべく、ローゲリウスによって処刑隊が率いられ、カインハーストへの遠征が行われたのはこの時期と思われる。
(火薬庫の武器説明に「失われたカインハースト」とある。火薬庫の活動前にカインが滅んだ証であろう)
かつての漁村蹂躙を思わせる戦いを見せた処刑隊であったが、カインの血の女王アンナリーゼは不死身であり、唯一殺しきることができなかった。ローゲリウスは血族と外部のつながりを断つため、自ら幻視の封印の礎となることを決め、かの地にとらわれることになった。

血の医療の広まりと獣の病

やがて、医療教会として成長したヤーナムの血の医療者たちは、(実験棟の状態を見る限りは)非人道的としか言いようのない壮絶な臨床実験を繰り返した。彼らにとって医療とは、治療の業ではなく、探求の手段なのだ。
ただし、その過程で癒し手としての評判を確立したのもまた事実である。ヤーナムの民はほとんど全てがこの医療を受け、血の常習者となった。果ては血の施しのために体質を調整された「血の聖女」までもが生み出され、異国からも治療者が訪れるようになったほどである。

かつてヤーナムを脅かしていたとされる灰血病は、おそらくはこの時期に流行り、そしていったんは根絶されたと思われる。
しかしその後、人が次第に理性を失い獣と化す「獣の病」が蔓延し始める。
血の医療が原因としか思えないが、事実だろうか。ビルゲンワース時代の冒涜的殺戮が呼んだ呪いなのかもしれない。

そして聖堂街の初代教区長になったローレンスも、血の医療の果てに獣と化してしまう。
「聖職者こそが最も恐ろしい獣となる」というジンクスは彼から始まったのだ。
ローレンスは自然死したのか、あるいは狩人たちに討伐されたのかは定かではない。彼の獣の頭蓋骨は聖堂街中心部の大聖堂に安置され、代々の教区長に警句を伝えるようになり、民衆からは「血の源」として噂されるようになる。

聖歌隊とメンシス学派

ローレンス存命中かそれ以降からかは不明だが、医療教会の上層部は2つの派閥に分かれていく。
もともと医療教会の目的は上位者との接触、そして自らも上位者に進化することである。
この派閥は目的に至る方法の違いゆえに分かれた。

「聖歌隊」は、聖堂街の高層ビル上階を拠点とした。そのルーツは大聖堂の膝元に位置する、学習と実験の舞台でもあった孤児院の出身者である。
彼らは地下探究を続ける中でイズの大聖杯を発見し、それによって大聖堂の地下深くに上位者の一体を捕縛(? 召喚? 招聘?)しており、それを研究し交信しようと試みた。やがて彼らは、空を見上げる上位者(エーブリエタースと名付けられた)の姿から「宇宙は空にある」という事実に気づき、さらなる高次存在との交信を試みていく。

一方の「メンシス学派」は、ヤーナムの表市街からは巧みに隔離された地区、隠し街ヤハグルを拠点とした。
彼らは月と悪夢へ祈りをささげ、悪夢の内に上位者との邂逅を果たそうとしたようだ。
彼らは狩人……とは名ばかりの人さらい集団という実働部隊も有している。

ルドウイークの狩人隊

獣の病が蔓延するにつれ、医療教会の狩人・聖剣のルドウイークは市民から狩人を集い、狩人隊を編成した。
彼らは狩長の元、定期的に聖堂街の大門から出発して獣を狩る自警活動を行い、他の市民から英雄として賞賛された。

更に医療教会(ルドウイーク)は狩人の庇護者として、ゲールマン流の各工房とは別に、教会独自の工房を組織している。
オドン教会の上層部に設けられた教会工房は、既存の武器の生産とともに、より強力な怪異に対抗するための新武器開発を行った。その研究は手広く、一部の狩人用のワンオフ武器や、雷光のアーチボルドの手になる風変わりな装備など、様々な成果物が生まれた。狩人たちの間では「オドン教会を上りたまえ」の合言葉が流行ったという。
既存のゲールマン流工房も、活発に運営されていたようだ。市民狩人のため用意されたとされる「ヤーナムの狩装束」は教会工房ではなくその他工房製であることから、医療教会との連携も取られていたと思われる。
およそ狩りには似つかわしくない複雑な機構を研究する「オト工房」は「火薬庫」に発展し、さらなる開発を続けた。

灰装束のデュラや、医療教会の密偵シモン、のろまのガラシャらはこの時期に活動したと思われる。
ヴァルトールを含む官憲隊や、流浪のヤマムラがヤーナムにやってきたのもこの頃だろうか。

失墜

だが、獣の病の拡大は止まらない。獣化する聖職者や狩人も後を絶たず、医療教会もその力を減じていく。
灰血病から獣の病が蔓延する旧市街に手を焼いた医療教会は、とうとう旧市街を封鎖、住民を徹底的に焼き殺す強行手段に出た。この行為は民衆の中で教会と狩人への敬意を失わせるには十分だったらしく、ゲーム本編での主人公や教会関係者への対応に繋がっていく。

やがて医療教会は狩人を忘れ、ゲールマン流の各工房、教会工房はともに衰退・崩壊していく。
狩長は出発したまま戻らず、大門は開かずの門と化した。聖堂街上層部は獣と、実験の残滓と思われる異形の怪物で荒廃。
唯一、隠し街のメンシス学派達が細々と活動――儀式の生贄集め――を続けている。
勇気ある市民たちは狩人に頼らず、自ら獣狩りを始めるものの、彼らも一人、また一人と獣の病を発症し、正気を保った他の市民をも襲うようになっていった。

 

――そしてさらに時が流れ、ゲーム本編に続く


ゲーム本編の流れ

時系列

寄り道抜きの必要最低限のルートを辿るものとする。

+  かねてネタバレを恐れたまえ

エンディング

+  ヤーナムの夜明け
+  遺志を継ぐ者
+  幼年期の始まり