小説/長編

Written by 独鴉



ランク28 ダン・モロとの戦い
セレブリティ・アッシュとのカラードマッチを二日後に控え、小さな整備場でストレイドの調整を行っていた。

「許可は取ってあるから今からカラードの資料室に行け」

整備場の扉を開くなりセレンさんはそう告げると、小さなカードを取り出してこちらに投げる。
慌てて投げられたカードを掴むとセレンさんは話を再開した。

「アナトリアの傭兵や過去のレイヴン達のデータが欲しい。映像でも紙面でもかまわん。手当たり次第にかき集めて来い。以上だ。質問はあるか」
「所属していた傭兵部隊は逐次詳細な戦闘データを集めていました。壊滅したレイレナード本社近郊に行けば詳細な戦闘データの回収ができると思います」
「現在あの一帯は企業連合の名の下オーメルが管理をしている。独立傭兵程度がおいそれと侵入することは不可能だ」
「回収専門の傭兵などを使うのも不可能でしょうか?」
「傭兵を使う予算をどこから捻出する。どうあっても無理だ」
「わかりました・・・・。それではすぐにカラード資料室に行ってきます」

カラード北米支部・・・・
カラード内の資料室なのだからきっちりと整理され、ほとんどの情報がデジタルかされているイメージをもつかもしれないが、
過去のことに興味を抱くものは研究者と技術者くらいで資料室は薄暗く埃っぽく薄暗かった。
そんな中を20代中ごろの男がテーブルを本で山積みにし、設置されていた固定ディスプレイに資料やデータを次々表示させ手早く携帯端末にコピーしていく。
資料室内の人影はまばらで、時折誰かの足音が響くがページを開く音に紛れてしまう。

それからある程度時間が経ったところで、一息つこうと時計を見ると時間は13時半を回っている。

「・・・半分終わったし食堂に行くか」

開かれていた本と閉じ、携帯端末をバッグにしまうと机から離れ、少しはなれたところにある小さい扉を開く。
食堂は資料室や通常部隊なども出入りできるエリアに五箇所用意され、毎日24時間誰でも自由に利用できるようになっている。
その為食堂は広めに作られているが、支部とはいえカラード内で働いている人員は非常に多く、人が途絶えることはない。
人ごみに紛れながら食券券売機前まで来るとソバの食券を購入すると注文口に向かった。食券を注文口で出すと調理場は他の調理で慌しい中食券を確認すると奥で調理を始めたようだ。

「この513番のカードを持って受け取り口に行ってください」

そこから5mほど離れた受け取り口で待っていると数分して番号が呼ばれ、
受け取り口に行くと513番のカードを渡し、トレーに載ったソバを受け取る。

「さて、どこか空いているところは・・・」

周囲を見回すと15mほど離れた壁際のテーブル一角が空いているのを見つけ、人ごみを避けながら席に向かうとそこに座った。

「ここ空いてるかい?」

テーブルについて割り箸を割ったとき、どこかで見たことのある男がトレーと本を持ってテーブルの向かいに立っている。
どこかで見たことがある気がしたが、特に断る理由もなかった。

「えぇ、空いてますよ」
「そうか、サンキュー」

男はカレーの載ったトレーと数冊の本をテーブルに置くと本を片手にカレーを食べ始める。
何を読んでいるかは分からないが、正義の味方と思われる全身青タイツでマスクを被ったキャラクターがマントをつけてなにかポーズを取っているカバーが見える。
よく分からないがそういった本が好きなのだろう。気にせずソバを食べ始めたが、どうも目の前の男をどこで見たかが気になり箸は余り進まなかった。

「あんたストレイドのリンクスだろ?」

箸を止めると目の前の男を見たが、男は相変わらず本を見ながら片手間にカレーを食べている。警戒していると男はスプーンを置くと本から目を離しこちらを向いた。

「俺はダン・モロ、次のカラードマッチの相手さ。宜しくな」

ダン・モロは右手をこちらに差し出す。どこかで見たことのある顔だと思っていたが、ランクマッチに備え、
セレンさんから渡された資料に載っていたセレブリティ・アッシュのリンクス ダン・モロだ。

「こちらこそ宜しくお願いします」

箸を置くと差し出されたダン・モロの手を握り返す。

「俺は協同依頼をメインに請け負っているから機会があれば頼むぜ。安くしとくからよ」
「機会があれば頼らせてもらいます」
「あぁ、沢山依頼が来ることを期待してるよ」

お互い手を離してイスに座るとダン・モロはまた本を読み始める。それから少ししてから資料室に戻ると携帯端末を取り出し、
再び情報を集めるための端末を叩くと本を開く音だけが僅かに響き続けた。

その頃セレン・ヘイズはGAブースで販売員と交渉していた。

「高い!在庫で余っているのだからもっと安くしないか!」

交渉というには余りにも販売員が気迫だけでも形勢不利なのだが。

「し・・しかし、私の独断ではそういった判断は」
「ならそういった判断を出来る奴をとっとと呼んでこないか!早くしろ!!」
「はっ、はいぃ!!」

セレン・ヘイズの剣幕と気迫に押され、販売員は慌てて走り去る。そのさまを見ながらセレンはSS系の性能表が載っている資料を手に取った。

「ったく、最近のは手際が悪い」

「新人をいじめてくれるな。アレでも中々見込がある青年だ」
男の声に振り返ると50代と思われる白髪の男がGAブースの奥に一人立っている。紳士的な落ち着いた雰囲気を持っているが、
長い間戦場で培ったのであろう風格のようなものが周囲に漂っている。こちらにゆっくりと歩いてくると誰なのだかはっきりとわかった。

「ローディーか。3年ぶりだが、ランク4がこんなところに居ていいのか?」

GAの誇る歴戦の勇士ローディー、普段はGA直属施設に居ることが多く、カラードに出向くことはほとんどない。

「私の生徒がカラードマッチを行うのでね。直接見に来たのだ」
「生徒だと?お前にそんなものが居たのか?」

セレンは面倒そうに髪を掻き揚げると近くの壁に寄りかかる。

「ドン・カーネルだよ。前の戦闘で新人に負けたのか相当効いたらしい。ネクストの動かし方を教えてくれと頼み込まれてね」
「新参リンクスにやられる元レイヴンを鍛え直してどうにかなるものか?」
「今日のカラードマッチ次第だ。結果次第で指導の方向性を考える」

あきれた顔をしながらセレンはポケットからタバコを取り出すとローディーに投げ渡した。

「お互い劣等生の教育は大変だな」

ローディーは受け取った箱から一本取り出して火をつけると深く吸い込む。ゆっくりと煙を吐き出すとふとあることに気が付いた。

「タバコはやめたんじゃなかったのか?」
「ここ数年吸ってはいないが、つい珍しい銘柄があって買ってしまったんだよ」
「それで今回はSSL型の購入とはどういう気の変わりだ。ストレイドは高速型だろう?」
「うちのリンクスに重量型の訓練をさせたいのだが、あまり予算がなくてな」

腕を組むとセレンは深くため息をつく。ローディーは苦笑しながら頷いた。

「それでSSLか・・・、さすがにそういった理由で我が社のものが選ばれるといい気はしないが、確かにSSLシリーズはネクストパーツとしては安価だな」
「実際は余っているのだろ?NSSも売れ行きが悪いと噂で聞いているが」
「まぁそうだがな。パーツの方は私が話を通しておくから販売員に無茶を言うのはやめてくれないか?」
「定額の70%以下ならな」
「無茶を言ってくれる」

ローディーはタバコを灰皿におくとブースの電話を取りどこかと話をしている。GA最高戦力の口利きなのだから価格は落ちるだろう。

「まぁ、安く頼む。あまり予算がないのでな」

それから五分ほどして話が終わったのかローディーは受話器を置くとこちらを向いた。

「私の使っていたものになるが65%で良いそうだ」
「中古をか?実戦中に問題が起きては困るのだが」

セレンは眉間にしわを寄せると組んでいた腕を解いた。

「現状で使っているものを完全オーバーホールしてそちらによこす。実戦使用にも問題はないだろう。それに癖は付いているが新品より駆動部はスムーズに動くはずだ」
「まぁいいだろう。だが、精密メンテナンスもしてもらうぞ。経費はそちら持ちだ」

結局65%オフでGAN01‐SS型のコアや頭部など内装を含めたSSL型一式を組むのに必要なパーツ追加購入し、
もう一機ネクストを組み上げることが可能となったが、十分なセッティング時間を設けることが出来ず、
結果的に統合制御体とAMSが不完全なままかラードマッチを行うという事態に陥ってしまった。

カラードマッチ当日・・・
アナウンサーの様々な場を盛り上げる言葉が流れるたびに観客の興奮は高まり、その中ディスプレイにヒーローの姿を模ったエンブレムが表示され、
古めかしく派手な装飾が施されたネクストが表示されると同時に歓声は一気に上がる。

「がんばれよ~」
「今度こそ勝てよ!」
「負けるなセレブリティ・アッシュ!」

ダン・モロはその気さくな性格とヒーローのような機体デザインから子供に人気が高く、大人にもその倍率の高さから賭けの対象としても人気がある。

「応援ありがとよ~!期待に応えられるように頑張るぜ!」

スピーカー越しだというのにダン・モロは声援に答え、ネクストの右腕を振りながら戦闘エリア内に入った。
一方、ストレイドが表示されると声援は途絶え、アナウンサーが少ない情報で場を盛り上げようとしているが一向に静かなままだった。
無言のまま戦闘エリアに入るとライブ映像が上空からの鳥観モードに切り替わった。
砂漠の中に点在する廃ビル群、戦闘エリアは旧ピースシティ、今回の戦闘エリアはこちらが選んだものだが、これはセレンさんの指示によるものだ。

「戦闘開始」

合成音声がカラードマッチの始まりを二人のリンクスに伝えると戦闘は始まった。

戦闘が始まってから二分が経過し、戦闘は完全にセレブリティ・アッシュが有利なものとなっていた。

「くっ!」

SSLは回避していようとしているが、重量型では反応速度も遅ければ移動速度も遅い。失敗作の烙印を押されたSSL型では、
047ANライフルを回避するだけでも難しく、ライフルとミサイルの回避に何度も失敗しミサイルの爆発がとライフル弾がPAごと機体を揺らしている。
いままでカラードマッチで勝利できたのは高速機体で運よく攪乱できていただけ、重量型に乗ったことでその低レベルな実力がはっきり出ていた。
SSL型の腕もセレブリティ・アッシュと同じGAN01‐SS‐ALだが、
照準を合わせてトリガーを引いてもこちらの撃つバズーカ弾はセレブリティ・アッシュのPAをかするだけで当ることはなかった。

「腕部が反動負けしてるな」

SS‐A用に基本設計が行われたSS‐WBを軽量化と構造の簡略化が行われたSS‐ALでは完全に押さえきれる訳がなかった。
一方、セレブリティ・アッシュはBFFの047ANNRのベーシック標準ライフル、照準制度も弾速もそれなりに高く、
何よりも反動が少ないため運動性も照準制度も低いSS‐ALでも十分な力を発揮し、SSLの機体にライフル弾が襲い掛かっていく。
噂だが、最近販売が開始されたGA標準ライフルはセレブリティ・アッシュの戦闘データが使われているらしい。
確かにSS‐AL系でライフルを使用する者が他に居ないのだからある程度の信憑性がもてた。

「きついな」

唯一セレブリティ・アッシュに当るOSAGE03垂直ミサイルを発射してはいるが、それだけで倒せるほど火力も弾数もあるわけではない。
それにQBで回避をある程度行っているのだから100%火力が足りる訳がなかった。

[左OSAGE03ミサイル残数0]

統合情報体からAMSを通じて左肩の垂直ミサイルを打ち切ったと報告が入り、ただのデットウェイトとなったOSAGE03のバージを命令する。
セレブリティ・アッシュは飛来するミサイルを二連続のQBで回避し、ENが切れたのかこちらの動きに注意を払いながら後退していく。
こちらも後退しながら近くの廃ビルの裏に隠れ、PAとENの回復を待ちながら気を落ち着かせると状況を正確に把握に努める。

(機体状況・・・)

APは残り25%、SS‐WBは右7に左5、右垂直ミサイル後一連発射、格納庫にGAN01‐SS‐WH.E二挺、
セレブリティ・アッシュはAP約57%、武装バージなし、AAの有無不明。

(次に性能比較・・・)

中量2脚級の割りにセレブリティ・アッシュの動きは鈍いが、それでもSSL型よりは軽快に動き、無理に接近してもQBかOBで何度も距離を取られてしまう。

(最後に戦況状況・・・)

残り1分15秒、こちらの利点は対実弾の高さとその頑強さ、幸いセレブリティ・アッシュはEB‐R500レーザーブレード以外EN武装を持っていない。

「またセレンさんに怒鳴られるな」

襲ってくるでしょう痛みに覚悟を決め、廃ビルの陰から飛び出す。
そして通常ブーストで左右に蛇行と小さくジャンプを繰り返しながらセレブリティ・アッシュに向かっていく。
その間にも047ANNRライフルとミサイルがPAとAPを削っていくが、構うことなく接近していった。

「おいおい、突っ込むだけが能じゃないだろ?それとも何か考えてるのか?」

ダン・モロはそう呟きながらシャムに突っ込んでくるSSLに対してトリガーを引きながら一定の距離を保ち続ける。
SSコア後部の中型OBユニットが開き甲高い音と光を放ち、後方に激しい光を放出しながらSSL型は急加速、
セレブリティ・アッシュとの距離を急激に縮めていく。回避も中距離での打ち合いも不利となれば、当たる距離まで接近した上での削り合いを挑むしかなかった。

「その程度の考えなのか?もしそのとおりなら期待外れだったかな」

SSLは左手のバズーカを乱射しつつ、右背の垂直ミサイルを担ぎ発射、弾の切れた垂直ミサイルをバージし、
さらに身軽になった機体をMQBで加速させる。距離300になった時セレブリティ・アッシュはQBTで右に反転、
背後のOBユニットが開くと光を放ち始める。残り一分を切った今、優勢なセレブリティ・アッシュは敵の射程距離に入る必要などないのだ。
セレブリティ・アッシュがOB状態になると迫っていたSSLとの距離がどんどん離れていくが、
十分に接近していた為、一発のバズーカ弾がセレブリティ・アッシュの左膝間接に直撃、APは49%まで低下。
さらに追撃をかけてバズーカ弾を撃ち込みたかったが、QBTを行わなければ追撃できない状態であり、すでにENは限界ぎりぎりで後一回QBを吹かすのが精一杯だった。

「もう後がない!逃がすか!」

弾の切れた左バズーカを砂漠の地面に突き立てると鋼鉄が拉げる鈍い音が鳴り響き、OBで直進し続けようとしているSSLの進行方向を無理やり曲げていく。
正面にセレブリティ・アッシュを捕らえた時SS‐WBから手を離した。

[左腕部機能に異常発生、異常部の制御解除を推奨します]

むちゃくちゃな方法で進行方向を曲げたため、左マニピュレーターから肩にかけて駆動系に高負荷が掛かり、
総合制御体は使用不能と判断された左肩から下の制御を切る事を推奨している。要求を拒否すると最後のMQBを発動した。

「くそ!なんて無茶な方法で追ってきやがる!」

まぐれで直撃したバズーカ弾の反動で一時的に速度が低下、単眼のデカブツは見逃さず追いかけてくる。
セレブリティ・アッシュはOB状態のままMQBを吹かし、速度を上げて距離を取ろうとした。
しかしPAを突き破り頭部の真横をバズーカ弾の衝撃に耐え切れず霧散、OBによる推進力を失ったセレブリティ・アッシュは速度を落としていく。

「冗談だろ!?おい!」

PAとENのほぼ全てを消費し尽したSSLはSS‐WBをこちらに向けながら通常ブーストで突進してくる。
残49秒間バズーカの直撃を受けなければ勝てるが、PAを消失した状態で一発でも直撃すれば逆転されるのは確実だ。
なんとか距離を取ろうと右にSQBを吹かしたが、背後まで迫っていたSS‐WBバズーカ弾がQBで機体より外側に広がっていた047ANNRを粉々に撃ち砕いてしまった。

「くそ!」

焦りながらミサイルに武装を切り替えてQBTで180旋回、BQBで後退しながらCHEYEHHE02分裂ミサイルを発射したが、
一発射でミサイルが切れてしまう。その間にもSSLはどんどん接近し、射撃の狙いも徐々に正確になっていく。

「あれ相手に接近戦を挑むしかないのか!」

SSLもPAを消失しさらにGAベースの機体、セレブリティ・アッシュのもつEB‐R500を直撃させればSSLの腕を切り飛ばすことさえ不可能ではないが、
それほどの無茶を出来る度胸があれば経験とAMS適正の高さからいってランク28な訳がない。

「がんばれセレブリティ・アッシュ!」
「負けないで!」

その間にも子供たちは一生懸命応援している声がダン・モロの耳に入る。

「や・・・やってやる!」

ダン・モロは意を決して余計な武装を全てバージするとブーストでSSLに接近していく。バズーカ弾の直撃を受けた左腕が吹き飛び激痛が走る。

「がぁぁぁ!」

絶叫に近い雄叫びを上げながら再チャージの終わったOBを発動、SSLとの距離を一気に詰め、左肩まで大きく右腕のEB‐500を振りかぶる。
対するSSLはコアに向けて右腕のバズーカを突き刺すように突き出し、残った一発で確実に仕留める体制を取っていた。
OBで接近していたセレブリティ・アッシュは両足を地面に叩きつけるように機体を支えると全ての加速力をブレードの一閃に乗せた。
しかし、先ほどバズーカの直撃を受けた左足間接が大推力を抑えるには強度が足りず、高付加に耐え切れず左前に機体が倒れこむようにレーザーブレードを振り払う。
セレブリティ・アッシュのコアを狙っていたバズーカ弾は外れたが、その直後に振り払われたレーザーブレードはSS‐WBの砲身を切り飛ばし、
OBの推進力そのまま地面に激突してセレブリティ・アッシュは動きを止めた。SSLは切り裂かれたSS‐WBを捨てるとこちらに向かってくるが、
情報制御体から送られてくる情報を確認してダン・モロは勝利を確信した。

「これで・・・俺の勝ちだ」

SSLのAPは9%、セレブリティ・アッシュのAPは17%まで減っているが、すでにSSLに武装はないはず。
すでに動けない状態だが、残り14秒でタイムアップ勝だ。
その時、SSLの脚部外部装甲板が開かれ、GAN01‐SS‐WH.Eハンドガンが内部のサブアームによって手の位置まで持ち上げられる。

「格納武装まで持ってるのか。だが、タイムアップまでにAPを削りきることは」

二つの銃口がセレブリティ・アッシュの目の前まで迫った時、SSLが緑色の光を機体全体から放ち始めた。

「旧タイプGAネクストがアサルト・アーマーか。隠し玉の多い奴だ」

周囲にPAの反発作用によるコジマ粒子の爆発によって生じた衝撃波が放たれ、セレブリティ・アッシュのPAとAPを奪っていく。
その中GAN01‐SS‐WH.Eハンドガンから立て続けに撃ち出される銃弾がAPを凄まじい勢いで奪っていった。
空になったマガジンが排出され、新しいマガジンが脚部から銃に装填された時、SSLの前には近距離からの銃撃によって原型のほとんどを失ったセレブリティ・アッシュが転がっていた。

カラード内ネクスト整備場・・・
ランキングマッチが終わった後、ネクストから降りた途端倒れこむように近くの長椅子に座ると耐え切れず横になった。
戦闘中AMSの高負荷を受けた結果、普段とは比べ物にならない激しい頭痛と嘔吐感に襲われる事となっていた。

「まったく、基本がなっていないからこう言うことになるのだ」

カラードの整備場から動けなくなったリンクスにセレンは合成薬と水を渡した。

「ほら、これを早く飲め」
「・・・すみません」

薬を水で飲み込むと再度長椅子に横になる。設定が十分ではない機体とのAMS接続はそれだけでも高い負荷となるのに、
さらにあれだけの損傷を負ったのだから通常の何倍もの精神的負荷となっていた。

「10分もすれば薬が効いてくる。それまでは十分に休め」

セレンの話を聞いた後軽く頷くとそのまま目を閉じて動かなくなった。

「今のうちに簡単な用を済ませておくか」

セレン・ヘイズはすぐ目の前に小さなイスを持って来るとそこに座り、携帯情報端末を取り出して機体の輸送手続きと今回のカラードマッチで得た報酬の確認を行い始めた。
五分後、輸送手続きの認証待ちをしている時、薬が効いてきたのか静かに寝息を立てて寝ていることに気が付いた。
「はぁ・・・、手間の掛かる奴だ」
セレンは着ていた上着を脱ぐと体にかけ、また許可手続きを始めた。


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