Written by マサ


 かつての王たちの住む土地。ロードランの下層、そのまた下層、不浄の最下層を出でて更に下層。生きるもので近づくものなどろくにいない不浄の沼の畔に彼女は座っていた。
遥か昔に失われたものを認められずに、地上に出ることは出来ず、かといって廃墟となった故郷にも戻ることが出来ずに沼地に居続ける者がいた。

 ぐちゃぐちゃと病み村の汚泥を踏む音がする。それに混じるガチャガチャと騒々しいプレートアーマーの音。今日もまたアイツが来たのだ。
師匠風を吹かしてムスッとした表情を繕うも、どうしても頬の一部が緩んで、情けなく呆けた顔になってしまう。そんなこと、どうせアイツは見ていないのだろうが――
「馬鹿野郎が……」
 呟くその女性は、さまよえるクラーナと言った。

 さまよえる彼女の恩返し

「師匠、ご無沙汰してます」
「またお前か……私に教えられることは全て教えたぞ、馬鹿弟子が」
 やって来た全身プレートアーマーという出で立ちの男は、クラーナの弟子たった。
「別に用事がなくても来て良いじゃないですか?」
「ふん……呪術師は群れることをしない」
「俺は呪術師じゃないので」
 そんなことをのたまう男の生まれは騎士だった。それもひょんなことから不死になり、ロードランに入って後に呪術を学ぶという変わり者だった。
ヴィンハイムの魔術や、ソルロンドの奇跡など、名のある学問たちに比べれば、呪術など敬遠されるべき対象だというのに、男はそんなことお構いもせずに呪術の習得に励んでいた。既にその腕はかつての一番弟子と並ぶほどだ。

「ふん、まあいい」
 そう呟いてクラーナが立ち上がる。
「師匠、どちらに行かれるのですか?」
「まあついてこい。見せておきたいものがある。そこまで面白いものでもないがな……」
 ついて来いと言われ、男が付き人のように横に立ってみると、クラーナは妙に小さかった。具体的には男の胸の高さ位までしか背丈がない。
とはいえ放たれる威厳のほうは座っているときと相変わりなかったが。


 汚泥を踏みながら、男は先を行くクラーナについていく。
襲い掛かってくるもの(とはいえ蚊や火を吹く害虫程度だが)は全て男がその手に持つ大剣で薙ぎ払って行く。

 小高い丘を前に、1体の汚泥の木偶が立ちふさがった。そのやたらでかい手には強烈な臭気を放つ塊。筋も肉もない身体で、見るからに振りかぶっているあたり、人間大の糞団子の塊を投げて来る気だろう。
男はクラーナの前に出て左手の大盾を構える。
「師匠!」
「五月蝿いぞ、まあ見ていろ馬鹿弟子が」
 クスリと笑って見せた彼女の右手で赤金に輝く呪術の炎。彼女の詠唱に応え、立ち上った業火が、立ち憚る木偶を抵抗する間さえ与えず焼き払った。
ここロードランには男自身も会ったことがある大沼のラレンティウスや、その師である呪術師カルミナ、呪術王ザラマンなど、人の世では嫌われ者の呪術師が数多くいたが、それらを児戯に等しくし、異端の王さえ赤子扱いする圧倒的な力が、彼女にはあった。
「へえ…師匠は指導力だけじゃなかったんですね」
「当たり前だ。私を誰だと思っている。火の時代の始まりに古の竜さえ殺した魔女の一族だぞ。こんな雑魚ごときに遅れをとるものか」
 彼女は男に向って振り向き、少し寂しい胸を反らして自慢げに言った。
「でも火の時代の始まりって、それだったら師匠のと――」
 些細な疑問から生まれた男の言葉は続かなかった。
クラーナの小さな右手がすぐ目の前に、指に至っては男の口に突っ込まれている。
当然だが、彼女の右手に宿る呪術の火のせいでかなり熱い。
「それ以上言ってみろ。舌が蕩けるような熱い炎を食わせてやる。第一不死などといったところで、私の体の成長など人の世界で言ったら10代前半で止まっている。貧乳で残念だったな、馬鹿弟子が」
「ええ?つまり合法ロリば――」
「誰がロリババアだ?あ?遺灰も残らないように焼かれたいか?」
「師匠年気にしすぎだ――!」
 叫ぶ男など知らぬ顔で、クラーナは目的地まで一直線だった。
邪魔する木偶は人間火炎放射器よろしく、焼き払い、焼き尽くし、消毒し、事もなく丘の上までたどり着いた。

 中に入ってしばらくいくと大広間がある。かつて男が祭祀場の焚き火を見つめる男から不死の使命と教えられ、目覚ましの鐘を鳴らすため、クラーナの姉の1人、クラーグと戦った場所だ。
「ここはクラーグの……」
「そうだ。私の姉たちの多くはイザリスの狂気にまかれ多くが異形になった。逃げられたのは私とグラナ姉さんくらいだが、その姉さんももう数百年会っていない」
 がらんとした大広間の中では、師匠の小さな背が更に小さく見える。
いつまでもそんな彼女の姿を見ていられず、男は口を出す。
「それで、見せたいものって何ですか?師匠」
「ただ……ここに来たかっただけだ。お前とな……1人では来たくなかったからな……」
 いつになく湿っぽい物言いだった。


「……」
 何も言わずにクラーナは頭1つ分以上低いところから男を見上げている。目に宿る艶っぽさは今まで男が教えを請っていた間、一度も見たこと無いものだった。
「……なぁ、お前はそこら中の女に手を出していると風の噂で聞いたが、私は良いのか?」
「いや、師匠は美人かなと思いますけど、幼女に手を出したらヒトとしてどうかなと」
 男は持論を語る。
薄暗いこともあり男には見えていないが、クラーナのこめかみがひくりと動いた。
 彼女の手の中の火がその輝きを増す。
「……ほう、ヒトの世界を追放された不死人がヒトらしさを語るか……」
 クラーナが彼のプレートアーマーに触る。
優しく愛撫するように手を動かすが、その手には呪術の火。しかも微弱ながら発火している。
「ちょっ!師匠、火!火が出てます!」
「火くらい出るさ。私はイザリスの魔女なのだからな」
 悪戯っぽく笑うクラーナに対し、男は笑い事ではなかった。
何度目かの発火でついに皮膚まで焦げだしたので、思い切って全力で離脱する。プレートアーマーを、某大怪盗3世の飛び込み術で脱ぎ捨てた。
男が自分の姿を確認すると、残っていたのは最低限の下着のみだった。
「ほう……散々言っておいてその幼女の前で鎧を脱いで全裸になる男なんだな、お前は」
「師匠が鎧を赤熱させて着られなくしたんですよ?」
「何のことか分からんな。何せ私はババアだからな!」
 さきのロリババア発言は思った以上に、彼女の内に禍根を残していたらしい。冷たい視線が男を貫く。

 視線をぶらさずに、男はゆっくりと後ずさりする。それだけで襲ってくる亡者も足を止める視線に――
「逃がさないぞ」
 構うことなく近づき、クラーナは男のアキレス腱に発火した。ただの呪術師ならそれで済んだかもしれないが、彼女のそれは他と一線以上を画す凶悪な代物だ。
摂氏数千度の魔力の炎に表皮、真皮、筋まで焼かれ、足全体の力が抜ける。
立っていられず男が地面に倒れる。男の内腿に這い寄ってきたのは細い指先。
「ぐぁ!熱っ!って、師匠!何するんですか?」
「いいから」
「何がいいんですか?何する気ですか?」
 男の言葉に、クラーナは目を伏せる。そうしているとまるで体と相応の年のようだ。
「……私はお前に、お礼がしたかったんだ………」
 押し倒した足元から見上げてくる師匠。大人っぽい黒色のローブ。
かつてのイザリスの娘たちが着ていた衣装は、末娘のクラーナには少し大きかったらしく、首元の穴から可愛らしく、慎ましい胸元がちらちらと覗いている。陰からして何もない平原という事はなさそうだ。
「それでな、色々考えてはみたが、呪術についてお前に教えられることはもうない。それにかつての魔女イザリスの盟友、太陽の王グウィンに代わり火を継ぐお前に、私が贈れるものなど何もないだろうから……」
 そう言って彼女はどこか落ち着きなく手をもじもじさせる。
頬の紅潮具合からして本当に余裕はないのだろう。
「せめてイザリスの暴走を止めた勇者を労うくらいのことはしてやろうと思ったんだ。イザリス最後の生き残りとしてな……」
 顔を紅潮させて彼女はそう言った。
「いやいや、師匠、待ってください!あれだけ散々人のこと馬鹿弟子、馬鹿弟子と連呼しておいてこんなタイミングでデレるんですか?」
「こんなタイミングも何もないだろう。実を言えばお前が始めに見つけてくれたときから私はうれしかったぞ」
 勝手にデレ続けるクラーナに男も抵抗できない。というより師匠にこれ以上抵抗したら次にどんな炎が来るか分からなくて抵抗していられない。
「幼女に手を出したら人間性が!」
「大丈夫だ、何も問題ない」
彼女の右手の炎が一瞬強い煌きを放った。
ふわりと舞うように揺られた手に意識が集中する。

一瞬、フッと意識が真っ白に染まった。
火に巻かれたように男の体が火照る。違和感に足元を見ると、もはやただの少女になった師匠がいた。齢数千歳のロリババアなのに無駄に可愛いから男も困る。
彼女はさっき自分で焼いた足を撫でながら、何故か男の意に反して屹立している、男の逸物に頬ずりしていた。
「し、師匠!」
「どうだ?気持ち良いか?」
 男としては快感よりも、先の発火で真っ黒に炭化した足が痛い。
「っ!」
 遠慮なく足を触られ、男の口から苦痛の声が漏れた。そもそも真っ黒な炭になった足は、何もしない状態でさえ痛いのだ。触られて平気なはずがない。
「あぁ、すまないな。すぐに治してやる」
 そういって彼女は細い腰周りから何かを取り出す。緑色の瓶。不死の宝、エスト瓶だった。小さな唇を飲み口に宛がい、中のものをすする。
「ほはふひをほひはへ」
 何を言っているかは聞き取れないが、口を開けというニュアンスは理解できた。
 師匠の御下命通りに口を開くと、フードを取り払って、彼女は唇を寄せてきた。口の端からは薄っすらと金色の光がこぼれている。
「ん……く……」
 触れた桜色の唇は、今までの数々の馬鹿弟子発言を生んできたとは思えないほど瑞々しく、柔らかく、そして小さかった。
「…は……どうだ…ふぅ……痛いのはとんでいったか……?」
 顔を真っ赤にしたクラーナは肩で息をしていた。そんなに苦しいならしなきゃ良いのにと男は思ったが、口には出さない。というより出している余裕が男にもない。

彼女の口移しのエストのおかげでひとまず足の痛みは消えた。
引き換えに、男の腰にはただひりつく様な快楽だけが寄せてきていた。彼女の小さな手はひたすら男の男根をこねくり回している。
エストと一緒に口移しされた唾液が、糸を引き彼女の頬についているが、それさえも幼い淫靡さを際立たせる装飾に見える。
「お前のほうはもう準備万端のようだな……」
 大した前戯もなしに、男の男根は静脈を浮き上がらせながらいきり立っている。まるで獣か何かの次元だ。
「わ…私も、いいぞ……」
 微かに裏返る声でそう言って彼女は黒金糸のローブをたくしあげた。
僅かに見えるローブの裾の奥が男の興奮を誘う――男の中にあった人間性たちが、脱兎の如く逃げ出した。
「……ヴァアア!」
 奇声を上げて、男はクラーナの腕を掴んだ。石畳に組み敷き、僅かに膨らんだ乳房を握り潰す。男の目には、その苦痛に歪む顔も、吐かれる熱い吐息も、全てが彼を誘っているように見えた。
「……!や…!」
 抵抗にもならない抵抗。
片やその身だけで神と戦う運命を持つ者、片や絶大な理力を持てども、少女のままの体の者。組み合えば力の差は歴然だった。
 男はクラーナのローブを荒々しく捲り上げ、歯を以って小さな突起を嬲っていく。
男の目には既に理性の欠片もない。ただの獣だ。

「そ、それ……」
 クラーナが声を漏らす。
男が腰を僅かに振るだけで、慣性にぶるんと振り回される彼の逸物は、相当にデカイ。
標準的なレベルをロングソードとするなら、クレイモアは愚か、グレートソードと呼んでも違いはないほどに、男のいきり立つモノはデカイ。
「……っ!」
 クラーナの喉がビクッと痙攣する。先に頬ずりしていた時よりも、はるかにデカくなった逸物に目を釘付けにされながらも、何とかリードしようと小さな手で男の逸物の先端を撫でる。
「……!」
 亀頭を撫で回す小さな手の与える快感に、男の腰がビクリと跳ねる。
「気持ち、いいんだな……」
 男の、クラーナを嬲っていた手が止まる。
言葉はなくとも男の逸物の先端から流れ出る液体が、どんな言葉よりも雄弁に、クラーナの行為の有効性を語っている。
「なら、はやくだしてしまえ……」
 小さな手が男の亀頭を鷲掴みにする。瞬間、男の腰が跳ねて逸物の先端から大量の白濁した液体がクラーナのローブに飛び散る。

2度、3度、クラーナの小さな手が強弱を付けて握るたびに、噴出す白い液体が黒いローブに包まれた少女のままの体を白く汚していく。
「たくさんでたな……そんなによかったのか……?」
 呆けたようなクラーナの問いに、男の応えはなかった。
 男の手が萎えることのないその逸物を握り、宝探しでもするかのようにクラーナの秘所に宛がい、擦り合わせた。
少しそんなことをした後、探していたものが見つかったのか、男の亀頭が小さな裂け目から心ばかり彼女の肉に押し込まれる。
「…っ…ぁ…!」
 クラーナが息を呑む。
「ヴルアア!」
 男が吼えた。下半身に更に力が入り、限界以上に滾る血潮を送り込まれた海面質が幾筋もの筋を走らせながら更に膨張する。
 男がクラーナの腰を掴む。どうみても受け止めるには体格的に不釣合いなクラーナの浅く小さな割れ目に、男は容赦なく自らのモノを突っ込んだ。
「ぃ……、ぁ……!」
 必死で背を反らし、身体を逃がそうとするが、それは無駄な足掻きだった。
つかまれた腰から下はすっかり獣になった男の制圧下だ。
「ヴヴ……」
 人間性などと言っていたのはどこの誰か、男は狂った獣のように腰を振りたてる。
「……」
 クラーナにリアクションはない。初めの一瞬、男の無理矢理が過ぎる挿入の激痛に、叫ぶ間もなく気を失っていた。
不死だろうと痛いものは痛いのだ。それを加味すれば、むしろ激痛に気を失えたのは運が良かったかもしれない。

 紐の切れた操り人形のようにぐったりと倒れた彼女の体に、男は容赦なく自分のモノを叩き込み続ける。
獣が無抵抗の少女を犯す図そのままの光景だった。

 しばらくそうしていたが、その時は唐突に来たらしく、一番奥まで男が腰を突き出すと同時に、2人の結合部から白くべたつく液体が流れ出した。


「師匠……俺は、一体何を……?」
 視界が一瞬影さすように消えかける。だが目を擦ってみればなんてことはない。
いつもと変らないロードランの景色だ――ただし足元に白濁液塗れの師匠さえ居なければ。
「師匠!?」
 男がクラーナを揺り起こす。
触れたローブはどこもかしこも脂汗と白濁した液体でびっしょりだ。
「……馬鹿弟子が……一体どれだけご無沙汰ならコレだけ大量にぶっ放せるんだ……」
 男の迸りを受け止めるには、まだ少し体が幼かったのか、クラーナの秘所からは収まり切らなかった白濁液が流れ、零れている。スラリと細い腹部にも少しの赤が混じった白濁液が落ちている。
 自分の血混じりのそれを指で掬い、クラーナはぺろりと舐める。
「あむ……む……生臭いな……」
全裸の自分、2人きり、精液塗れの師匠、少し血混じりの液体にベトベトになった逸物。そしておぼろげに脳裏に残る自分の行為。ピースは全て揃っていた。申し開きはなしだ。

 口の端から唾液と精液を零すクラーナに、男はすっかり醒めた声で質問する。
「……師匠、処女だったんですね」
「……何か悪かったか?そもそもイザリスの娘として古竜と戦ってから不死になって今に至るまで、人の世界で言う恋人なんていたこともなかったんだ。確かにクラーグ姉さんは同性でもいい口だったが、私は――ってそんなことはどうでもいいだろう。今大事なのは私の貞操ではなくお前が気持ち良いかだ」
 クラーナが右手を差し出す。柔らかに炎が揺らめき、男の目を射止める。

「全く馬鹿弟子が、お前は隙だらけだ。よくそれでグウィンの後継になどなれたものだな――まあ隙を見せるのは私にだけとかなら構わないがな」
 目の前で振るわれる炎の煌きに、男は完全に目を奪われた。

視界が真っ白なフィルターをかけられたかのようにホワイトアウトしかけ、また視界が戻ってくる。
醒めたはずの意識が再び跳び、身体が先以上に熱く火照る。
「ウヴ……」
 黒のローブ。日に焼けていない白い肌。ちらちらとさりげなく存在を主張する小さな胸。彼女を汚す白濁液さえもが男を興奮させた。

つい数秒前までの冷静さなど紙の如く吹き散らされていた。
 
 すっかり獣に戻った男の、いきり立った逸物がまだ少女の体のクラーナを再度貫く。
空気が塊になって喉から押し出され、酷く苦しそうだが、獣の男は構うことなどしない。更に腰を激しく振りたてる。
「ば、馬鹿……そう、がっつくな……!壊れて、しまうだろ……っ!」
 彼女が泣きそうな顔で懇願するが、そんなもの今の男にとってはただの興奮材料だ。
 男がクラーナの腰を掴み、逸物で繋がったまま体勢を変えた。
「な、なにを……」
抵抗することも出来ないまま、男がクラーナを自らの体の下に組み伏せる。
いわゆる四つん這い。まさしく獣の体位になって、男はさらに彼女を突き上げる。
「ぅぁ……やめろ、こわれる…………」
 まだ破瓜して間もない秘所は、男の逸物と凶悪とまで言える責めに耐えるには幼すぎた。
そこがいくら人体において伸展性に優れる箇所とはいえ、これまで男を迎え入れたことのなかった蕾のままの身体が、その責めを存分に受け入れ、十分な快感とするにはまだ時間がかかるだろう。
「……はっ……ぁ、っ……ぁ……!」
 だが少しだけ、耐える声に悩ましい響きが混じりだす。
 男の手が背後から伸び、クラーナの慎ましい胸を鷲掴みにする。甘い愛撫などではない。正真正銘、力任せの鷲掴みだった。
「くっ……ぁ……」
 苦悶の声を漏らすクラーナに、更に獣は欲情する。荒々しい手付きで小さな彼女の全身を隈なくも、激しく愛撫する。
 男の手が2人の接合部のすぐ上、クラーナの陰核に触れた。
「……っ!」
 突然の柔らかいタッチがもたらす快感に、彼女の身体が若干震えた。
 男はそれを見逃しはしなかった。力を増して集中的に責めながら、更に自らのモノを送り込む早さと、スライドの幅を増す。
 くちゅりという水音。男の体液とは別に、クラーナ自身の身体から出た体液が、2人の結合部で音を立て、泡を立て、男のモノを送り込むペースを更に上げさせる。
「……あ、ぁ……すご……ぃ……」
 激しく中をかき回すと同時に、陰核を強く刺激し続ける。男の与える快感に、クラーナの身体も反応する。小刻みに震える身体と、きゅうきゅうと男のモノを締め付ける反応を見れば、少しずつながらも感じてきているようだった。
「ん……ぅ……っあ……」
 男の叩き付けごとに反応する身体を、男は上から押さえつけた。
手首を握り、ぴったりと密着した状態から、ラストスパートとばかりに激しく、腰をたたきつける。打ち合わされる彼女の臀部と男の腹筋が肉同士の叩き合い、どこか卑猥な音を立てる。更に慣性で揺れ動く男の精嚢がパチパチと彼女の陰部に当たる。
「ヴルルァ!」
 獣の本能のままに男が吼えた。クラーナの腰が跳ね、結合部から白い男の体液が零れ出す。
「……も……すこ…かげん……くれても……」
 息も絶え絶えなクラーナだが、先とは違い気を失ってはいない。むしろ現状気を失っているのは彼のほうだった。
「……」
 火の加護を失ったためか、男のモノが小さくなっていく。
それを見ていたクラーナがコクリと喉を鳴らす。唾液が止まらなくなっている。


 石造りの天井を眺めながら、男は意識が戻るまでには結構な時間を要したような気がしていた。具体的には深淵の闇に飲まれて、次に目覚める時までの3倍ほどかかった気がする。
 全身が涼しく感じたことと、下半身に心地よい異物感があって身を起こして見ると、そこではすっかり萎えた男のモノを、クラーナがぺろぺろと舐めて綺麗にしていた。
「師匠……何してんですか?」
 またも盛大に、それも今度は気を失うまでぶっ放して、やっとのことで目覚めて冷静さを取り戻した男が言う。だが、今度はクラーナが応えられる状態ではなかった。言葉を紡ぐのも煩わしげに、クラーナの右手の炎が煌く。
とはいえ、流石に男も今や物語になるだろう英雄の1人。そうそう何度も同じ手を食らうわけにはいかない。
「師匠、無駄です」
 今やすっかり全裸ながらも、あくまでスタイリッシュにカッコよく冷静に、男はクラーナの振るおうとした右手を掴んだ。
「不死の魅了ですか……そんなもので」
 男は嘆息する。それを見てクラーナは不機嫌そうな顔をした。
「仕方ないだろ。そんな押し売りでもしなきゃお前は……こんな身体に興味なんか……」
 ぺたぺたと少しボリュームの足らない乳房を押さえ、少し不貞腐れたようにうつむくクラーナの顔を、男は上げさせる。抗議しようとしたのか、少し開きかけた口を、男が唇で塞ぎ、舌まで入れて黙らせる。
「んん、ん……ん……!」
 口を離すと、銀に光る唾液が糸を引いた。
彼女の抗議はたったそれだけのことで完全に封殺できた。
「最後の確認ですよ。本当にいいんですね?師匠」
 落ち着かせた上で、男が最後の確認をする。
『押し売りでも良いから』という彼女の言葉に、男のほうも人間性を投げ捨てる覚悟が完了した。
「あぁ、お前になら何をされても……」
 まだどこか怯えたようなしぐさを見せながらも、彼女は気丈にそう言った。
 男が3度射精してなお、灰から生まれた不死鳥のように雄雄しく蘇った逸物を、クラーナの顔面、それも口元直前に晒す。
「……これは、あれか。私にコレを舐めろと……?」
 男の返答よりも早く、クラーナの細い指が、男の逸物を這った。
 彼女は特に抵抗もないように男のモノを自らの小さな口に収めようとした。
「…あむ……ひゃっはひほほひいは……」
 小さな舌が必死に迎え入れた男の逸物を這い回る。
咥えたまま言葉を紡ごうとすると、口腔内の思わぬところに亀頭が擦れたり、小さな歯が裏筋を擦ったりして、そのたびに強烈な快感に男が呻く。
 拙劣ながらも、師匠と崇めていた少女の奉仕は、今度こそ人の意識を持ってそれを受ける男には強烈だった。師匠を犯す背徳と、熟れていない少女を犯す2重の背徳に、男の逸物は限界以上に膨らむ。
 男が切羽詰ったようにクラーナの後頭部を掌で支え、限界以上に膨張した逸物を喉の奥まで叩き付けた。
「ん……!」
 亀頭が喉の一番奥に当たる感覚。一瞬驚いたように彼女の歯が立ち、歪な快感が痛みを伴い男の下半身を襲った。
「……けほっ……くるしいだろ…喉まで突き立てないでくれ」
 一度吐き出し、それだけを言ってまた逸物を咥えなおす。今度は浅く、スロートせずに口に含み、舌で転がし続ける。
男のモノは大きすぎて、クラーナの小さな口には全部など到底入らない。男が身じろぎするたびに、小さな口元で唾液が泡立つ。
先よりも早く、快感に負けた男が、彼女の口腔から逸物を抜くと同時に、彼の迸りが彼女の顔を直撃した。
「まだたくさんでたな」
 4発目の射精を迎えて、いまだにピンとそそり立つ逸物を、クラーナは掴んだ。
「そこに寝ていろ。今度は私にやらせてくれ」
 いうが早いか、男は自分の胸あたりまでの丈しかないクラーナに、いとも容易く押し倒された。彼女の手はギュッと男の屹立したモノを握り締めている。
「くぅ……ぅ……」
 男の竿に手を添えながら、必死に腰を落とそうとする少女の図は、男をたまらなく興奮させた。カクカクと上下した腰が何もない虚空を突く。
「あば……れるな……」
 しばらく探るような動きを繰り返していたが、そのうちに彼女は覚悟を決めたように一気に男のモノに自ら貫かれた。
「あっあぁ……あ……!」
 彼女が嬌声を上げた。
拙くも、瑞々しい青い蕾の肢体を快感に打ち震わせながら、彼女は必死に男の腰の上で動き、乱れた。男の腰使いに耐えようとしていた彼女は、最後にはやはり行き過ぎの男のモノに、結局泣くまで突かれていた――


 いつもと何も変らない、ここはロードランの深部病み村。
今日もその毒の汚泥を踏む男がいた。
「お前、グウィンの後を継ぐために大きなソウルを集めているんだろう?そう何度もここに来るほど余裕があるのか?」
「大丈夫ですよ、師匠」
 男が返す。自信満々な態度からして本当に不安はないのだろう。
「――、火を継ぐことで私と別離することについて気に病む必要はないだが約束くらいは守れ。いいな」
 口調はいつもの師匠風を吹かした厳しいものだったが、顔は少し優しく、何かを期待しているかのように綻んでいる。
「クラーナ、行ってくるよ」
 短く男が顔を寄せ、クラーナの頬に接吻した。身体を合わせたのだから、コレくらいのスキンシップはなんともない。それにこの後のことを彼女は知っていた。
「ああ、いって来い。馬鹿弟子が」
 永遠と言ってもいい別離を前に、クラーナの言葉はやはり馬鹿弟子だったが、男が見た彼女の最後の顔は、どこかあどけなさが残るも、おそらくは本当の彼女の笑顔だった。


+  悩ましいなあ…

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