Written by 独鴉


クレイドル21奪還
武装組織リリアナの部隊が建造中のクレイドル21を占拠したとの事だ。その為企業レンは複数の独立傭兵に依頼を出し、ストレイドにも依頼内容が届いていた。

「やっかいな依頼だがいいのだな?」

セレンさんの危惧している点は相手が反体制武装組織リリアナということだ。

反体制武装組織リリアナ、クレイドル体制に異を唱えるラインアークからも追放された過激派テロ組織。
反体制組織の中ではもっとも危険な者たちが集まり、カラードランク上位と同等とも言われるイレギュラーネクスト リザとそのリンクス オールドキングが存在している。
もし情報に誤りがあり、オールドキングが待ち構えていた場合危険度が非常に高い。
セレンさんの推測ではストレイド対リザの勝率は80%以上でストレイドの敗北となっている。
それでもレイレナード製品を手に入れるためには受けるべき依頼だった。

最近になって解った事だが、レイレナード製・アクアビット製純正パーツはカラードが保管しているものを除き、そのほぼ全てが他企業の研究資料として保管されている。
主にレイレナードのフレーム・実弾火器はオーメルグループ、EN兵器と内装はインテリオルグループが保持している。
保管しているものの中には、カラードでは在庫がすでになくなっている物も保管されているということだ。
その為、各企業共に研究資料として保管されている純正パーツを譲ってもらえるよう、強いコネクションを持っておく必要があった。

数日後、同じように依頼を受けた独立傭兵の中から企業連はどの企業よりでもないネクスト ストレイドを選んだ。
これは利権の絡み合う建設中のクレイドルに各企業専属や企業よりの独立傭兵を使うことに弊害があったのだろう。
オールドキングが居たのなら自分に回ってくることはないが、今回はリリアナの一部のノーマルACとMT部隊だけらしい。
戦闘内容の指示もあり、極力クレイドルへの被害を抑えたい企業連は今回特別にクレイドル空域へネクストの侵入とPAの使用を許可。
企業連の所有する高速エアキャリアーによって作戦空域まで輸送、クレイドル21に到着次第短時間で全ての敵を殲滅、
その後PAを切った状態で降下し高度4000で機体の回収を行う。空域のコジマ汚染を極力抑えるための処置ということだ。
高高度ではコジマ粒子の汚染はほぼない。特殊な重金属であるため、粒子といっても高度上空を漂うことはほとんどなく、地表面を静かに漂いながら大地に堆積していくだけだ。

クレイドル空域・・・
高速エアキャリアーはクレイドル空域最高高度へと到着すると下部ハッチを開放、

「敵はノーマルだけだ。場所が場所なだけで苦戦するよう相手ではない。苦戦することさえ論外だ。わかったな」

「了解」

 戦闘開始と同時にPAを展開。ただ一方的な虐殺が開始される。

「ネクストだ!ネクストが来たぞ!」

「見せてやれ。戦況を決めるのは覚悟の差だと」

「くそ!やってやる!やればいいんだろ!」

各自絶叫や悲鳴を上げながらトリガーを引いている。勝てもしない死神を相手に自分の全てを賭けて。
一機、また一機とライフルの掃射を受けてノーマルACと共に命が散っていく。

「くそ!俺達をごみのようにっ!」

「不公平だぜ・・・こんなのっ!」

目の前にはレイヴンを捨て、ただのテロ屋に成り果てた元同胞達がいる。金も、プライドも、権力も、力も、何もかも失い、それでもノーマルACやMTに乗り戦っている。敵わない死神を目の前に、絶叫を上げ、悲鳴を上げ、あるものは祈り、あるものは嘲り、そして死んでいく。

「・・・何も変わらない。何も変わっちゃいない」

最後の一機を破壊したときリンクスはそう呟き、レイヴンはすでに存在していないと言うことを否定したかった。頭の中が思考で覆われかけた時通信が入る。

「まぁ、及第点だ。文句は無い帰還しろ」

「了解しました」

思考を切り替えクレイドルエリアから降下を始める。

AFカブラカン・・・・・・・・
ネクスト ワンダフルボディを撃破した事は無論知られていた為一部からは嫌悪されたが仕方ない。
NSS計画によって選抜されたリンクスを病院送りにしたあげく、NSS計画要の機体を鉄くずに変えたのだ。
その為NSS機はその性能が疑われ、いままで冷遇しされていた別のSSプランに押され始めていた。
別プランには元の重量級プランと軽量級プランがあるらしいと噂だけだが聞いている。

今回の依頼元はGAだが、NSS機の考案・デザイン・設計を担当した主要チームからの要望だった。
NSS計画の一例目としてリンクス メイ・グリンフィールドは成功したものの、二例目のリンクス ドン・カーネルは良好な結果を出せず、
総合的なプランそのものはともかく機体の有効性について上層部からも疑問視する声が上がりつつあった。
メリーゲートが完全なNSS機ではなく、SSとNSSの混合であった事も一因であり、
NSS機体の有効性を実証する為、独立傭兵に機体を使わせ他企業のAFを破壊させることになったらしい。
第一にロイ・ザーランドが候補に挙がったが、インテリオルよりの彼に任せるのは危険という意見が上がり、
他企業との接点が強いものは必然的に排除された。
その為、フランソワ=ネリス、ウィス、イェーイ、パッチ ザ・グットラック、ダン・モロ、チャンピオン・チャンプス、そして自分が候補に挙がった。
フワンソワ=ネリスはBFFと関りたく無いと断り、ウィス・イェーイは単独では依頼を受けない、
ダン・モロとチャンピオン・チャップイスは論外、その為パッチ ザ・グットラックと自分が最終候補になったが、
メイ・グリンフィールドとの共同作戦のデータと彼女の口添えから自分が選ばれたということだ。

借り受けたGAN02‐NEW‐SUNSHINE機。
そして最新のGAN02-NSS-WRライフルと同じく最新のGAN02-NSS-WBS拡散バズーカ、
肩にGUYANDOTTE04垂直フレア、最新型から比較的新しいパーツのみで構成されたGAグループの新鋭機。
これで無様な結果を出せば今後パーツを売って貰えるかどころか今後依頼が来るかどうかも怪しいだろう。

「作戦領域まで残り2分、戦闘準備に入れ」

考え事をしていると機嫌が悪いセレンさんからの通信が入った。

「わかりました。AMSとの接続を開始します」

AMSと接続した感じはアーリヤと比べて苦痛が少なく、機体も重量級を主に開発していたGAとは思えないほど軽く反応も良い。アルドラの重量級ネクストと比べてだが。

「作戦領域に到達した。投下する」

GA製エアキャリアーの下部ハッチが開きNSS機が降下を始める。

「作戦エリア内に強力な地雷がばら撒かれているらしい。十分に注意しておけ」

「了解しました」

エアキャリアーの下部ハッチが開かれNSSの降下が始まる。

「AFカブラカン確認しました。任務を開始します」

ブースターを吹かすと降下速度を低下させながらAFカブラカンの状態を確認。

「データは覚えているな。まずは足を止めろ」

「了解」

重量のある機体をブースターで落下速度を低下させ砂漠に着地、砂煙を上げながらカブラカンへと向かっていく。
最適積載量を超えたNSS機の動きは鈍重だが、まだカブラカンから攻撃が行われる様子が無い。
それから数秒の時間を置いてカブラカンは自らと同等どころか一回り背の高いビルに接触しようとしたときビルを迂回するようにミサイルの群れが発射されNSSに向かっていく。

「垂直フレア射出」

肩から撃ち出されたフレアが上空に舞い上がりミサイルはNSSから新たに現れた強力な熱源を追いかけていく。
MQBを点火し機体を加速させる。カブラカンは巨大なビルを破壊し、その本当の姿をこちらに見せた。
前面に取り付けられている巨大な連装削岩機が高速回転しネクストと言えど巻き込まれればたたでは済みそうにない。

「あんな破城の様なAFはどこでしようするんだ?」

「余計な事を考えていないで集中しろ!」

二度目のミサイルが発射されMQBで背後へと
射出されるミサイルを回避しているとき、カブラカンが地雷を踏みつけ巨大な装甲板が数秒間跳ね上がり、装甲板に少し亀裂が入ったのが眼に映った。

(あぁ、少しは地雷も役に立っているじゃないか)

次にOBで跳ね上がった装甲板の中に機体を滑り込ませた。コア背面の60%がOB機能な上にOBユニットの推力が高い為、
NSSの重量を無理やり急加速させたが、推力不足は否めずMQBとの併用という形だった。
装甲版の内部に入り込むとキャタピラに向けてライフルと拡散バズーカを連射、至近距離で銃撃を受けた駆動部は動きを止めた。

「カブラカン停止・・・待て!まだだ!」

レーダーには敵性物体であることを意味する赤い光点が急激に増えていく。

「自立兵器だと?何て数だ・・・。これを全て撃破しろというのか」

こちらから視界確認できないが長距離望遠カメラで映像を確認しているセレンさんからは状況が見えているのだろう。

「こちらGA社、AF部隊だ。現在そちらに向かっている。今しばらく持ちこたえてくれ」

「ハッ、援軍とは、この事態は予想済みか、馬鹿にしてくれる。聞こえたか?援軍到着まで何とか耐えるんだ。
まぁ、その場所なら自律兵器とてそう簡単には手は出せないだろうがな」

「了解しました。このまま待機します」

装甲板の内側でNSSは静かに部隊が到着するのを待っていた。頑丈な装甲を持つスカートは自律兵器を受け止め、徐々にだが破損を始めている。

「作戦思考が遅れている。到着は少し遅れる。すまんな、こちらも精一杯やっている」

(このまま待っていればAF部隊が到着して終わりだな)

大した損傷もなくカブラカンの足も素早く止めた。このままでも機体評価は十分だろう。そう思っていたが、楽には終わらせてくれないらしい。

「トラブルだ。AF部隊は行軍を停止した。すまんが支援は難しい。そちらでなんとかしてくれ。」

「トラブルだと?ふざけたことを」

「高い金を払っているんだ。できるんだろう?リンクス」

『・・・いい度胸だ。ミッションが終わったら待っていろよ。貴様』

いつも以上にどすのきいた声でセレンさんの声が通信機から響く。
こちらに向いた言葉ではないことに安堵しつつ、先ほどの地雷と自律兵器の攻撃によって亀裂が入った装甲板にライフルと拡散バズーカを撃ちこんだ。
何発か撃った所で鈍い音を立てて装甲板が崩れ落ち、視界一面に埋め尽くされた大量の自律兵器からの砲撃が一斉にこちらへと向けられた。
PAで減衰した銃弾が装甲板に弾かれ鈍い音を立てている中、二つの銃口を自律兵器へと向けトリガーを引いた。
大量の銃弾が装填されているライフルと四つに拡散するバズーカ、自律兵器が大量に存在しようとこの二つの前に意味はなさないはずだった・・・が、
銃弾がほとんど当たらない。照準はきっちり二重ロック済み、FCSエラー無し、腕部も異常なし、AMSにも問題はない。
だが、トリガーを引くが銃弾はゆっくりと浮遊しているだけの自律兵器に中々当たらない。照準がずれている。

「そう言えばメリーゲートは腕部がNSSじゃなかったな・・・」

メリーゲートはGAN-02-Aを使っていた。恐らくこの腕部パーツは中遠距離での射撃には適していない。
ライフルも弾数は非常にあるが、バズーカとライフルの中間位の弾速で当てにくく、拡散バズーカも弾のバラけ方が不均一で有効距離も想像していたよりも短い。

(装甲を活かして接近して撃てってのか?)

確かに重量型のSSに比べて軽量かつ軽快な機動力を持っていても、中量級では最大重量で動きも遅い。
AFやノーマルなどが相手なら有効射程距離で回避しつつ戦えても、ネクストが相手なら速度で振り回されて逆に蜂の巣にされるのがオチだ。
武装も機体もまだまだ発展の余地ありというところか。

「何をしている!私に恥を書かせる気か!」

どうやら考え事をしながら回避ばかりしていた為セレンさんはイライラしてきたらしい。

「照準誤差調整に手間取っています。最大射程距離では二重ロックしてもほとんど当たりません。しかしこれ以上の接近は機体速度上完全な回避は不可能になります」

「接近して当てろ。その為の重装甲だ」

イライラしているようだが、送られてくる戦況データから照準システムが曖昧なのをセレンさんは理解している。

「了解しました。損傷を覚悟した上で近距離での戦闘を実行します」

セレンさんの言うとおりだった。NSSのPAと重装甲は自律兵器の攻撃をほとんど弾き飛ばし内部への衝撃伝播もほとんどない。
やはり対実弾・対衝撃のGA製である利点は生きている。メインカメラ直撃の弾丸でさえ傷が付いたくらいでなんなく弾き飛ばしていた。
ライフルとバズーカも同じように傷が付く位で使用に弊害はまったくない。銃撃の豪雨の中自律兵器を次々と破壊し、最後の一機を撃破したところで依頼は完了した。

拡散バズーカの弾丸はもう残っていないが、ライフルの弾丸はまだまだ余裕がある。
確かに弾速が遅い上に重いが、これは安心して撃ち続けられる上に頑丈で信頼性は高い。
自律兵器とはいえ銃身下部の安定器で殴りつけても歪みさえないのは頑丈過ぎだが。そんなことを考えていると通信が入った。

正直怖いのは自律兵器よりも機嫌の悪いセレンさんにこの後会うことだが、AF部隊の責任者と仲介人は運が悪い。怒らせてはならない相手を怒らせたのだから。

「さて、それでは個人的な仕事を終わらせるとしよう。PAを切りギガベースに向かえ」

今までとは違いドスの聞いた声でセレンさんの命令が飛ぶ。

「了解しました。ギガベースへと向かいます」

セレンさんに従う上で重要な三条

第一条 セレンさんが怒っている時に拒否や質問をしてはならない。

第二条 セレンさんが怒っている時の命令には絶対服従である。

第三条 セレンさんの説教が始まれば例えコンクリの上でも正座で聞くこと。

そこから2分ほど離れた場所では砂に足を取られ立ち往生したギガベースとノーマル20機程度の部隊が展開していた。
通常ブースとで移動中、開いていたGA一般回線からセレンさんの声がコックピットに響く。

「さて、随分と生意気な口を叩いてくれたものだ。覚悟は出来ているのだろうな?」

通信からは怒気の込められた声が流れ、こちらに向けられたものでないことは判っていても冷や汗が流れ出てくる。

「ストレイドか。任務は完了したのだろう?我々に何の用があるのだ?」

その後はセレンさんの言うとおりギガベースとノーマルACに脅しを掛けることになった。

その後・・・・
戦闘結果を見たGAからの印象はそれなりに良いもので、OBによる高機動と弾雨の中でやった撃ち合いをNSSプラン立案者である上層部連中は気に入ったらしい。
結果として新型パーツと武装の購入許可を得ることになった。しかしGAの仲介人が包帯を巻いている上に今までの対応について謝罪、
さらに特別報酬の上乗せがあった。セレンさんは一体何をしたのだろうか・・・・。
特別報酬として、戦闘に使用したGAN02‐NEW‐SUNSHINEを無償・無条件で貸し与えられたが、どのレベルまでどういった脅しをかけたのか想像したくも無い。



now:22
today:3
yesterday:0
total:778


移植元コメント

コメント



小説へ戻る