※作者注
この作品は拙作の大破壊の真実シリーズのアフター、エンディングのスタッフロールみたいなものでし!
これ単体で見ても気になるあの子の本当の気持ちぐらい訳が解らないので、初見の方はプラウザバックする事をお勧めします!
またいつにもまして作者の自己満と妄想がいっぱいおっぱいなので、全てを許容する仏のごとき寛容な心と無駄な時間を使う余裕がある紳士淑女以外も戻った方がいいと思います。


Written by ケルクク




神聖ダリオ暦2年に破滅は再び現れた

神聖ダリオ帝国建国一周年記念祭本会場

「それでは次に神聖ダリオ帝国終身執政官のダリオ様よりお言葉をいただきます」
ミドはそう言って玉座に座るダリオに目配せすると、ダリオは大仰に頷き立ち上がり壇上に向かう。

壇上に立ったダリオは歓声をあげる住民に手を振り応えると口を開いた。
「我『宴の最中悪いが私から重大な発表がある』
だがスピーカーはダリオの声でなく違う男の声を流した。同時に会場に設置してあったモニターがダリオでなく壮年の男を映し出す。
「何が起こった!秘書!」「解りません!いえ、ジャックされています!現在居場所の特定中!」「ええい!どこのどいつだ!折角俺が10時間に渡る超大作の演説を考えてきたというのに!」
慌てるダリオ達を無視して男は地上に生きる全ての人間に対して、嗤いかけた。
『私は大いなる管理者の代行人である。これより管理者の決定を告げる!!被告!!人間!!被告!!例外!!決定は死刑!!死刑だ!!死刑死刑死刑死刑死刑死刑!!
 おまえたちは哀れだ。だが許せぬ!!実を結ばぬ烈花のように死ね!!蝶のように舞い蜂の様に死ね!!』
「いきなり現れて何を勝手な事を」「ダリオ様!居場所を特定できました!敵の場所は、場所は、嘘でしょ!?」「どうした小娘!しっかり報告をしろ!間違っていたら尻100叩きで許してやる!」「は、はい!場所は、火星のフォボスです!」
『管理者の敵を根絶やしにせよ!!目標!!地球!!死刑執行!!!』
壮年の男がそういうと同時にモニターは元に戻った。
「フォボス移動を始めました!こ、このままの進路を進んだ場合ち、地球に激突します!!」
「直に関係者を集めろ!地球は俺のものだ!壊させてたまるか!」

三度歴史の表舞台に現れたクラインと共に動き出すフォボス。人類はこのまま滅びてしまうのか!


 
フォボスを止めるべく結成されたレイヴン率いる討伐部隊。彼らは間違いなく人類最強の部隊。だが…

フォボス近海

「鴉の旦那!ダメだ!戦力の3割を失っちまった。第一次攻撃は失敗した!撤退しよう!今なら地球に衝突する前にもう一度アタックできる!」
「このフィフスを、フォボスの侵攻を阻止できなかったとは。ちいっ。まだ援護がいた?クラインか!ロイ!お前は残存兵力を纏めて引け!」「アンタはどうするんだよ!特攻とかは無しだぜ?」
「お客さんだ。俺が食い止める。安心しろ、適応なところで切り上げて帰るさ」「確かに熾天使タイプはアンタじゃないと食い止めらんねぇか。すまない!死ぬなよ、旦那!」「お前もな!」
赤と黒に塗装された天使を食い止めるべく立ち塞がる白いWG。
両機は宇宙を高速で飛び回りながら時に斬り結び、時に撃ち合い、互いの想いをぶつけ合う。
「なんでこんな物を地球に落とす!これでは、地球が寒くなって人が住めなくなる。核の冬が来るぞ」
「母の元に回帰せぬ人類などいらぬ、だから抹殺すると宣言した!」 「人が人を選別するなどと」
「私、クラインが粛清しようというのだ、鴉!」 「エゴだよ、それは」
「螺旋を終わらせるわけにはいかんのだ!」
互角に見えた二機だが機体の性能差から徐々に赤と黒の天使が押して行き、遂には「そんな物では」「ちぃい!」WGの右腕を切り落とした天使がそのまま一気に攻めようとするのをWGは両背のミサイルを発射し何とか距離をとる。
そのまま追撃をかけようとした天使だが、WGの後方から大量のレーザーが放たれた事から舌打ちし回避に専念する。
「撤退完了だ!鴉の旦那、今の内にガイドビーコンに従って合流してくれ!急いでくれ!後30秒しか射撃できない!」「助かった!!撤退する!!」

無残な敗退。このまま人類は滅亡するしかないのか!


そんな事はない。人類の危機にはいつだって英雄が現れる!

神聖ダリオ帝国首都フォボス対策本部第一会議室

「もう一度説明するぞ。主攻部隊はフォボスを押し包むようにして広く展開して派手に戦闘してもらう。相手がそれに釣られて部隊を広く薄く展開したら俺がLVOB改でフォボスに突っ込んでできる限りの中心部で核弾頭を起爆する。
 お前等は俺の突入を見届けたら爆発に巻き込まれんように撤退しろ。俺の回収は考えなくていい」
回収を考えない、つまり自分が撤退せずに死ぬ気だと言う事をレイヴンは言外に含めるが誰も反対しなかった。
一番反対するであろうフィオナが真っ赤に腫れ上がった目で涙を流しながら頷いているのだから他の誰が反対できよう。
なにより、これしか手はないのであった。他の作戦の成功率は零。故に最強の英雄であるアナトリアの傭兵に人類の未来を託すしかなく、会議の参加者はそれが解っていたからこそ誰も反論しなかった。できなかった。
「ではこれから第三次フォボス侵攻作戦を開「まってくれ!!」」
レイヴンが会議の閉会を告げようとしたところで、ダンが立ち上がる。
「なんだ?」「やっぱりいやだ!俺はアンタを犠牲にする作戦は嫌だ!もう誰かの犠牲の上に立つ未来を創りたくないんだ!」
「ダン、子供みたいな我が侭を言うな。現状の戦力じゃフォボスの守りを突破して破壊する事はできない。なら内部から壊すしかない。
 そしてこの中で一番腕がいいのは俺だ。それに以前突入したから土地勘もあるしな。そして、除去される危険を考えたら安全圏まで退避なんて悠長な事をやっている余裕は無い。
 俺一人の命で世界が救われるなら安いもんだろ?」
「そうやって、何かが起こるたびにアンタ達英雄が自分を犠牲に解決していくから俺達は変われないんだ!!
 何かが起こっても、間違えても誰かが、何とかしてくれる。誰かが解決してくれる。そんなふうに守られる奴も犠牲になる奴も思い込んでるから世界は変わらないんだ!
 絶対の危機を、いつでも助けてくれる便利で万能な存在である英雄がいるから俺達は変われないんだ!
 いつだって血を流すのは英雄で、俺達は痛い目を見れないから変われないんだよ!
 でもさ、英雄ってそうじゃないだろ!英雄なんていうのは与えてくれるモノでも、頼るモノでもないだろ!
 本当の英雄はただの象徴だろ!全ての人々に同じ力が備わっていることを知らしめる導なんだろ!
 形のない勇気を体現してくれる英雄がいるから俺達は迷いを振り払い、踏み出し進めるんだ!
 そして歩き出せたら英雄なんて必要なくなるんだ!だって、俺達の世界は英雄なんかの力で支えれるほどちっぽけなものじゃないはずなんだ!
 そうだよ!英雄一人に守られる世界になんて価値などありはしないんだ!俺達皆の力を合わせれば英雄なんて要らないはずなんだ!
 皆の心を心をひとつにして立ち上がることができたなら、英雄なんて幻想に縋らなくても、英雄なんて生贄に縋らなくても世界を支えていける!
 フォボスだって倒せるはずなんだ!だからお願いだ!英雄になんてならないでくれ!自分を犠牲になんてしないでくれ!俺達から変える機会を戦うチャンスを奪わないでくれよ!」
ダンの悲痛な叫びに場が静まる。それは誰もが心の底で願いながら知りながら諦めていた事。大人になるにつれて諦め棄てた遠い理想だった。

「…ふむ、ならばなら、もし君が本当に世界を一つにできるなら、全ての人が戦う事ができるのなら彼を犠牲にする方法がないこともないよ」

ダンの悲痛な叫びに応えるように現れたジョニーが告げる救いの手
それは、レイレナードが計画段階で放棄したものをORCA旅団副長メルツェルがこの日を予測して密かに建造していたものであった
レイレナード本社地下に建設された通常の20倍のサイズのエーレンベルク。それに残る全てのクラニアムを暴走させる事で得られる電力とコジマを注ぎ込みトーラス本社地下にあった緑の太陽の予備の球体を弾頭として撃ち出す
それが、ジョニーの告げる誰も犠牲にならない方法だった
だがその方法をとれば、クラニアムは破壊され人類はコジマ発電の方法を失う事になる
それでも彼らは誰も犠牲にしない方法を選んだ。英雄のいない世界を作るために
そして、彼らは戦い始める
ある者はエーレンベルクを守るための準備を。ある者はクラニアム無き後の世界のデザインを考え。ある者は楽園に協力を要請しに


そしてある者はクラニアムが無くなる事と、守られる者達に守られるだけでなく戦う事を呼びかけに

神聖ダリオ帝国全チャンネル同時放送

「本日、私はみなさんにお伝えする事があります。
 私達は、アルテリアというを超高効率勝つ大規模な発電システムを使い文明を高めてきました。
 アルテリアの齎す電力で私達の生活の水準は高まり、より文化的な生活を営む事ができました。
 ただ、それは諸刃の剣……。アルテリアは同時に地球を蝕む毒物でもあったのです。もう皆さんもご存知でしょう。
 アルテリアの廃棄物として生み出されるコジマによって大地は汚染され空気は穢され、多くの動物が植物がそして、人が死にました。
 それだけでなく、植物も動物もそして人の出生率も下がり、ようやく生まれた新しい命も重度の障害、いえはっきり言ってしまえば奇形児の割合が年々増えていってます。
 私達に世界を好きにする権利があるのでしょうか?植物も、動物も、人も、これから生まれいずる生命は、私達のものではありません。その命自身のものなのです。
 
 このコジマ技術は、私達の世界を影から支配しそして今人を滅ぼそうとする災厄が齎したものなのです。私達が争い地上に住めなくするための呼び水……それがコジマ技術だったのです。
 愚かな私たちは、思惑通りにコジマを使って戦いを繰り返し、世界を蝕んでいきました。
 そしてその戦いすら兵士に任せて、自分達は痛みを感じる事はない。
 汚染された大地を浄化するのも一部のものに任せ、私達はシェルターに逃げて、自分達は痛みを感じる事はない。
 自らの手を汚す事無く、手に入れられるものがどれほどのものなのでしょうか?それでも戦士達は、我々が汚れ仕事を押し付けていたにも関わらず、迫る災厄と戦ってくれました。
 なのに安全な場所に隠れていただけの私達は彼等を讃えるのではなく、恩知らずにも失敗した事を罵ったのです。
 それでも彼らは醜い私達を許し、自らを犠牲にして迫る災厄を砕こうとしてくれたのです。
 本当にそれでよいのでしょうか!この恩に私達はどこまで報いる事ができるでしょうか。

 過去の過ちを消す事はできません。だからこそ、動かなくてはならないのです。いまこそ、私達は自分達で決断するときです。愚行を繰り返す事無く、未来への第一歩を踏み出さなくてはなりません。
 ……迫るフォボスを破壊するために全てのアルテリアを暴走させ破壊する事を決めました。
 今後、この国ではあらゆるコジマ発電の技術を封印します。
 つまり、アルテリアは全て使用できなくなります。例外はありません。
 私達は罰を受けねばなりません。自らの力で前に進むために。
 私達の生活は後退するでしょう。今日まで出来た事が、明日からは出来なくなります。今日助かる命が明日は助からなくなるでしょう。
 試練の時が始まります。それでも……私は、未来に繁栄を再び手に入れる事ができると信じています。次は私達自身の力で。
 友愛を持って、手を取り合って、企業もラインアークも無く、前へと歩みだしましょう!再出発のときです!始まりに戻る時なのです!!皆、力を貸してください!

 私、ブロック・セラノは終身執政官であるダリオ・エンピオの妻となる事を宣言します。そして、ここに企業とラインアークの戦いが終わり一つになった事を宣言します!
 全ての人よ、無から始めましょう。自分達の力で、私たちの手に未来を掴みましょう!」

アルテリアの廃棄という問題を融和に摩り替え、更に理性でなく感情に訴えるこの演説により人民は自覚する事無くアルテリアの廃棄と自らがフォボスを倒す為に血を流すことを受け入れた
 


 

そして全ての準備が整う。全てのアルテリアは復旧されたエーレンベルクに繋がれ暴走しながら電力とコジマを供給する
クラインは核ミサイルの一斉放射とレイヴン率いる全宇宙兵力による強襲という陽動にひっかかり意図を見抜く事が出来ない
だが、発射まで残り三時間というところで、エーレンベルクの存在が露見する。発射をさせない為に一斉攻撃をかけるクライン
果たして人類は三時間エーレンベルクを死守できるのか!!


 
さらに、

エーレンベルク防衛軍司令部

「…え?第3防衛ラインのNNEフィールドに展開していた部隊が消滅!アグニ、ブレイブ、センス、ダキニ、全ての部隊の反応消えました!応答もありません!」
「敵の大規模破壊兵器か?」
「い、いえ。発射の形跡はありません。そ、それに敵も消滅しています!」
「なんだと!?」
「あ、NNEフィールドに反応多数!?パターン白!楽園軍です!
 反応、全て002-Bです!いえ、違う!中央に新型あり!散った桜に髑髏の親子を確認!おそらく、獣です!」

突如現れた、獣達。彼らの目的はなんなのか!
 


 

エーレンベルクトリガールーム

「敵、最終防衛ラインを突破!中隊規模の敵来ます!」
「とうとう脱衣所が突破されたわね。アブ・マーシュさん、時間は?」
「後、10分、いや5、ええい!3分持たせてくれ!なんとかする!」
「焦って失敗するのが一番最悪だからゆっくりね。大丈夫、持たせて見せるわ。覗きを風呂場で撃退するのは得意なのよ。ね?ダン?」
「あれは、お前が男湯と女湯を間違えたんじゃないか!
 というか、か、変わってくれよ!なんで俺がトリガーを預けられるんだよ!!無理だよ!俺には無理!高速で地球に接近する対象を狙撃するなんて無理!しかも弾は一発だし!あ、やばい、プレッシャーで吐きそう。ウプ、エロロロ~」
「うっさいわね!アンタが適任なんだから四の五の言わずにやりなさいよ!」
「いくら、調整が間に合わなかったからAMSを使用するからリンクスが必要だからって俺じゃなくてもいいだろ!」
「あんたが一番弱いからよ!戦える人は皆ネクストで戦力になってもらうんだから一番弱いアンタがやればいいのよ!」
「そ、そんなぁ~」「四の五の言わずにしっかりやりなさい!アンタが誰も犠牲にならない作戦がいいって言ったんでしょ!ならアンタが最後に決めなさい!つーか、戦闘中なんだから耳元で泣くな!」
「ひ、ひぃ~ん。つ、通信してるだけだろ!」「更に突破!3方向から来ます!」「…やば、冗談言ってる場合じゃないわね!通信終わり!かっこいいとこ見せてよ、ダン」
「メイ」「…彼女はいい子だね。さぁ、男なら彼女の期待に応えたまえ!ファイナルシーケンス開始!パワーをコジマに!」「いいですとも~!」

果たして充電完了までメイはエーレンベルクを守りきる事ができるのか!
ダンは攻撃を当てる事ができるのか!
人類はクラインの掌から脱出する事ができるのだろうか!!

最後だからって自重をせずにネタをパクリまくったケルククが描く全編クライマックスな劇場版!
『英雄の殺し方』20013年春公開予定!!




※作者中
以下は100%作者の自己満足のオナニーで2年後には黒歴史にあってるであろう登場人物のアフターです。
見ても面白くない上に長いので、スルー推奨だぜ!

+  それでも見たいならどうぞ

 




 
後書き
某所からの移送です。良かったら見てください
 




 
3年前

「ダメです。最高で適性は370程度。どれも目標の半分にも達していません。今回も失敗です。完璧なクローンの筈なのに何故達しないのでしょう」

誰だ?何を話している?

「アハハハ!当たり前じゃないか。イレギュラーは制御できないからイレギュラーなんだ。人工的に生み出せるわけが無い。そんな事は300年前の星座君達で解ってるだろう?
 さ、いい加減に無駄な事は諦めて僕達の仕事を果たしにいこう?」
「…了解しました。現時点を持って当施設を廃棄します」

廃棄?棄てるっていうのか?このあたしを!

「あれ?廃棄しちゃうの?折角出来たんだからもって行ったほうが良くない?なんか使い道あるかもよ?」
「失敗作なのですから必要はありません」

失敗作!あたしが失敗作だって言うのか!だから棄てるって!ふざけるな!

「あははは!了解。それじゃ、早く合流してきてよ。今回のクライアント待たせると煩いからさ」
「了解しました」

ふざけるな!死んでたまるか!あたしはまだ何も知らない!生まれる前に死んでたまるか!!
生きてやる!どんな手を使っても!誰を犠牲にしても生き残ってやる!

****

二年半前
「ふぅ、やれやれ。折角手づかずの遺跡を見つけたのに、残ってるのは白骨化した死体ばかりか。誰かに先を越されたか。まぁ、廃棄された部品を売れば何とか?ん?あれは?」
「ほう、これはこれは。まだ生きている人間がいるとはね。さて、棄てられたか、それとも迷い込んだか。まぁ、なんにせよいい商品を見つけたな」

****

一年前
「商品番号QAC-0028、お前の出荷先が決まった」
「はい。どこになりますか?」
「企業だ。レジスタンスを追い詰める為に戦力がいるという事でな、お前を含めて10人を買い取った」
「はい。了解しました」
「ふ、嘘を吐け。理解していないだろう。いいか、配置されるのは最前線の激戦区だ。そこの予想損耗率は100%。つまり、お前達は捨て駒だ」
「問題ありません。私は道具。持ち主の意に従う事こそが私達の役割です」
「…俺は今から独り言を言う、黙って聞け。
 さっきも言ったが予想損耗率は100%だ。つまり、返却が不可能だから俺はお前達を売った。つまり、もうお前は俺の所有物でない。
 そして、企業も使い捨ての部隊を自戦力に換算して損耗率を高める気は無いらしくてな、お前達は員数外の一戦限りの傭兵扱いだ。
 つまり、生き残ればお前は自由だ。なので、折角だから枷を外しておこうと思ったのだが、道具というのなら万が一の生存を考えてつけておくか」
「外せ」
「即答か。だが、いいのか?これはお前達を縛る枷であるが同時にお前たちの価値を証明する証でもある。
 これをつけていればお前は俺にとっての有用な道具という立場が保障されるのだからな。
 本当にとっていのか?」
「当たり前だ。私は、いやあたしはあたしのものだ。お前のものじゃねぇ!」
「有用な道具より無価値な人間である事を選ぶか。
 いいだろう。服を脱げ。枷を外してやる。
 今日からお前は籠の中の鳥でなく、空を飛ぶ一羽の鴉、レイヴンだ。餞別代りにジャンク品だがACはお前にくれてやる。
 精々足掻くのだな。誰にも必要とされない無価値な人間は、使い手に必要とされる道具に劣る」
「るーせよ。余計なお世話だ」

この日、この時、この瞬間、あたしは生まれた。

****

一年前
「…娘を、……フランを頼む」
あたしに頼みごとをするのか?あたしを必要としてくれるのか。
「ああ、いいぜ。頼まれた」

「あははは!生き残れたんだ、凄いね~。君以外は皆死んじゃったのに!!」
「約束の後金です。これからどうするのですか?もし予定が無いのでしたら引き続き私達と契約を続けませんか?」
「いや、悪い。先約があるんだ」
そう、人間のあたしを始めて必要としてくれたあの人の頼みを聞かなければいけない。

****

現在

そして、あたしは彼女に出会った

「あ、あの、フランです。よ、よろ!!?」
目の前でおどおどと挨拶をするフランを抱き寄せ口付けし、そのまま硬直するフランの口内を蹂躙する。
「わ~、凄い!見て見てRD。若い子って情熱的ね~」
「いや、無理やりじゃないっすか。助けなくていいんすか?」
「む~~!!」ようやく暴れ始めたフランを離し、へたり込むフランと、ついでに後ろにいる女と少年に微笑む。
「俺はレイヴンってんだ。んで、後ろにあるのがリンクスだ。よろしくな!」

そして物語は始まる!
    

絡み合う人間関係!
「ふぅ、アンタホントに上手いのねぇ。ちょっとした退屈しのぎの遊びのつもりだったのに完全に遊ばれちゃったわ」
「へ、仕込まれてっからな。だがよ、もう二度はゴメンだ」
「なんで?あ、女同士とかってホントは駄目なタイプ?それとも、遊びはいや?」
「別にどっちもかまわねぇ。ただな、誰かの代わりをさせられるのはゴメンだ。テメェは、レオンが構ってくれないから代わりに俺の所に来ただけだろうが」
「それは…」「テメェが、レオンとどんな関係かは興味がねぇよ。ただな、俺をアイツの代わりにするな。俺は俺だ。遊ぶんでもマジでも俺を目的に来い。他の代わりにするな」
「わかったわ。ごめん」

   

ぶつかりあう理想!
「なぜだ!なぜ、貧民達を地下に追いやった!俺達の理想は!俺達の夢は、貧しさや弱い者が笑って人間らしい暮らしをおくれる場所を作る事だろう!このシティはその為に作ったんじゃないのか!答えろジャック!」
「ああそうさ!その通りだ!ただ力がないというだけで!ただ貧しいというだけで!道端で犬や猫のように餓死する事無く!強者に奪われる事の無い世界を作りたかった!
 10人、100人この辺りまでは良かったさ。だが、1000人を越えた辺りから持たなくなった。
 当然だろう。もとよりシティの構造が俺達の稼いだ物資を弱者に分配する形。だが、俺達の稼げる物資には限界がある!シティの土地にも限界がある!なのに!難民の流入は止まらない!
 俺は選択をしなくてはいけなかった。100人しか助からぬ船。だが、乗船を希望するものは110人。
 とるべき道は二つ!10人切り捨てるか!あるいは、110人全員の片腕を切り落として10人分の質量を軽減して全員のせるか!
 そして俺は後者を選んだ!地下は確かに過酷だが外よりマシだ!地下なら難民をまだ受け入れる事ができる!
 逆に、教えてくれ、レオン!これ以外にどうすれば全員を救えるのか!俺はどうしたらいいのかを!」
「ふざけるな!そもそもそんな選択を選ばざるを得ない状況に追い込まれないようになんとかするのがお前の仕事だろう!」
「俺は神じゃない!ある物を効率的に利用する事はできるが、無い物を生み出す事はできない!」

   

決断の時!
「いいのかよ、フラン」
あたしは下で荒い息を吐く、フランに確認する。
「はい、私の初めてを貰って下さい。アナタと一つになりたいんです」
そう言ってフランが真っ赤になりながら、それでもゆっくりと足を開き、右手で右の太股を左手で左の太股抱える。
「解った。じゃぁ、お前の初めてを貰うぜ」
そういって、あたしはフランの腰の前に進みながら、傍らにおいてあった双頭ディルドーを自分の膣の中に入れてゆっくりとかき回す。
「ん」思わず、声が漏れる。やばい、目の前でフランがいい格好を見せてくれてるせいもあって本格的にオナっちまいそうだ。
我慢我慢。あたしはがむしゃらにかき回したくなるのを我慢してゆっくりとかき回す。
そしてディルドーにあたしの汁が十分に付いたのを確認すると、引き抜きもう片方を奥まで突っ込み、抜けないように腰の後ろに紐に抜ける。
「ん、これでよし」
「…アナタのエッチな汁でベトベトですね」
「ん?あぁ。十分濡らしたから痛くないと思うぜ?」
「ありがとうございます。でも、必要ないかもしれませんよ。だって、ほらあたしもビショビショですもん」
フランが自分で開くと、汁があふれ出し、切なげにピクピク震える後ろの穴にまで垂れた。
あたしは、その光景に我慢できなくなり、「じゃぁ、いくぜフラン」「はい、お願いします」

①一気にフランの膣に突っ込んだ。
②あえて、後ろの穴に突っ込んだ。
   

明かされる真実!
「アハハハ!まさか、あの時廃棄した生態兵器がまだ動いてるなんてね!ほ~ら、キャロリンやっぱり持って帰ったほうが良かったじゃない!」
「生態……兵器?」「あれ~?もしかして知らなかったの?アハハハハ!君、上手く騙したね!流石、キャロリンいい腕してる!それとも君達がのんき過ぎたのかな?」
「テメェ、黙れ!」
「や~だよん!教えてあげるよ。そこのACに乗ってるそれはね、人間じゃないんだ。僕達がとある実験のために作った兵器なんだよ。ま、失敗作なんだけどね!アハハハハ!
 そこのそれは、形こそ人間の形をしてるけど肉も血も臓器もなにもかも人間とは違うんだ!それに比べたらまだチンパンジーの方が人に近いよ!」
「うるせぇ!うるせぇ!俺は、俺は人間だ!」
「あ?もしかして、知ってた?知ってたから彼に単機突入とかさせたのかな?だよね~。失敗作とはいえスペックで言えば人間を遥かに超えるもん!そりゃぁ便利に使うよねぇ~、アハハハ!」
「違う違う!あたしは道具じゃない!あたしは「でもね、君の役目はもう終わりなんだ。僕達が知りたいのは人間の可能性。だから君は邪魔なんだよ」
「…だからどうしたんですか。あなた達の思惑なんてどうでもいいです。私達は私達が生きる為に戦うんです。
 そして、レイヴンが兵器だろうが人間だろうがそんな事は関係ありません。
 レイヴンがなんであろうと、彼女は私の大切な仲間であり最愛の人です。
 それと、レイヴンしっかりしなさい!今までどれだけ付き合ってきたと思ってるんです!私達の絆はこんな事で切れるはずがないでしょう!私はあんたがなんであろうとあなたを信じます!」
「………へ、へへへへ!おう!命令了解!」「あら、アンタ泣いてんの?ちなみに私もフランと同じ気持ちなんでよろしくね」
「…素晴らしい。そうだ、それだから君達人間はたまらない。だからこそ僕は……
 あはははは!いいねぇ!盛り上がってきたねぇ!さぁ、始めようか!」

   

愛に殉じる男!
「テメェ、バッカじゃねの?なんで、あの落ち目のリーガンについてんだよ?もうMOHの支援もなくなって全財産で雇った傭兵も俺が蹴散らしてやったんだぜ?
 なら、もうここで俺様を倒しても何の意味もねぇじゃねえか!このままのたれ死ぬだけだろ?なのになんで逃げ出さねぇんだ?」
「俺は彼女の一族に恩義がある」
「一族ならロザリーなり、もしくはもう一人の姉のなんだっけ?ゴリアテだっけ?まぁ、とにかく、他の奴でもいいじゃねえか」
「……そうだな。だが、それでも俺は彼女でなければダメなのだろうな。それが何故かは言葉にする必要はないだろう?」
「あいつは、テメェの事を道具としか思ってねぇぜ」
「俺はそれでいい。俺は自分の意思で彼女の道具になろう」
「馬鹿野郎が。いいぜぇ、リーガンもろともぶっ殺してやる!」

   

選択の時
「いい加減、目を覚ませ、フランソワ!お前の望みはこんなくだらない戦いじゃねぇだろうが!」
「黙りなさい!私はクイーンビー!ビーハイヴの女王!信徒を殺した貴女と話すことなどありません!世に平穏を齎すために死になさい!」
「そうだよ!テメェの望みは世を平穏にする事だろう!断じて、金や資材や食料を集める事じゃなかったはずだ!
 でも、今のビーハイヴは違う!どいつもこいつも略奪に必死になってんじゃねぇか!平穏を乱してるのはテメェ等だろうが!
 それがお前のやりたかった事かよ!それとも世に平穏のあらんことをって祈りの言葉はただのお題目なのかぁ?」
「違います!全ては争う者達を全て撃ち滅ぼし平穏な世を築くための必要悪です!
 そう、争う者たちを撃ち滅ぼし平穏な世を築く事こそが我等の理想!私達の理「違うだろ!それは、お前の願いじゃねぇだろ!」「な、何を言って」
「思い出せよ!俺と初めて会った時を。お前はジジイやガキ共の笑顔を見て皆が笑えるたらいいなって言ってただろ!
 それがお前の願いだろ!平穏な世はともかく滅ぼすなんてお前がやりたがってるとは思えないぜ!いい加減、本当に自分がやりたい事に気付け!」
「違います!私は本心から教えに」「ならなんで教祖をやってる時のお前はあんなに泣きそうなんだ!何でお前は今泣いてるんだ!」「え、私、泣いて。あれ?」
「…もういいだろう。お前にはやりたい事があるんだろう。お前には叶えたい願いがあるんだろう?なら、誰かの道具でいちゃダメだ。やりたことがあるんならテメェの力でやらねぇと!」
「でも、キラーがそうしろって。そうしないと、お前には価値がないって」
「目を覚ませ、フランソワ!価値がないのはキラーにとってだ!!でも、お前が必要とされたいのは誰なんだ!お前の願いはなんだ!
 キラーに必要にされる事か!それとも自分の願いか!お前の願いは、お前の祈りは誰かのキラーの道具で叶えられるのかよ!
 選べ、フランソワ!キラーの道具でいるか!それとも俺と一緒にテメェの願いを叶える方法を探すか!」

   

それぞれの戦いへ
「タイミングがいいんだか悪いんだかわかんないんだけどお待ちかねのゾディアックとキラーの情報よ。
 残るゾディアックはこの廃基地を拠点にしてる。それで、キラーはここね」
「見事に離れてんじゃねぇか。どうなんだ。暫く留まってくれそうなのか?」
「いえ、ゾディアックもキラーも今までの行動パターンからして直に動くでしょうね。残念だけど、片方を襲った後即座に残りに向かっても移動している可能性が高いわ」
「ならばどちらかですね。互いに次にいつ捕まえられるかは解りません。そうなると、ゾディアックは都市や難民への破壊工作が心配ですし、キラーは新たな組織を起こす可能性があります」
「だべな。どーすんだよ?」
「そうですね、ここは」「あの、両方はどうでしょうか?その、ゾディアックにはレイヴンさんが、キラーには私が行きます」
「じょーだんでしょ?ちょっと前まであっち側だったアンタをキラーに向かわせられるわけないじゃん!やるんなら逆よ逆」
「キ、キラーとは私が決着をつけたいんです!そ、それに彼の手の内を知っているのは私ですし。だから、あの、お願いします!」
「…いや、頭下げられてもねぇ。どーするの、フラン?」「その、なんなら枷をつけてもいいです。その、24時間以内に解毒剤飲まないと死んじゃう毒を飲んで解毒剤をそちらで持っていていただければ」
「いらねぇよ。フランソワ。やれんだな?」「はい」
「フラン、俺からも頼む。キラーにはフランソワを当ててくれ」
「……ゾディアック相手のパートナーがいなくなりますが大丈夫ですか?」
「あぁ、問題ねぇ。つーか、フランソワじゃねぇがあいつらは俺が倒してやらなくちゃいけない敵だからな」
「解りました。同時攻撃を行います。ロザリー、レイヴンをお願い。私はフランソワさんのサポートに付くわ」
「あ、ありがとうございます!」

   

怨念
「私は貴女を!貴女の存在を認めるわけにはいかない!!貴女の存在は私達の否定です!
 貴女が人間であればよかった。貴女が人間であるなら、私達は貴女を純粋種と認め貴女に挑めばよかった。
 その結果貴女を倒せれば、私達のプロジェクトは成功し私達は純粋種を凌駕する事が出来た証明となった。
 逆に敗れれば、私達では足りなかったという証明になる。
 どちらにしても私達の300年にわたるプロジェクトに結論が出るはずだった。
 なのに!なのに!どうして貴女は人間でないのですか!先天的最高度戦闘適性は人間にしか宿らない!
 だからこそ彼らは人を棄ててまでモデルケースとして性能を高めたのに!
 だからこそ私は人を棄ててプロジェクトに全てを捧げたのに!
 なのに、人間で無い貴女が!あの天災のクローンのできそこないである貴女が、先天的最高度戦闘適性の持ち主であるという!
 だとしたら、私達の300年は!私の体は!彼等の献身が全て無駄になってしまう!
 そんな事は認めるわけにはいかない!そんな事は許されない!だから、私は貴女を倒し否定する!私の、いえ、私達の過去と現在の為に!
 お願いします!No.2、No.8勝利を!」

「終わらせましょう。彼等のミッションを」

  

道具と人間
「私の元に戻れ、クイーン!」
「ふざけないで、キラー!そうやって彼方は他人を利用して食い物にするばかり!もう私は彼方の道具にはならない!私は彼方に騙されない!私は私の道を行く!」
「ふん、一方的に私が利用したのような言い方は不愉快だな。確かに私は彼らから金や物資を得ていたが同時に私からも与えていたのだよ?」
「どの口が!彼方は一方的に搾取していただけでしょう!」
「それは違う。代わりに私は、彼らに価値と役割を与えていたのだ。
 クイーン、君ならわかるだろう。人は誰かに認められたい、できればできる限り上位のものに認められたいと願う生き物だ。
 だから、神の子である私が彼等を認めてやった。お前達は必要だと。私に金と物資を提供するお前等は素晴らしい存在だと認めてやったのだ!
 そうして神の子である私に認められたからこそ、彼らは自らに価値があると思い安心できたのだ。
 更に、私は自分では何も考えずに指示を待つだけのあいつらにやる事を役割を指示してやった」
「それは人を道具にしているだけです!」
「奴等は道具でいたいのだ!自分では自分の価値も決められない!自分のやる事さえも決められない!そんな案山子どもに私は望むものを与えてやったのだ!奴等は自分で人間である事を放棄したのだよ!
 道具を望む私と道具になりたい奴等。何の矛盾もあるまい!
 それに、道具のどこが悪い!貴様もわかるだろうクイーン。道具であるうちは、自らの価値も自らの成すべき事も他者に委ねる生は安心できて楽だったはずだ!
 そういえば他者に安楽の生を過ごさせる事が貴様の望みだったな。見ろ、私はお前の望みも叶えていたではないか!」
「ふざけるな!私の望みはそんな道具の生じゃない!誰もが人間らしくいきていける世界を!」
「無駄だ無駄!そんな世界は出来やしない!仮に出来ても直に奴等はお前に頼るだろう。次はどうすればいいですかとな!
 結局、支配の形は変われども支配の、統治の方法は少数の天才による多数の凡愚の支配なのだ!」
「そんなのは認めない!今は生きるのに精一杯なだけできっと生活が豊かになれば人の意識は変わる!」
「変わりはしないさ!歴史が証明している!」「だからといって諦めて何もしなくていいわけが無いでしょう!」
「だから、私は幸せな道具の生をくれてやる事にしたのだ!」「そんなやり方を認めるわけにはいかないのよ!」
「この愚か者が!!」「愚かなのは彼方よ!」

様々な正義、様々な理想がぶつかり合う荒廃した大地。
そこでは様々な人が様々な正義をぶつけ合い、殺しあう。
争いの果てに辿りつく答えとは
ACV短編連作『愛しき邪悪』期待しないで待て!!
『それでも、私はアナタを愛するわ。例え、アナタが女でも、人じゃなくても、人殺しでも、どうしようもない邪悪でも』

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君は僕の天使さ、マイスウィート。お願いだから踏んでおくれ
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