《ウォーニング!!》

この作品は異性間に於ける性交を主軸とした小説です。

 
 
 
 

 
 
 
 

Written by 仕事人


【ケモノのスミカ レギュ01 《獣のスミカ、ケモノの住処》】

「全く……」
「……」
 黒いスーツを着こなす黒の長髪を持つ女性――霞スミカは天井を見上げながら自分の足元でちょこんと座っている少年に対し、呆れたような声をかける。
 足元にいる白の短髪に肌、中世的――ともすれば少女と見紛うような顔立ちの少年はYシャツ一枚にトランクスという姿で、無言で彼女を見上げている。
 スミカが忍び見るようにちらと足元に視線を移すと、雨の中で捨てられた子犬のような切なさを掻き立てる彼の眼に強い態度に出ることが出来ずに、再び天井に視線を戻す羽目になる。
(困ったな……)
 数分前、夜中にスミカが事務仕事をしていると突然ドアをノックされたので開くと、そこには枕を抱えてやってきた彼はやはり無言で彼女に目で語った。
 ――一緒に寝てもいいですか。
 スミカはそれをドアを閉めることで拒否の態度を示そうとしたのだが、彼はそれより一瞬速く前に出て、それを遮った。
 今度は手で直に押し退けようとしたら、彼は直下方向へのQBの如き速度で座り込んでそれを回避。しょうがないので、足で押し退けようとした矢先に前述の眼差しである。
 幾分か荒い気性を持つ彼女といえど、子犬のような少年を蹴り出すほどの非情さは持ち合わせておらず、暫くの間、視線を交わさない睨めっこが繰り広げられることになった。

「……」
「……分かった! 私の負けだ!」
 自分を見つめ続ける視線に根負けしたスミカが降参というように両腕を上げて大きな声を上げる。
 すると彼は一転して嬉しそうな表情になって立ち上がり、そのきらきらと輝くような笑顔を彼女に向ける。むぅと唸った彼女は、抱いた感情を彼に悟られないようにQTのような反転で背中を向けた後、自らの甘さに嘆息する。
 部屋に入っていく彼女の背中を尻尾を振るように――というより実際に臀部から伸びた尻尾を左右に振りながらついていく。
 彼のトランクスはその尻尾が窮屈にならないよう、腰の辺りが円形に切り取られており、そこにあったゴムの代わりに付けられたマジックテープが布を彼の腰に留めている。彼が所持する全てにその改良が施されているが、それら全ての手作業を行ったのはスミカである。

 スミカがデスクの椅子に腰掛けるのを他所にベッドに直行した彼は大袈裟に腕を振り上げて、枕をベッドの上の宙空に放物線を描くように放る。
 宙を舞う枕の落下予測地点を見極め、身体をベッドにゆっくりと倒れこませる。見事枕が落下した瞬間にその上に頭を、ベッドの上に身体を着地させると、猫のように身体を丸める。
 持ち主の「私のベッドで遊ぶな!」という至極当然の怒りの声を無視し、それこそ猫の如く僅か数瞬の間に寝息を立て始めた。

 それにしても変だ――と云うのがスミカの抱いた彼の一連の行動に対する率直な感想である。
 アスピナ機関にいた彼を(まさに子犬のように)拾い上げてから一年と少し。
 いつも自分の後を付いてくる彼は実年齢よりもかなり子供じみてはいるとはいえ、駄々をこねられたというのは今日が初めて。それも彼女の迷惑を省みず。
 余程恐い夢でも見たのかなと彼女は考えたが(子供扱いしすぎかな)と心の中で苦笑した。
 確かにベッドの上で子供らしく寝息を立てる彼だが、普段は個人が扱う兵器としは最強を誇る人型兵器《ネクスト》を駆る傭兵《リンクス》だ。
 傭兵稼業という厳しい世界において、一人で――それでもスミカに頼りっきりとはいえ――生き抜けるだけの力を彼は持っている。
 彼がアスピナ機関にいたのも、ネクストを操縦するのに必要な特別な適性、《AMS適性》を持つ人間を人為的に作り出す計画で出来た産物だからだ。
 しかしアスピナの科学者共がその過程で何をしたのかは知らないが、彼は他のリンクスと比べても頭一つ抜けた高いAMS適性を有するのと共に――何故か尻尾を、そして、殆ど言葉を発せられない身体として生まれてしまった。

 ある日、元リンクスであるスミカはリンクスをマネージメントして金を稼ごうと思い立ち、赴いたアスピナで彼をガラス越しに見かけた。
 彼の身体的データを記した書類を見て、そのAMS適性(断じて、尻尾を含む彼の容姿は関係ない)を持つ彼に興味を抱いた彼女に職員が一言告げた。
 彼は言葉を発さない欠陥品だ――と。
 何か言い様のない感情を胸に抱いた彼女は
 欠陥品? ふん、上等だ。私が一級品に仕立ててやろうじゃないか――と言い放ってやった。
 職員が制止する声も聞かず、部屋に押し入った彼女は、床に座って絵本を眺める少年の前に立ち、手を差し出した。
 ――私と来い。
 あまりに短く、そして説明不足の言葉であった。
 だが、恐る恐るだったとは云え、其の手を取った結果が今に繋がっている。

「……さて、どうしたものか」
 事務仕事を終え、一つ大きな欠伸をしたスミカがベッドを見て呟く。
 寝息を立てている彼が横たわるベッドは持ち主である彼女の趣味を反映してか、オシャレながらかなり大きいサイズであり、幸いにも小柄な人間が丸まりながら寝ていても隣でもう一人が寝たとしてもさほど問題のないスペースがある。
 それを確認した彼女はなんとか寝れるかなと、軽い思考を巡らし、ぎりぎり下着を隠しているほどの白いYシャツ一枚に黒のハイソックスという偶然、彼の格好に似た寝巻きに着替えた。
 わざわざソックスを履いたのは冷え性だからであって、決してむくみ防止などの目的ではないことを彼女の名誉のために記述しておくとしよう。

 ベッド傍のサイドテーブルの上にあるリモコンで照明の光量を落とし、彼に背を向けて柔らかな弾力を持つベッドに身体を預けたスミカは掛け布団を引っ張る。だが、何故か全く手元に引き寄せることが出来ない。
 上半身だけを振り返らせた彼女が見たのはベッドの上、そして掛け布団の上で寝ている彼の姿。つまり彼が掛け布団をもシーツにしてしまっているせいでちっとも動かないのだ。
 一つ溜息を吐いた彼女だが、気持ち良さそうに寝ている彼を起こすのも悪いかなと思って今夜は我慢することにし、上半身を戻して眼を瞑った。

 それからどれほど時間が経ったのだろう。
 どこか緊張を感じていたスミカがやっとまどろんだ時であった。
「な……っ?!」
 突如、身体が全く動かなくなった。
 動けないながらも咄嗟に状況を探ろうとして視線を下に向けると、背後から自分の腕と身体を抱え込むように延びる二本の細く白い腕が眼に入った。
 そして、其の腕の先にある手が彼女の腹の辺りで逆の腕の手首辺りをがっちりと掴んでいる。
 ややパニックになったスミカがそれを引き剥がそうするも、その細い腕からは想像も出来ないような力で固められており、微動だにしない。
 腕の中でもがく彼女だが、背後から聞こえる声のような“音”に気付く。
「はぁっ……はぁっ……はぁっ……はぁっ……!」
 黒い長髪を湿らせ、耳とうなじを擽る風と荒い音は、まさに獣の息遣いのよう。
 一瞬、本当に背後に獣がいるのかとも思ったが、すぐにそんな考えは吹き飛んだ。
 自分のすぐ後ろにいるのは――。
 だが、思考が対象を思い浮かべる前に、ソレは動き出した。

「きゃ……!」
 先程まで腹の辺りにあった手がスミカの胸元に伸び、二つの陵丘を荒々しく掴んだのだ。
 薄いシャツの布地を押し上げる膨らみの下で腕が交差され、左手が右を、右手を左を掴むと云う状態になっており、腕の結束は解かれたものの、交差されたことで拘束には全く緩みがない。
 それでも振りほどこうと彼女は試みたが、
「ふぁ……ン……う……」
手が蠢き、胸を揉みしだかれる感触は彼女の身体から柔らかに力を奪い去り、逆に甘い小波が骨髄に押し寄せる。
 波によって自身の口元から無意識に漏れた声に気付き、羞恥で顔を赤らめる。
「きゃああっ!」
 すると交差し、胸を掌握していた手がシャツを掴んで、勢いよく左右に引っ張った。
 びりっという布が引き裂かれる音と共にボタンが全てが弾け跳び、スミカの胸部を隠している黒のブラジャーが露にさせる。
「やめ……くぅ……ぁ……ん……」
 ブラジャーがぐいと胸の下に引き上げられ、白く豊満な胸が外気に晒された。直に揉まれる快感に抗うも、漏れ出る声に反応するように手の動きが徐々に力強くなっていく。
 指から肉が溢れ、揉まれて全体の形が変わる。
 尚も動けぬまま、力強く、乱暴でありながら、それでいて優しさの感じる愛撫を胸に感じ続けるスミカ。呑まれまいと拘束されながらも、なんとか自由の利く肘から下をばたつかせる。
「あ……?!」
 すると、背中の方でばたつかせていた左手が“何か”に触れて声を上げた彼女の動きが止まる。
 驚愕によって硬直した手に“何か”の感触と、それが発する熱がじわりと広がっていく。
 其の正体を知ったスミカが密着した手と指先を震えさせながら離れさせようとするも、
「ふっ……ふっ……!」
 背後の獣が音と共に動き出し、ソレを彼女に擦り合わせていく。
 何時の間にか露出させていた棒状のソレを表面の下半分を彼女の掌に、上半分を彼女の臀部に擦れさせながら往復させる。
 彼女が驚きのあまり硬直したのをいいことに往復の速度が徐々に増していき、比例するかのように熱も高まっていく。
 スミカは直ぐ先の事を予感しながらも動けないまま、背面に獣の欲望を打ち付けられる。
 そして、彼女が、ぴくりと手を握るように動かしてしまった時だった。
「……っ!」
「んぁっ!」
 ズンと背面に重い衝撃が奔ると手と尻の間に感じていた“何か”が間で脈打つ。続けて、三回程発射されたモノが自身に叩きつけられ、其の音がスミカの耳朶を打つ。更に手形が残る程の力で胸を握られ、声が出てしまった。
 放射状に広がった熱は、やがて、撃ち出した先の左の太腿を、つぅっと撫でるように流れていくと、下にある右の太腿の上に垂れた。
 両太腿に広がる熱、そして、生臭さを鼻腔に感じ、呆然としながらも拘束の力が弱まった事を感じ取ったスミカが振り向く。
「お前っ……んむっ?!」
 声を荒げながら振り向いた彼女だったが、直ぐに口が塞がれてしまった。
 柔らかな感触が唇に重なり、熱い鼻息が頬を擽る。
「ふむっ……ふぅ……ふ……」
 鼻先にある顔は目を瞑りながら、其の唇で彼女のを愛撫する。
 眼を見開いたスミカだったが、一生懸命に動く唇の動きによって徐々に目蓋を支える力が弱くなっていく。
 今度は真正面から抱き締められ、押し退ける気だった手も添えるだけに終わってしまう。
 夢現で身体が受け容れ始めた矢先、口内に侵入してきた異物の感触に、はっと目が覚める。
「ぷぁっ! ……はぁ……はぁ……!」
 上半身を仰け反らせてキスを中断させる。
 仰け反った侭の姿勢で、肩で荒く息をしながら酸素を肺に送り込む。
 呼吸が落ち着き始めた処で、顔を下ろす。
 繊細で美しい顔を包む雪のような白い髪に肌。そして、獣のように純真な欲望を向けてくる真紅の眼の湿り気に見惚れてしまったスミカと、顔を紅潮させ、瞳を濡らす彼女に見惚れた彼との視線を交わすだけの時間が続く。
「――ま、待て……!」
 再び顔を近づけて来た彼を抑えるように、スミカは声を上げる。
 今度は止まってくれた。とは云え、彼女の立場としては先程からの行為を叱り飛ばさなければならないのだが、どうしても彼に見詰められてしまうと、考えていた言葉が何処かに消えてしまい、「あの」だの「その」しか出てこない。
 早く何か言わないとまた彼が動き出してしまう。そう焦るも、募った焦りが更に言葉を霧散させる。
 だが、スミカが制して以降、彼はじっと彼女の眼を見ているだけ。
 不意に彼の眼に、先に感じたものとは違う湿り気を見たような気がしたスミカが緊張を胸に抱きながらも、其の眼を真正面から見据える。
 吸い込まれてしまいそうな程に綺麗で澄んだ真紅を見ていると、言葉が聞こえてきた。
 ――僕とじゃ嫌ですか?
 驚いて息を呑むスミカ。
 驚愕は視線で言葉を伝えてきた事、そして、普段の彼からは想像も出来ないような性的衝動を持った言葉に対してもだが、一瞬無意識で、いや、意識して、口から「そんなことない」と出そうになったからである。
 今しがた言いそうになった事に関連して、彼女は自分を振り返ってみる。
 何故、こんな格好で、曲がりなりにも男である彼の隣で寝ようとしていたのだろうか。彼がそんなことに興味のないような子供だと思ったからか。
 だが、其の前に彼を子供扱いした事を自分自身で諌めたではないか。
 ならば、自分は、こうなることを―――。
 スミカが頭の中で答えを出そうとした時、彼はまた眼で語りかけてきた。
 ――したいです。
 先のに輪を掛けて直情的な言葉に、スミカは驚く――よりも先に、頭の中に、靄が広がるのを覚えた。
弛緩した思考は言葉を紡がず、ただ彼の眼を見つめる。
 ――もう一度、言ってみろ。
 あくまで高圧的な態度だったのは、最後の意地なのだろう――と、彼女は何処か遠くに行ってしまったような“自分”の態度をそう判断した。
 もしかしたら――もう一つ、生まれようとしていた考えは形を成す前に彼の言葉に遮られる。
 ――したいです。
 より強さを増した言葉にスミカは身震いを起こしそうになった。
 だが、あくまで自分は彼よりも上にいる。其の考えだけは崩さない。
 少なくとも――今だけは。
 ――はっきり言え。
 叱り付けるように強く出された彼女の言葉は、相手に対する怒りの色を示すようでもありながら、まるで騎手が馬の尻を鞭で叩くのにも酷似していた。
 もっと――と言わんばかりに。
 ――スミカさんを犯したいです。
 ソレを最後に彼の言葉は聞こえなくなった。
 彼が眼を瞑ってしまったと云うべきか、もしくはスミカが目を瞑ってしまった所為で、交信が途絶えたからだ。
 彼がスミカを貪るように唇を舐る。更に再び口内に舌を侵入させるが、今度は拒否されない。
 口内を蹂躙するように暴れ回る舌が彼女のを見つけ、じゅるじゅると粘ついた水温を立てて絡みあう。
 力を抜いて成すが侭とは云え、自分から動くことはせずに、スミカは只、受け容れるだけに終止するよう自分の身体に言い聞かせる。
 彼が只管に舌で舌を撫で回しながら、彼女を抱き締める力を強くすると、二つの弾力を感じた。
 瞑っていた眼を開いて、其れを感じた胸元に視線を向けると、行く場なく押し潰される二つの膨らみが目に入る。
 柔らかな、それでいて今は埋もれている先端に硬さを持つ、母性の象徴を見た彼は、彼女を抱き締めていた腕の片方をそっと離して、自分達の間に差し入れる。
「ふぐっ……ンっ……」
 塞がれた口内に反響するスミカの声。
 膨らみの下部から手を差し込み、這うように上っていった彼の指はやがて硬い先端を見つけ、人差し指と中指の先でソレを摘む。
 上っていく手に合わせて、二本の指がソレを挟みこみ、擦りながら更に昇っていく。
「ンっ!」
 止めた手を圧迫から抜け出させるように横にスライドする。そうする過程の内に、挟まれていた乳首が抗いきれなくなり、ソノ身を倒す。
 人差し指の関節の間を通る瞬間に一瞬、強く声が漏れる。
「ン、ンぅっ!」
 すると、今度は親指が触れ、上へと押し上げる。人差し指と親指の腹の間に位置した途端に捻り上げられ、先よりも更に強い声が漏れる。
 人差し指を土台に親指が円を描くように回り、乳首を捏ねる。
「むっ、くっ、ンっ」
 眼を強く瞑りながら、スミカは敏感になった先端が圧迫される快感に堪えている。
 一瞬、彼女が身を捩らせた瞬間、彼の膝先に湿り気が触れて、にちゅという音を立てた。
「んんっ?!」
 水音が立った瞬間、恥ずかしそうに声を上げた彼女が眼を開く。
 何処から、何故その音が出たかを理解した彼は唇を離して、スミカをベッドに組み伏せる。
「お、おい! 待て!」
 彼がベッドの下方に向かわせたのを見た彼女は、自身の上半身を起き上がらせ、次に行われるであろう行動を止めようとする。
 彼は動きながらも既に彼女の肩に手を置いていた。制止を聞くことなく、スミカの上に圧し掛かり、細い顔と腕を彼女の股の間に潜り込ませると、黒のショーツをあっという間に取り去った。
「やめ……! 見るなぁ……」
 自分の汚い場所の直ぐ近くに、彼のあの綺麗な顔がある。
 恥部を見られているのに加え、彼を汚してしまっている罪悪感から彼女は声を上げる。

「ひあぁっ! やぁン!」
 ぺちゃという音と共に、先程まで自分の舌を愛撫していたざらつきが股間の中心を這う。
 更に、ぴちゃぴちゃと犬が水を飲むような音が立て続けに鳴り、彼女は身体をひくつかせる。背筋を駆け抜ける快感に身を捩らせたい処だが、抑え付けられていてはそうもいかない。
 何かなんでもいいから縋るものが欲しいと、快感に堪えながら周囲を見渡すと、目の前にちょうどいいものを見つけた。
「……っ!」
 一心にスミカの亀裂全体を舌で洗うように舐めていた彼が、不意に股間に圧迫される刺激を感じ、身体を仰け反らせる。
 何が起こったのかを確認しようと振り返った彼が見たのは、顔を紅潮させた彼女が自分のモノをゆっくりと扱いている光景であった。
 ソレを凝視していたスミカだったが、彼の視線に気付き、一瞬視線を合わせたが、直ぐに恥ずかしそうに顔を背けた。だが、男根を柔らかな手に握った侭だ。
 責めてやれば、彼を少しは大人しくさせることが出来るかもしれない――そう考えての奉仕だ。
 しかし、押し寄せた快感と身体の底から湧き出てくる熱が、更に彼を突き動かす。
「やっ、あン、くぁっ!」
 勢いよく顔をスミカの股間に戻した彼は、先程よりも激しく舌を動かし始めた。今度は彼女が彼の奉仕によって動きを止める。
「ひゃぁっ! や! だめぇ!」
 彼女の太腿を押さえていた手を股間に伸ばし、亀裂の入り口を摘んで開く。
 持ち上がった小陰唇の内側を舐め上げ、開かれた膣に右手の人差し指を差し込む。
 周囲を舌が這い、膣内を指が行き来する。声を漏らしながらも負けないように彼の肉棒を自分の顔に引き寄せる。
 ふさふさとした尻尾に頭を撫でられながら、自身の身体に向かって突き出された亀頭から根元までを舐め上げる。
 ――これでどうだ……。
 責められっ放しは性に合わない彼女の攻撃であったが、彼は肉棒を確かに歓喜で振るわせたものの、全く止まることなく彼女の股をしゃぶり続ける。
「うぁあああっ?!」
 突然、電流が走ったと思えるほどの刺激で仰け反り、スミカの思考が切れる。
「そこはやめっ……! おかしく……っ!」
 亀裂を舐めていた彼が包皮が捲れた陰核に気付き、舐め上げたのだ。
「だめ! お願……いぁあっ!」
 悲壮とも云える声で彼に懇願するスミカだが、彼は寧ろ彼女が泣き叫ぶ毎に、ぷくりと膨らんだソレに強い刺激を与えていく。
「ひっ! うぁ! くう!」
 窄めた口先でキスをしたと思えば、小さいソレを唇で器用に挟んで吸い上げる。唇に包まれたと思ったら、舌先がつんつんと突いて来る。
 最も敏感な場所に連続で押し寄せる刺激にスミカは彼への奉仕も止まってしまう。
 握るだけに終わった肉棒を見た彼女は心の中で自分に問う。
 ――喜んで……いるのか……?
 分かり切った、ずっと前から示していた、聞くまでもない答えを思い浮かべようとした時だった。
 かりっと云う音が聞こえたような気がした瞬間、

「いぃっ……!」

 歯を食い縛ったスミカの太腿の筋肉がピンと張り、彼の下で身体全体を硬直させる。
 ビクビクと痙攣する度に下腹部から何かが噴出し、またソレを噴出すことが快感になり、何度も彼女の身体は跳ねた。
「あぁ……はあ……ぁ……」
 一目で迎えたのだと分かる絶頂の余韻に身を委ねる彼女の心に浮かんだのは、
 ――すごい……。
 そんな単純な一言であった。

「……」
「あ……! すまん、その……」
 二人同時に起き上がる。
 すると、振り返った彼の顔はびしょびしょになっていて、びっくりしたように眼をぱちくりさせている。
 濡らしたものが何で、何故濡れているかを理解したスミカは顔を真っ赤にする。
 自身の愛潮で髪まで濡れた彼を見て羞恥を感じる一方、こんなに出してしまったのかと、そしてそこまでさせた彼に驚いた。
「……」
 彼は手で顔中を拭いながら、口周りに舌を巡らせて愛液を舐め取っていき、終わると今度は手についたのを舐め取る。
 舌が水に触れる音だけが部屋に響く光景を見てスミカはえも言われぬ快感を感じていた。
 ――私のを……舐めてる……。
 自分が出したモノを、ガラス細工のように繊細で汚れのない彼が掃除している背徳感に、下腹部が疼き出すのが分かる。
 そして、彼女が放った甘美な香りのする愛液を口内に、そして、腹の中に納める彼自身も、其の行為に快感を感じていた。
 其れから少しの間、彼女は一生懸命に舌を動かす彼を注視した。
 先の背徳感に加え、彼の舌の蠢きを見ては、此れが自分を絶頂に導いたのだと思うと、被虐心を隠すこともせず、舐めて欲しいと心の中で呟く。
 見ていれば見ているほど下腹部が疼き、彼の前で今直ぐに自分を慰めたくなって、何度股に手が伸びそうになったか。だが、彼女は待ち続けた。
 自分を放って舐めるのに耽る彼に、なんとなしに――見ていろ――と、言われた気がして。
 彼と、其の背後の壁に掛かっている鏡に映る、口元をだらしなく半開きにして熱い吐息を吐いている自分の姿を眺める。
「……」
 やっと掃除を終えた彼が手を止め、スミカを見詰める。
 先程のように真っ直ぐ欲望をぶつけてくる彼の視線を受け取った彼女は、ベッドに倒れ込みながら、両手を胸の上部に置いて、股を開く。
「――来い」
 其の口振りは性欲を処理してやると言わんばかりに硬質なものであったが、蕩けた瞳は正に欲情した牝のものであった。
 一度、肉棒を跳ね上がらせた彼が膝立ちでスミカににじり寄る。跳ねた肉棒を見た彼女は口内に残っていた彼のと、自分のが混ざった唾液をゆっくりと喉に流し込んでいく。
 開かれたスミカの膝先を掴みながら身体を寄せた彼は、はち切れんばかりに膨張した肉棒を彼女に触れ合わせる。
「ン……」
 火傷してしまいそうな熱が股間に触れて、スミカは小さく喉を鳴らす。
 ――来る。
 と思ったが、彼は感触を楽しむように肉棒と亀裂を擦り合わせ出し、肉棒の先に溜まっていた先走りと亀裂を湿らす液がぐちゅと卑猥に音を立てる。
「は……はン……」
 此れは此れで快感を感じる。とは言え、こそばゆいような、お預けを喰らっているような、もどかしさに身を捩じらせてしまう。
 此方を見詰めながら腰を動かす彼に焦らされていると気付いた時は、言葉が口を突いて出ていた。
「……はやく……来い……」
 顔を背けて出した声に確かな艶があったのが自分でも分かる。
 求められている筈が求めてしまった、服従してしまったと、被虐心を自分自身で煽って、更に下腹部が疼く。
「……」
 こくりと頷いた彼の腰が狙いを付けるようにゆっくりと下がって行き、雁首が陰核を引っ掻く。
「ン、く……」
 彼の動きが、ピタリと止まったと思った瞬間、
「――はぁあああっ!」
 一気に胎内に肉棒が押し込まれ、スミカの肢体がまたも跳ねる。
 絶頂にこそ至らなかったものの、突然の快感は彼女の喉元を強引に開き、歯止めの消えた嬌声を出させる。
「あぁっ、あン! 激し……!」
 奥まで突き進んで云った肉棒は、仰け反る彼の呻き声と共に直ぐにラストスパートのような抽迭を始め、がくがくとスミカの身体を揺さぶる。
「も、もう少し……ンあっ! 優しくぅ……」
 がっつくような勢いを止めさせようと彼の身体を掴もうとした、其の瞬間、
「……っ!」
「――うぁあっ?! 出て……る……?」
 スミカの胎内の最深部まで押し込まれた肉棒が脈打った同時に精を放った。
 子宮口に叩き付けられた熱を感じて、肉洞が強く締まると、
「はっ……」
 締め付けられた拍子に、もう一度、精液が弱々しく吐き出された。
「……」
 仰け反り、呼吸が止まるほどの快感に打ち震えていた彼だが、余りに早かった結末を思い返したのか、肉棒を引き抜いて顔を俯ける。
 しょげた彼の様子を見たスミカは膣内に出してしまった事も、独り善がりであった行為を責める気になれず、彼の頬に手を寄せる。
「初めてなんだから、しょうがないさ・・・」
 少年は自分の頬に寄り添う彼女の手に、自分のを重ね、愛おしそうに頬ずる。
 肉棒の熱とはまた違う温もりがスミカの手に広がり、仕草を可愛らしく感じ、撫でてやる。
「……次は頑張れよ」
 スミカが微笑みながら何気なしにそう言った。あくまで慰めたつもりで発した言葉。
「……!」
 だが、彼はそれを励ましと捉えたらしい。一転して、部屋に入るのを許された時と同様の、嬉しそうな顔になって、力強く頷いた。
「え?」
 終わったつもりだったスミカは、喜んでいると同時に、やる気に燃える目と、ぐんと持ち上がった肉棒を見て、間の抜けた声を出す。
「きゃぁっ!」
 少年が自分に向けられていたスミカの腕をぐいと引っ張り、強引に肢体を持ち上げる。
 スミカは彼の隣に声を上げながらベッドに投げ出されると、ベッドのマットレスが彼女の肢体をぼふと音を立てて跳ねさせる。
「ちょ、ちょっと待て!」
 うつ伏せになった彼女が起き上がろうとしたが、彼は腰をがしりと掴み、有無も言わせず、再び彼女の中に肉棒を挿し込んだ。
「――うああっ! 待て、待って、てば……ひゃあンンっ!」
 今度は乱暴なピストンではなく、彼なりに彼女を悦ばせたいと云う気遣いが読み取れる動きに、スミカの心身は彼の望み通りに打ち震える。
 ベッドの軋む音が意思を決壊させて行くのを知覚するスミカは、最後の抵抗の言葉をひり出す。
「ハァ、ハァ、ハァ……」
「あっ! コラ! 調子に、乗るな……」
 直ぐ後ろで荒い息遣いで耳を擽り、腰を振る彼に、そんな言葉をぶつけたが、
「あンっ! あっ!」
 最早、完全に彼を受け容れ始めた彼女の肢体は、やがて、はしたない喘ぎ声しか出さなくなった。

 ――離したくない。
 だから、必死に彼女を抱き締める。
 少しでも触れ合っていたいから、身体同士をくっつけ、腰だけを動かす。
 パンパンと肉同士が弾け合う音の中、其れに紛れて、ジュプジュプという淫らな音、そして、
「はぁン! あっ !すごいぃ! イィのぉっ!」
 彼女の甘い牝声が彼の脳髄を溶かして行く。

 ――私は、堕ちた。
 そう考えた瞬間、スミカの心は解放され、彼の保護者だとか師匠だと云う無意味な鎧を剥ぎ取らせ、只の女としての快楽を求めさせる。
 背後から突き刺されている四つん這いの獣のような格好も、自分が堕ちた事を引き立たせる演出の一つのよう。
 シーツを掴んで快楽を目一杯に享受し、胸全体と乳首をベッドに押し付けて自分から善がる。
「あぁンっ! か、感じてる! 私、犯されて! 犯されてっ、感じてるぅっ!」
 嬌声に自虐の言葉を混ぜる事で、より快感が高まって行く。
 ――自分は子供のような少年に迫られ、無理矢理セックスに持ち込まれた挙句、悦んでしまっている淫乱。
 自分に言い聞かせるように、そして彼に伝えるようにスミカは叫ぶ。淫らな言葉が鼓膜を震わせる度に胎内が締まり、彼の肉棒の感触をより味わう。
 背中に圧し掛かる彼の体重にすら、愛おしさを感じる。
「……っ!」
 未だ二回目の挿入に加え、今まで見た事の無いスミカの痴態を味わう彼に再び限界が迫る。
「あンっ! で、出ちゃうのか? ……だ、出して、出していいから……あはぁっ! まだぁ……まだ、シてぇっ! ひぁああっ! で、出ながら、動いてる! いぃっ! すごくいいのぉっ!」
 胎内の中で肉棒を脈動させ、精液を吐き出しながらも抽迭を止めない。
 膨れ上がりながら壁を擦って行く肉棒と、熱で以て膣を撫で回す粘り気のある精液の感触。
 自分の願い通り、未だ続くピストンによって搔き出された精液と、彼が自分の身体に垂らす汗の臭い――香りが、スミカの脳内を満たして行く。
 ふと視線を感じたスミカが頭を振り返らせようとしたが、彼の顔は自分の頭のすぐ後ろにあり、其の表情や視線を伺い知ることが出来ない。
 なのに、どうして視線を感じるのだろう――ぼんやり考えた彼女が前に顔を戻した時、視線の正体に気付いた。
 鏡だった。
 先程、自分の愛液を舐め取っていた彼を見ながら物欲しそうな顔を映していた鏡が、結がっている自分達を映している。
 そして、彼が其の鏡越しに自分を見詰めている。
 開かれた口からは獣の牙のような八重歯が見え、一心に腰を振りながら自分を見ている彼の表情が眼に入る。
 なんて気持ち良さそうな顔なのだろう。こんな顔になるほど感じてくれているのか――そう思うと、嬉しくてしょうがない。
「ぁ・・・」
 そして、もう一つのものを彼女の目は捉えた。
 彼と同じように口はだらしなく開いて、頬を紅潮させ、汗を垂らしている。快感によって薄っすらと涙を浮かべる眼が、厭らしい輝きを放つ。
 牝の顔をしている自分がそこには映し出されていた。ソレを彼も見ている。
「見ないでぇ……見ちゃダメぇ……!」
 今日の行為の中で最大級の羞恥がスミカを襲う。自分がどんな表情をしているか理解した瞬間、一瞬身体が強張り、胎内も締まる。
 再び彼の限界が近付き、息遣いが更に荒くなって動きも速くなる。
 度重なる快感によって彼女も限界が近い。
 だが、此の侭、彼の視線を浴びながら、そして、自分の表情を見ながらは嫌だと、そう思っても、彼の視線から眼を逸らせず、結果、自分の顔も見続けることになる。
「ダメぇ、ダメ……! イっちゃ、だめ……! だめなのぉ……!」
 限界が近付くにつれ、より自分の顔が厭らしくなって行く。
 熱い肉棒が欲望のままに膣を抉る快感。
 部屋内に響く粘着質な音に肉同士が弾け合う音。
 彼の、そして、自分の声。
 肉体を貫く快感と心を虐める音が、彼女を快楽の波の中に呑み込んで行く――其の最中だった。
 ――ス……ミカ……さん。
 スミカは視線によるものではなく、耳を通して言葉が聞こえた気がした。
 本当に彼の声なのか、それとも幻聴なのかと考えようとした瞬間、
「……っ!」
 声にならない呻き声。
 彼が自分に身体をぶつける音と、膣の最奥に肉棒を打ちつける音。
 もう四回目ながらも、最も大きく、最も長い射精音。
 ソレ等がスミカの脳を貫いた。
「――だめぇえええーーっ!」
シーツをぎゅっと掴み、叫びながら舌を突き出し、眼球が引っくり返りそうになっている自分の淫らで、厭らしい牝顔を見ながら、遂に――彼女も果てた。

 汗だくになっているスミカの、其の手は、今しがた自分を抱き締めながら倒れ込むなり、胸に顔を埋めて安らかに眠り出した彼の純白の髪を撫でている。
 ――さっきのは……。
 確かに聞こえたような気がした彼の声。
 確認したい処だが、彼の可愛らしい寝顔を見ていたいので、起こすのはやめておくことにする。
 朝になってから聞けばいいと、そう考えたスミカも目を瞑る。
「ン……」
 小さい声が漏れたのは、寝惚けた彼が赤ん坊のように乳首を咥えたからだ。
「ふふ……可愛いヤツだ……」
 彼女の乳首をしゃぶる彼はそれを安心として、より安らかになった眠りの中で静かな寝息を立て、スミカは彼の寝息を子守唄として、意識を心地良い闇に落として行く――。

 ――さ……ん。
 何処か遠くから、音が聞こえる。
 ――さん……。
 寝惚けた頭は上手く働かない。
「……ス……さん」
 徐々に鮮明になった思考が、其の音を聞き覚えのある声だと判断する。
「……スミ……さん」
 やがて、スミカは眼を覚ました。
「……スミカさん」
 目覚めた彼女の目に入ったのは、自分を揺らす白い少年だった。
「あ、おはよう――って、な! 何をしているんだ、お前……ぁあっ!」
「はぁ……スミカ、さぁん……」
 揺さぶり起こされていると思ったら、彼は正常位の体勢で腰を振っていた。
「ふぅあ、ああン!……こ、コラ! 止めろ! ん?!」
 朝からの暴走を止めようとしたが、キスをされて身体の力が抜けてしまう。
「はぁ……も、もう! せめて、起きてから……!」
「じゃあ……?」
 起きたのだから続けても――其の麗しい顔と、美しい眼に似合った、透き通るような声で囁かれたスミカの身体が身震いを一つ立てる。
「……分かった、私の負けだ。好きに……していいぞ」
「――はい! 大好きです、スミカさん!」
「そ、そんなこと急に言うな! い、いや、私だって大好……ああ、もう! 何を言ってるんだ、私は! ……ああんっ! ま、待て! 激し過ぎぃっ! うぁあっ!」
「スミカさんっ、スミカさぁんっ!」
「ンっ! ンっ! はぁっ! だめ……もう、イっちゃ……ぁああっ!」
「好き! 好き! 大好き! 大好きですっ! スミカさんっ、スミカさぁんっ!」
「イ、クぅぅぅーーっ!」

 結局、其れから二人は――。

「……スミカさん、もう一回、いいですか……?」
「え、まだ……? あンンっ! や、やめっ! 今、敏感に……っ」
「ふぅぅ! あ! あ!」
「もう、許し……壊れ、壊れちゃうぅ……!」
 朝日の元で、三回戦ほど、続けて行ったのだった。
 新しい一日、そして、新しい日々の始まりを告げる輝きを浴びながら――。


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