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[[小説/長編]] #setlinebreak Written by えむ ---- それは些細なことがきっかけだった。だがどんなに些細なことでも、受け止める側次第で幾らでもその存在感は大きくなっていくことがある。そして、イリアは何気なく聞いた「その一言」を深刻に受け止めていた。 そもそもの発端は、用事があってカラードへと出向いたある日のこと。その用事自体は、ちょっとした申請を出すためのもので、予定もなかったので休暇がてら、わざわざ直接カラードまで出向いたのであった。 基本、企業に所属しているリンクスがカラードの施設を訪れることは稀だ。イリアもまた例外ではなく、せっかくだからとカラードの中を見て回り、そして一休みするために休憩室へとやってきた。 一体何があったのかしらないが、ちょうど休憩室では一人の男がもう一人の女の人にアイアンクローをかまされているところであった。 「……過激なスキンシップだなぁ……」 微妙にずれた感想を抱きつつも、それを普通にスルーして自販機へと向かう。各種並ぶ飲み物の中から、メロンソーダを選び、それを手に空いている席へと腰を下ろす。 なんとなくさっきの二人組が気になって視線を向けなおしてみると、すでにアイアンクローから男は解放されたらしく、普通に話をしているようだった。別に他人の話を盗み聞きするつもりはなかったが、場所が場所なだけに筒抜けもいいところだ。もちろん聞かれてまずそうな話題ではなさそうだが。 話の流れからして、久しぶりの再会らしい。そして、女の方が男の方へと、「その一言」を尋ねた。 「なんでリンクスになったの?」 「……………」 偶然聞こえた問いかけ。それが自分に向けられたものではなかったとしても、聞こえてしまえば自分の場合はどうだろう…などと考えてしまうことがある。 イリアも例外ではなく、その問いを聞いた時、自分はどうしてリンクスになろうと思ったのだろうかと考えたのだ。なんとなく。だが、そこで気がついたのだ。答えが出ないことに。 どうしてリンクスになろうと思ったのか。なぜ強くなりたいと思うようになったのか。 「………」 とりあえず休憩室を後にして、カラードの施設の外。街の方へと向かうことにした。理由はない。ただじっと座って考えたら、なんだか気持ちがめげてしまいそうだっただけだ。 行き交う人々の中を一人歩いていく。行き先は決まっていないため、自分がどこを歩いているのかよくわかってすらいなかった。 物思いに耽ったまま、ただただ歩く。当然、周囲への注意も疎かになってしまうが、それがまずかった。 「きゃっ」 「うぉ…っ」 人とぶつかってしまったのである。 「あ…、ごめんなさい」 すぐに謝るものの、顔を上げてみれば相手は見るからにチンピラ風の男だった。しかも4人組。 直感的に、厄介なのにぶつかったと思うイリア。案の定、イリアの読みどおり、チンピラ風の男達はすぐに絡んでくる。 「おい、ごめんで済んだら警察はいらねぇんだよ」 「ちょっと待て。よく見たら、こいつかわいくね?」 「なぁなぁ、ちょっと俺らと付きあわねぇ?」 「…え、えっと…」 どう対処していいかわからず、その場でおろおろとしてしまうイリア。ネクストなんて代物を扱い戦場すら一応知っている身ではあるが、それでも中身は16歳程度の――多少独特の感性を持っているが――女の子だ。このような事態には慣れてすらいない。 困った様子で周りを見回してみるが、誰もが我関せずと言わんばかりに素通りにしていく。 「いいから行こうぜ~」 「絶対にイヤっ」 「ぬおっ?!」 チンピラ風の一人がイリアの腕を掴むが、イリアはすぐにその男を突き飛ばす。みぞおちに掌底で。 「がは…っ」 「て、てめぇ…。人が下手に出れば良い気になりやがって…!!」 「女だからって容赦はしねぇぞ!!」 イリアが反撃するや、すぐさま殺気立つチンピラ集団。理不尽にも程があるが、チンピラなんてそんなものである。 だがここで物怖じしてしまっては、ますます相手がつけあがるだけだと思ったイリアは、相手の威嚇に怯むことなく叫ぶ。 「う、うるさいっ。女の子だからって甘く見たら、ボコボコにしてコジマ漬けにしてやるんだからっ!!」 もうこうなったら徹底的にがんばるしかないと覚悟を決め、対峙する方向で身構える。 「おもしれぇ。やれるもんならやってみろ!!」 すっかり臨戦態勢となったチンピラ風。そして彼らが今まさにイリアに手を出そうと踏み出したところで――― 「おい、待てよ」 それを制止する声が響いた。動きかけていた時間が再び止まる。そしてチンピラ集団とイリアの視線が声のした方へと向くと、そこには一人の若い男が立っていた。 「女の子をよってたかって取り囲むとか。男としちゃあ見過ごせねぇな」 「何だ、お前は…!!」 「邪魔すんじゃねぇ、ひっこめ!!」 チンピラの一人が若い男へと殴りかかる。それを見た若い男の表情が引きつる。 「え?ちょ、いきなり?!待っ―――ごふぁ?!」 「あ……」 チンピラの一撃を食らって叩き伏せられる若い男。まさか助けに現れたと思われる相手が一撃でやられるとは誰もが思っておらず、その場の時間が凍りついてしまう。 「「「…………」」」 とりあえずはっきり言えることとして、誰もが次どうしよう…と言いたげな表情であった。 なんとも居心地の悪い独特の空気と沈黙がその場を包むも、その状況を打開したのはチンピラであった。 「ちっ、なんか興が冷めちまったぜ。おい、行こうぜ」 「ま、待ってくれ…」 イリアにやられた一人がよろよろと、歩き出す仲間の後について行く。そして、その場にはイリアとひっくり返った若い男が残される。 イリアはチンピラが立ち去ったのを確認するや、すぐに若い男の傍へと駆け寄る。状況はどうあれ助けようとしてくれた人には違いないのだ。 「ねぇ、大丈夫? 生きてる?」 「……うぅ…。…はっ!? …って、あれ? さっきの連中は?」 身体を揺さぶられること数秒後。意識を取り戻した男は、すぐに起き上がり周囲を見回した。そしてすでにチンピラがいないことに気がつく。 「なんか興が冷めたとか言って、どこに行ったよ?」 「…あ、そう。…あー参ったなぁ、格好悪いところ見せちまった…」 「そんなことないよ。助けようとしてくれたのは事実だし」 「そ、そうか?」 イリアの言葉に、ちょっとばかり嬉しそうな表情を浮かべる。そんな男の様子がどこかおかしくて、イリアは思わずその場で吹き出してしまった。 「…ぷっ。あはははっ。」 「な、なんだよ。笑うことないだろう」 「ははっ。ご、ごめん。なんかつい……」 どことなく不機嫌な表情に変わったのを見て、イリアはすぐに謝罪の言葉を向けた。そして、せっかくだからとそのまま次の話を切り出す。 「とりあえず、何かお礼したいな。ちょっと格好悪かったけど、助けてもらったことには違いないし」 「へ…?」 「うん、決めた。ジュース一本奢る程度だけど、お礼するね。ついてきて」 「ちょ、ちょっと?もしもしー!?」 イリアは有無を言わさず男の手を取ると、近くの公園の方へと半ば強引に引っ張っていくのであった。 そして公園の自販機前で相手に一つ選ばせる。どうでもいい話だが、彼が選んだのはコーヒーであった。ミルクと砂糖入りで。 「なぁ、いいのか? 自分で言うのもなんだけど、結局俺ってやられてただけの気がするんだけど」 「いいんだよ。私がしたいと思ったんだから」 男の言葉にイリアは気にすることはないと笑みを浮かべながら告げ、それからふと思いついたように一つ尋ねる。 「お兄さん、名前は?」 「俺? 俺はダン・モロって言うんだ」 「…ダン・モロ…?」 直接の面識はなかったが、その名前はイリアも知っていた。同姓同名なんてオチがなければ、彼は間違いなくリンクスのはず。そう思った次の瞬間、イリアは次の問いを投げかけていた。 「ダンさんって、リンクスだよね?」 「…?! な、なに? 俺ってそんなに有名なの!?」 「あ、そうじゃなくてね―――」 さらに嬉しそうな表情を浮かべるダン・モロの言葉を速攻で否定するイリア。その一言に彼はピシッと音を立てて固まる(ような気がした)。 「私もリンクスなの。名前はイリア・T・レイフィールだよ」 「あ、あの巷で噂の新人リンクスの?!」 「う、うん? ま、まあどんな噂かは知らないけど……」 ―――リンクス。それはネクストを動かせるパイロットのことであり、彼もまた自分と同じリンクス。そして少なくとも自分よりも先にリンクスになっている人物だ。それならば…と、自分の中でずっと引っかかっている質問を、目の前のリンクスであるダン・モロへと唐突に投げかける。 「突然だけど、ダンさんはなんでリンクスになったの?」 「…俺?」 「うん」 正直なところ、リンクスなら誰でも良かった。もちろん、答えを聞いたところでそれが参考になるわけではないし、きっと自分の答えが見つかるわけじゃないこともわかっている。それでも、イリアは聞いてみたかった。 そして、そんなイリアの問いかけに、ダン・モロは少しばかり空を仰いで、やがて声のトーンを落として小さく答えた。 「だって、ほら。ヒーローっぽいじゃないか、誰でもは動かせないロボットを動かせるパイロットだなんて」 「………は?」 その返答は、思ってもみないものだった。あまりに予想外な返事にイリアはぽかんとした表情で固まってしまったほどだ。 「セレブリティ・アッシュって言うアニメのヒーローがいてな。そういうのに小さい頃から憧れてたんだわ。で、ちょっとしたきっかけでAMSの適性があるとわかったものだから…な。まぁ、実際は凄く大変だけど、まぁ俺ほどのリンクスならどうってことないさ」 そう言って笑うダン・モロだったが、ちょっとだけその笑顔は引きつっているような気がした。どことなく強がってる気もしたが、今はどうでもいいことだ。 「イリアは、なんでリンクスになったんだ?」 「……っ。…それは……」 話の流れから来るのはわかっていたが、いまだ答えが見つからないイリアは、ダン・モロからの質問に対して言葉に詰ってしまう。そのまま次の一言が出てこなく、その場で俯いてしまう。 それを見たダン・モロは、何かまずいことでも聞いたのかと思い、慌てた様子でフォローを入れようと口を開いた。 「む、無理に答えることはないぞ?! 誰だって、聞かれたくないことの一つや二つあるものだからなっ」 「あ、そういうわけじゃないんだけどね…」 「あれ?違うの?」 「う、うん。…私は、なんでリンクスになったんだろうって考えたこともなくてね」 「ってことは、あれか? もしかして、そういうレールが敷かれてたって口? こうエリート街道まっしぐら、みたいな」 「どうなんだろう。一時期そういう環境にいたのは事実だけど…」 そこまで答えて、、イリアは少しだけリンクスになる理由が浮かばない訳がわかったような気がした。 かつて誰かが敷いていたレール。すでにその通りに進む義務はないが、当時の自分にはそれしか道がないとそう思い込んでいた。いや、今でもそう思っているのかもしれない。自分はリンクスとしてしか生きられない…などと頭のどこかで。 リンクスになる。ただ、それだけが自分の中にあって、それを目標に前へと進んでいた気がする。 ともかく、これではリンクスになりたい理由などあるはずがない。リンクスになること自体が目標だったのだ。だけど敷かれていたレールもそこまでしかなかった。その先の道は、何も見えない。 「…私、リンクスになって何がしたかったんだろう」 答えは出ない。かつていたあの場所でも、リンクスになった後のことは何も教わりはしなかったのだから。 そのまま、その場で押し黙ってしまうイリア。だが、そんなイリアの呟きを聞いたダン・モロは笑いながらに答える。 「そんなの今から考えれば良くね? 俺だって、独立傭兵でリンクスやってるけど。正直、リンクスになった後のことなんて考えてもいなかったし。先がどうなるかなんて、自分だってわからないからなぁ…」 そう呟いてダン・モロは小さくため息をつく。彼は彼で色々と思うところがあるようだが、それは本人ではないイリアにはわかるはずもない。 ただ―――彼の何気ない一言は、確かにイリアに影響を与えていた。 「……そう…だね。ないのなら、これから探せばいいんだよね。リンクスを続けながら」 リンクスになって何がしたいのか。自分はリンクスとして何が出きるのか。それを探すために、リンクスとしてがんばる。それも一つの手だと、そんな考えが浮かぶ。 でも実際にリンクスとしてどんなことができるのか。そう思ったイリアは、さらにダン・モロに尋ねていた。彼が言ったある単語が気になったのである。 「ところで、独立傭兵って何? 企業専属のリンクスとどう違うの…?」 「へ? そ、そうだな…。よくはわかんないけど、確か―――」 聞かれて、わかる範囲でぎこちなく説明を始めるダン・モロ。 正直、詳しいことは何もわからなかったが、それでも概要を掴むには充分なものだった。 ・ ・ ・ ・ ・ ・ そんなことがあって数日が過ぎたある日のこと。 「私、独立傭兵になりたい」 トーラス社長でもあるマティアスの元にイリアがやってくるなり、開口一番でこんなことを言い出した。 「そうか。がんばるんだぞ」 「は、はい…。って…へ?」 それに対し即答で答えられ、イリアの目が点になる。まさか、こんなにあっさり承諾されるとは思ってもいなかったのだ。いくらトーラス相手とは言え一筋縄ではいくまいと、当たって砕ける覚悟でいたのだが。 予想外の返事にイリアが呆然としていると、マティアスは不思議そうな顔を浮かべた。 「ん? どうかしたかな?」 「え、えっと。てっきりダメと言われるのかと…」 「ふむ。じゃあ聞くが―――。イリア君は、独立になったらトーラスの依頼は受けてくれないのかな?」 「そんなことないです。受けます」 「トーラスと他のところ、例えば複数の依頼が被ったらどうする?」 「え、えっと。やっぱりトーラス優先…かな。だってなんだかんだでお世話になってたわけだし」 「ふむ。ちなみに試作装備とか送ったら、実戦テストとかしてくれるかな?」 「や、やります」 「じゃあ問題ない。企業寄りの独立傭兵も結構いるし、トーラスよりのがいたって不思議じゃあない。あぁ、でも一つだけ条件がある」 ふとマティアスの表情が硬くなる。その表情に、イリアもどこか緊張した面持ちになった。 「インテリオルを相手にするような依頼だけは勘弁してくれ」 それに対する返事は言うまでもなかった。 そして1ヵ月と言う準備期間を経て。イリアは企業専属の身から独立傭兵へとその立場を変えることになった。 それがこの先どう自分に影響するかは見当もついていない。ただ企業専属の立場よりも、色々試せるのは間違いようがないのは確か。 そして実戦の頻度があがると言う意味で、強くなるための経験を積むと言う目的からしても独立傭兵の立場は、イリアにとっては申し分のないものであった。 ~つづく~ ---- now:&online; today:&counter(today); yesterday:&counter(yesterday); total:&counter(total); ---- **移設元コメント [#t79005b2] -えむ氏の前作と同じ世界感だと…ラインアークのアーリアと戦うはめになるかも -- 2010-12-06 (月) 16:21:50 -フランとレックスがいたような(いや、いたな) しかしさすがトーラス、引き止めも何もしなかったな -- 2010-12-16 (木) 07:05:08 ---- ☆作者の一言コーナー☆ イリア自分を見直すの回。何気に作者もイリアを見直すの回。 ちょっと思い切ったことをしたなと思うも、考えて上でやった後悔はしていない。 ここで得た答えが、先を照らすと信じて…。さらに進んで行きたいと思います。 では、ここまでお付き合いいただきありがとうございましたっ。 ---- **コメント [#d4ed73f1] #comment ---- RIGHT:[[小説へ戻る>小説/長編]]
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[[小説/長編]] #setlinebreak Written by えむ ---- それは些細なことがきっかけだった。だがどんなに些細なことでも、受け止める側次第で幾らでもその存在感は大きくなっていくことがある。そして、イリアは何気なく聞いた「その一言」を深刻に受け止めていた。 そもそもの発端は、用事があってカラードへと出向いたある日のこと。その用事自体は、ちょっとした申請を出すためのもので、予定もなかったので休暇がてら、わざわざ直接カラードまで出向いたのであった。 基本、企業に所属しているリンクスがカラードの施設を訪れることは稀だ。イリアもまた例外ではなく、せっかくだからとカラードの中を見て回り、そして一休みするために休憩室へとやってきた。 一体何があったのかしらないが、ちょうど休憩室では一人の男がもう一人の女の人にアイアンクローをかまされているところであった。 「……過激なスキンシップだなぁ……」 微妙にずれた感想を抱きつつも、それを普通にスルーして自販機へと向かう。各種並ぶ飲み物の中から、メロンソーダを選び、それを手に空いている席へと腰を下ろす。 なんとなくさっきの二人組が気になって視線を向けなおしてみると、すでにアイアンクローから男は解放されたらしく、普通に話をしているようだった。別に他人の話を盗み聞きするつもりはなかったが、場所が場所なだけに筒抜けもいいところだ。もちろん聞かれてまずそうな話題ではなさそうだが。 話の流れからして、久しぶりの再会らしい。そして、女の方が男の方へと、「その一言」を尋ねた。 「なんでリンクスになったの?」 「……………」 偶然聞こえた問いかけ。それが自分に向けられたものではなかったとしても、聞こえてしまえば自分の場合はどうだろう…などと考えてしまうことがある。 イリアも例外ではなく、その問いを聞いた時、自分はどうしてリンクスになろうと思ったのだろうかと考えたのだ。なんとなく。だが、そこで気がついたのだ。答えが出ないことに。 どうしてリンクスになろうと思ったのか。なぜ強くなりたいと思うようになったのか。 「………」 とりあえず休憩室を後にして、カラードの施設の外。街の方へと向かうことにした。理由はない。ただじっと座って考えたら、なんだか気持ちがめげてしまいそうだっただけだ。 行き交う人々の中を一人歩いていく。行き先は決まっていないため、自分がどこを歩いているのかよくわかってすらいなかった。 物思いに耽ったまま、ただただ歩く。当然、周囲への注意も疎かになってしまうが、それがまずかった。 「きゃっ」 「うぉ…っ」 人とぶつかってしまったのである。 「あ…、ごめんなさい」 すぐに謝るものの、顔を上げてみれば相手は見るからにチンピラ風の男だった。しかも4人組。 直感的に、厄介なのにぶつかったと思うイリア。案の定、イリアの読みどおり、チンピラ風の男達はすぐに絡んでくる。 「おい、ごめんで済んだら警察はいらねぇんだよ」 「ちょっと待て。よく見たら、こいつかわいくね?」 「なぁなぁ、ちょっと俺らと付きあわねぇ?」 「…え、えっと…」 どう対処していいかわからず、その場でおろおろとしてしまうイリア。ネクストなんて代物を扱い戦場すら一応知っている身ではあるが、それでも中身は16歳程度の――多少独特の感性を持っているが――女の子だ。このような事態には慣れてすらいない。 困った様子で周りを見回してみるが、誰もが我関せずと言わんばかりに素通りにしていく。 「いいから行こうぜ~」 「絶対にイヤっ」 「ぬおっ?!」 チンピラ風の一人がイリアの腕を掴むが、イリアはすぐにその男を突き飛ばす。みぞおちに掌底で。 「がは…っ」 「て、てめぇ…。人が下手に出れば良い気になりやがって…!!」 「女だからって容赦はしねぇぞ!!」 イリアが反撃するや、すぐさま殺気立つチンピラ集団。理不尽にも程があるが、チンピラなんてそんなものである。 だがここで物怖じしてしまっては、ますます相手がつけあがるだけだと思ったイリアは、相手の威嚇に怯むことなく叫ぶ。 「う、うるさいっ。女の子だからって甘く見たら、ボコボコにしてコジマ漬けにしてやるんだからっ!!」 もうこうなったら徹底的にがんばるしかないと覚悟を決め、対峙する方向で身構える。 「おもしれぇ。やれるもんならやってみろ!!」 すっかり臨戦態勢となったチンピラ風。そして彼らが今まさにイリアに手を出そうと踏み出したところで――― 「おい、待てよ」 それを制止する声が響いた。動きかけていた時間が再び止まる。そしてチンピラ集団とイリアの視線が声のした方へと向くと、そこには一人の若い男が立っていた。 「女の子をよってたかって取り囲むとか。男としちゃあ見過ごせねぇな」 「何だ、お前は…!!」 「邪魔すんじゃねぇ、ひっこめ!!」 チンピラの一人が若い男へと殴りかかる。それを見た若い男の表情が引きつる。 「え?ちょ、いきなり?!待っ―――ごふぁ?!」 「あ……」 チンピラの一撃を食らって叩き伏せられる若い男。まさか助けに現れたと思われる相手が一撃でやられるとは誰もが思っておらず、その場の時間が凍りついてしまう。 「「「…………」」」 とりあえずはっきり言えることとして、誰もが次どうしよう…と言いたげな表情であった。 なんとも居心地の悪い独特の空気と沈黙がその場を包むも、その状況を打開したのはチンピラであった。 「ちっ、なんか興が冷めちまったぜ。おい、行こうぜ」 「ま、待ってくれ…」 イリアにやられた一人がよろよろと、歩き出す仲間の後について行く。そして、その場にはイリアとひっくり返った若い男が残される。 イリアはチンピラが立ち去ったのを確認するや、すぐに若い男の傍へと駆け寄る。状況はどうあれ助けようとしてくれた人には違いないのだ。 「ねぇ、大丈夫? 生きてる?」 「……うぅ…。…はっ!? …って、あれ? さっきの連中は?」 身体を揺さぶられること数秒後。意識を取り戻した男は、すぐに起き上がり周囲を見回した。そしてすでにチンピラがいないことに気がつく。 「なんか興が冷めたとか言って、どこに行ったよ?」 「…あ、そう。…あー参ったなぁ、格好悪いところ見せちまった…」 「そんなことないよ。助けようとしてくれたのは事実だし」 「そ、そうか?」 イリアの言葉に、ちょっとばかり嬉しそうな表情を浮かべる。そんな男の様子がどこかおかしくて、イリアは思わずその場で吹き出してしまった。 「…ぷっ。あはははっ。」 「な、なんだよ。笑うことないだろう」 「ははっ。ご、ごめん。なんかつい……」 どことなく不機嫌な表情に変わったのを見て、イリアはすぐに謝罪の言葉を向けた。そして、せっかくだからとそのまま次の話を切り出す。 「とりあえず、何かお礼したいな。ちょっと格好悪かったけど、助けてもらったことには違いないし」 「へ…?」 「うん、決めた。ジュース一本奢る程度だけど、お礼するね。ついてきて」 「ちょ、ちょっと?もしもしー!?」 イリアは有無を言わさず男の手を取ると、近くの公園の方へと半ば強引に引っ張っていくのであった。 そして公園の自販機前で相手に一つ選ばせる。どうでもいい話だが、彼が選んだのはコーヒーであった。ミルクと砂糖入りで。 「なぁ、いいのか? 自分で言うのもなんだけど、結局俺ってやられてただけの気がするんだけど」 「いいんだよ。私がしたいと思ったんだから」 男の言葉にイリアは気にすることはないと笑みを浮かべながら告げ、それからふと思いついたように一つ尋ねる。 「お兄さん、名前は?」 「俺? 俺はダン・モロって言うんだ」 「…ダン・モロ…?」 直接の面識はなかったが、その名前はイリアも知っていた。同姓同名なんてオチがなければ、彼は間違いなくリンクスのはず。そう思った次の瞬間、イリアは次の問いを投げかけていた。 「ダンさんって、リンクスだよね?」 「…?! な、なに? 俺ってそんなに有名なの!?」 「あ、そうじゃなくてね―――」 さらに嬉しそうな表情を浮かべるダン・モロの言葉を速攻で否定するイリア。その一言に彼はピシッと音を立てて固まる(ような気がした)。 「私もリンクスなの。名前はイリア・T・レイフィールだよ」 「あ、あの巷で噂の新人リンクスの?!」 「う、うん? ま、まあどんな噂かは知らないけど……」 ―――リンクス。それはネクストを動かせるパイロットのことであり、彼もまた自分と同じリンクス。そして少なくとも自分よりも先にリンクスになっている人物だ。それならば…と、自分の中でずっと引っかかっている質問を、目の前のリンクスであるダン・モロへと唐突に投げかける。 「突然だけど、ダンさんはなんでリンクスになったの?」 「…俺?」 「うん」 正直なところ、リンクスなら誰でも良かった。もちろん、答えを聞いたところでそれが参考になるわけではないし、きっと自分の答えが見つかるわけじゃないこともわかっている。それでも、イリアは聞いてみたかった。 そして、そんなイリアの問いかけに、ダン・モロは少しばかり空を仰いで、やがて声のトーンを落として小さく答えた。 「だって、ほら。ヒーローっぽいじゃないか、誰でもは動かせないロボットを動かせるパイロットだなんて」 「………は?」 その返答は、思ってもみないものだった。あまりに予想外な返事にイリアはぽかんとした表情で固まってしまったほどだ。 「セレブリティ・アッシュって言うアニメのヒーローがいてな。そういうのに小さい頃から憧れてたんだわ。で、ちょっとしたきっかけでAMSの適性があるとわかったものだから…な。まぁ、実際は凄く大変だけど、まぁ俺ほどのリンクスならどうってことないさ」 そう言って笑うダン・モロだったが、ちょっとだけその笑顔は引きつっているような気がした。どことなく強がってる気もしたが、今はどうでもいいことだ。 「イリアは、なんでリンクスになったんだ?」 「……っ。…それは……」 話の流れから来るのはわかっていたが、いまだ答えが見つからないイリアは、ダン・モロからの質問に対して言葉に詰ってしまう。そのまま次の一言が出てこなく、その場で俯いてしまう。 それを見たダン・モロは、何かまずいことでも聞いたのかと思い、慌てた様子でフォローを入れようと口を開いた。 「む、無理に答えることはないぞ?! 誰だって、聞かれたくないことの一つや二つあるものだからなっ」 「あ、そういうわけじゃないんだけどね…」 「あれ?違うの?」 「う、うん。…私は、なんでリンクスになったんだろうって考えたこともなくてね」 「ってことは、あれか? もしかして、そういうレールが敷かれてたって口? こうエリート街道まっしぐら、みたいな」 「どうなんだろう。一時期そういう環境にいたのは事実だけど…」 そこまで答えて、、イリアは少しだけリンクスになる理由が浮かばない訳がわかったような気がした。 かつて誰かが敷いていたレール。すでにその通りに進む義務はないが、当時の自分にはそれしか道がないとそう思い込んでいた。いや、今でもそう思っているのかもしれない。自分はリンクスとしてしか生きられない…などと頭のどこかで。 リンクスになる。ただ、それだけが自分の中にあって、それを目標に前へと進んでいた気がする。 ともかく、これではリンクスになりたい理由などあるはずがない。リンクスになること自体が目標だったのだ。だけど敷かれていたレールもそこまでしかなかった。その先の道は、何も見えない。 「…私、リンクスになって何がしたかったんだろう」 答えは出ない。かつていたあの場所でも、リンクスになった後のことは何も教わりはしなかったのだから。 そのまま、その場で押し黙ってしまうイリア。だが、そんなイリアの呟きを聞いたダン・モロは笑いながらに答える。 「そんなの今から考えれば良くね? 俺だって、独立傭兵でリンクスやってるけど。正直、リンクスになった後のことなんて考えてもいなかったし。先がどうなるかなんて、自分だってわからないからなぁ…」 そう呟いてダン・モロは小さくため息をつく。彼は彼で色々と思うところがあるようだが、それは本人ではないイリアにはわかるはずもない。 ただ―――彼の何気ない一言は、確かにイリアに影響を与えていた。 「……そう…だね。ないのなら、これから探せばいいんだよね。リンクスを続けながら」 リンクスになって何がしたいのか。自分はリンクスとして何が出きるのか。それを探すために、リンクスとしてがんばる。それも一つの手だと、そんな考えが浮かぶ。 でも実際にリンクスとしてどんなことができるのか。そう思ったイリアは、さらにダン・モロに尋ねていた。彼が言ったある単語が気になったのである。 「ところで、独立傭兵って何? 企業専属のリンクスとどう違うの…?」 「へ? そ、そうだな…。よくはわかんないけど、確か―――」 聞かれて、わかる範囲でぎこちなく説明を始めるダン・モロ。 正直、詳しいことは何もわからなかったが、それでも概要を掴むには充分なものだった。 ・ ・ ・ ・ ・ ・ そんなことがあって数日が過ぎたある日のこと。 「私、独立傭兵になりたい」 トーラス社長でもあるマティアスの元にイリアがやってくるなり、開口一番でこんなことを言い出した。 「そうか。がんばるんだぞ」 「は、はい…。って…へ?」 それに対し即答で答えられ、イリアの目が点になる。まさか、こんなにあっさり承諾されるとは思ってもいなかったのだ。いくらトーラス相手とは言え一筋縄ではいくまいと、当たって砕ける覚悟でいたのだが。 予想外の返事にイリアが呆然としていると、マティアスは不思議そうな顔を浮かべた。 「ん? どうかしたかな?」 「え、えっと。てっきりダメと言われるのかと…」 「ふむ。じゃあ聞くが―――。イリア君は、独立になったらトーラスの依頼は受けてくれないのかな?」 「そんなことないです。受けます」 「トーラスと他のところ、例えば複数の依頼が被ったらどうする?」 「え、えっと。やっぱりトーラス優先…かな。だってなんだかんだでお世話になってたわけだし」 「ふむ。ちなみに試作装備とか送ったら、実戦テストとかしてくれるかな?」 「や、やります」 「じゃあ問題ない。企業寄りの独立傭兵も結構いるし、トーラスよりのがいたって不思議じゃあない。あぁ、でも一つだけ条件がある」 ふとマティアスの表情が硬くなる。その表情に、イリアもどこか緊張した面持ちになった。 「インテリオルを相手にするような依頼だけは勘弁してくれ」 それに対する返事は言うまでもなかった。 そして1ヵ月と言う準備期間を経て。イリアは企業専属の身から独立傭兵へとその立場を変えることになった。 それがこの先どう自分に影響するかは見当もついていない。ただ企業専属の立場よりも、色々試せるのは間違いようがないのは確か。 そして実戦の頻度があがると言う意味で、強くなるための経験を積むと言う目的からしても独立傭兵の立場は、イリアにとっては申し分のないものであった。 ~つづく~ ---- now:&online; today:&counter(today); yesterday:&counter(yesterday); total:&counter(total); ---- **移設元コメント [#t79005b2] -えむ氏の前作と同じ世界感だと…ラインアークのアーリアと戦うはめになるかも -- 2010-12-06 (月) 16:21:50 -フランとレックスがいたような(いや、いたな) しかしさすがトーラス、引き止めも何もしなかったな -- 2010-12-16 (木) 07:05:08 ---- ☆作者の一言コーナー☆ イリア自分を見直すの回。何気に作者もイリアを見直すの回。 ちょっと思い切ったことをしたなと思うも、考えて上でやった後悔はしていない。 ここで得た答えが、先を照らすと信じて…。さらに進んで行きたいと思います。 では、ここまでお付き合いいただきありがとうございましたっ。 ---- **コメント [#d4ed73f1] #comment ---- RIGHT:[[小説へ戻る>小説/長編]]
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