前回までのあらすじ
クラインが引き起こした大破壊から半年。
鴉は激動の24時間を生き残り遂にインターネサインに突入した!
そして入り口を守るエヴァンジュを下し、通路を埋め尽くす特攻兵器を潜り抜け、
遂に最深部に突入し中枢を破壊したのだった!!

Written by ケルクク


<最後の鴉>第171羽 『告白』

「ラスト!!」最後のエネルギー供給装置をKARASAWAで撃ちぬく。するとインターネサインが徐々に光を失いってゆき、沈黙する。
「予想どおりね。施設機能は完全に停止したわ」
「これでクラインの妄念は絶ったわけだ。後は本人だけか」
「大丈夫よ。エドが調べてくれているしジャクも手伝ってくれる。いくらNBといえどもそういつまでも隠れていられないわ。
 とりあえず今は帰ってきて。お疲れさま。これでやっと・・・。
 まって!?何かが接近中!あれは・・・、さっきのAC・・・」
シーラの警告と共に鴉とは別のルートから侵攻していたファシネイターが降りてくる。
見ればコアが一次破壊している他はほとんど無傷だ。
「おまえか・・・、やはりな・・・。そんな気がしていた」
「ご挨拶だなジナ。にしてもあの化け物相手によくその程度の損傷で勝てたな。
 ジャックから説明されたパルヴァライザーのスペックはいつぞやの化け物ディソーダーや天使様に匹敵しかねないくらいにとんでもなかったのにな」
「お前は特攻兵器程度に随分と梃子摺ったようだな」
ジナイーダがボロボロのアナイアレイターを見て拗ねた様に訊ねる。
「殆どが入り口でエヴァンジェとやりあった時につけられたもんだよ」
「あの口先だけの男にそうもやられるとは腕が鈍ったようだな」
ジナイーダの失望したような口調に鴉は肩をすくめる。
「俺は元から強くないよ。それにエヴァンジェは強かったぜ?確かに最初はらしくなかったがな。
 でもドミナントへの渇望。戦術部隊体長としての誇り。そんな余計な虚飾を捨ててただのレイヴンに戻ったあいつは本当に強かった。
 それこそアークに入ったばかりのようにな。ってジナは当時のアイツの事知らないか。
 正直俺がここにいるのは前半のダメージがあったからだ。最初からあの状態で来られるか、あるいは最後までやりあってたら今ジナが喋ってるのはエヴァンジェだったろうよ」
「知ってるさ。ジノに次いで目標だったからな。でもそうか、最期にはアイツは鴉に戻ったのか。それは残念だ。ぜひ戦ってみたかった」
「そりゃお互いに不幸だったな。まぁ、ともかく帰ろうぜ?今日一日戦いっぱなしでいい加減疲れちまったよ。そろそろ羽を休めたい」
そういって帰ろうとする鴉をジナイーダが引き止める。
「待て、その前に私の話を聞いてくれ」
「あん?後でじゃ駄目なのか?」
「あぁ、今じゃないと意味が無いんだ」
「へいへい。じゃぁ伺いましょうかね。でも改まってなんだよ?もしかして愛の告白?」
「そうだ」
「嘘だろ!?」
ジナイーダは慌てる鴉を無視して自らの想いを確認するように言葉を捜し紡いでいく。
「私はずっと答えを追い続けてきた。
 私たちの存在…。
 それがなにを意味するのかこれでわかる気がする」
「?何を言ってるんだジナ?」
それは鴉に聞かせるためでない言葉の羅列。ジナイーダ本人しかわからない祈りと誓いの言葉。
それに何か嫌な気配を感じた鴉はファシネーターから距離をとる。
そんな鴉に気付いているのかいないのか。ジナイーダはただ自らの想いを言葉にしていく。
「おまえを倒し、最後の1人となった・・・」
「その時に!!」ジナイーダが叫ぶと共にファシネイターが飛翔しハンドレールを放つ。
それを避けた鴉が叫ぶ。
「くそ!嫌な予感が当たっちまったか!おいジナ!いつぞやの決着をつけたいんなら後でいくらでもシュミレーターで相手してやるよ。
 戦争がバーテックスの勝利で終わった今賞金が出る事はもうねぇ。俺達が命を賭けてやりあう必要はないだろ!!」
「理由ならある!私が追い続けていた答え、私が生きる理由を見つけるために私はここでお前を倒さなければならないんだ!!」
ジナイーダの想いに呼応するようにファシネイターが次々と攻撃を繰り出していく。
「戦闘は避けられないわ。迎撃して」
悲鳴のようなシーラの警告を聞きながらそれを紙一重で避けながらアナイアレイターはWC-IR24とKARASAWAを乱射する。
それを超機動でかわしさらに反撃にハンドレールは発射するファシネイター。
「ふざけろ!アンタにはあるかもしれないが俺にはないんだよ!」
アナイアレイターが敢えて避けれるハンドレールを避けずにWC-IR24を発射する。
「ちっ」迫り来るエネルギーグレネイドを避けようとしたがいつの間にか壁際に誘導されており避ける事が不可能である事に気付いたジナイーダが舌打をする。
「だから悪いが逃げさせてもらうぜ。抱いた女を殺す趣味は無いんでね!」
ファシネイターがエネルギーグレネイドの爆炎に包まれている間に脱出を図る鴉。
だがそれは
「理由ならあるさ。何故なら私を倒さないとクラインの元には辿り着けないんだからな」
とファシネイターから通信が入った事で足を止めてしまったため失敗に終わった。
「どういう意味だよ?ジナ、アンタ何を知っている?」
「簡単なことだ。私とクラインはパルヴァライザーを倒すまで共に行動していた。そしてパルヴァライザーを倒した後、クラインはパルヴァライザーの製造施設に向かった。
 私も詳しくは聞いていないが急いだほうがいいぞ。インターネサインが倒れるのはクラインの計画の内だそうだ。
 もっとも、その前に私の相手をしてもらうがな」
「くそ!半年間必死こいて探してた相手がまさかこんな近くにいるなんてな!灯台下暗しってやつかよ!!
 ジナ!アンタ、クラインが何をしたのかわかっているのか!!それにクラインに何を吹き込まれたんだが知らないがアイツはアンタの事を駒としか見ていないんだぞ!!!」
「奴の過去も目的も興味は無い。奴と半年間共に過ごしたのはそれが契約だからだ。私は奴を匿い、奴は私を鍛え上げるというな。今の私の目的は鴉、お前とここで戦うことだけだ」
「それがアンタがこの半年で急速に力をつけた理由か!そりゃぁNBにマンツーマンで鍛えられれば強くなるよな。くそ!でも契約というのならクラインと別れた今契約は終わっているんだろう?
 ジナ!アンタが俺と殺しあいたいって言うんならクラインの後にいくらでもやってやる。だからジナ、今は俺と一緒にクラインを倒しに、それが駄目ならせめて邪魔はしないでくれ。
 今クラインを止めないと半年前の悲劇が、いや下手をしたら二度目の大破壊が起きるかもしれねぇ!!だからジナ!頼む」
「断る。繰り返すが今の私の目的はお前と今ここで戦う事だけだ。それ以外には興味がない」
悲痛な鴉の叫びに淡々とジナが答える。
「何でだ!!アンタいつからそんなに物分りが悪くなった!俺の知っているアンタは確かにレイヴンである事に強い拘りを持っていたが決して道理の解らない女じゃなかっただろう!
 鴉としての誇りも人としての倫理すら捨て去って戦鬼にでも堕ちるつもりか!ジナイーダ!!」
「そうだな。確かに昨日までの私なら、いや半日前の私ならお前と一緒にクラインを討ちに行っただろうな。
 だが今の私は、お前と戦ってしまった今の私の目的はお前だけなんだ、鴉」
「ジナ」
淡々と語られるジナイーダの言葉。しかし鴉はその言葉の裏にどうしようもない熱を感じた。
「お前と戦った五分間は今までの人生の中で最高の時間だった。食事よりも恋愛よりも睡眠よりも遊戯よりもセックスよりも快感だった。それこそもう一度それを味わえるならこれからの人生も命も何もかも引き換えにしてもいいと思えるほどのな。
 あれから、お前との戦いが中断してからいつも私の頭の中にお前がいるんだ。食事中も仮眠を取っている時も他のミッションの時もクラインに抱かれている時もずっとずっとお前の事を考えていたんだ鴉。
 あの時こうすればよかった。次はこうしよう。鴉があの状況でこう動いたという事は、次に同じ状況になったらこう動くのだろうか?この手はお前に通用するか?お前はどんな予想外の手で私を追い詰めてくる?あれはお前の癖か?私の癖はどこまで読まれた?私はお前をどこまで理解できた?お前に私はどこまで知られた?
 そしてその度に私の身体は熱く火照るんだ。その疼きは幾ら慰めても!何度クラインに抱かれても!他のレイヴンと戦っても治まらないんだ。パルヴァライザーですら私を満足させる事はできなかった。
 でもお前は違う。今の僅かの交わりだけで私は三度もイってしまった。
 やはり私を満足させる事ができるのはお前だけだ!!お前だけが私を果てさせる事が出来る!!そして戦いの果て私とお前が一つになった時、私は追い続けたもの、私が生きる理由にきっと手が届く!」
冷静だったジナイーダの言葉と態度が罅割れる。そして砕け散って出来た穴から抑えようの無い灼熱した想いが溢れ出す。
溢れ出した想いに突き動かされるように、ジナイーダが鴉に想いをぶつけていく。
「だから鴉、私と戦ってくれ!私の火照りを静めてくれ!私の想いに応えてくれ!!私の在り方を変えた罰を受けろ!
 そうだ!ただひたすらに強くあろうする事を生きる理由とし、それを追い続けた私の在り方を変えたのはお前だ。
 だから鴉!お前は私と戦わなければならない!ただ力だけを求める純粋だった私を汚した責任を取れ!」
最後は懇願するように叫ぶジナイーダ。
その一途な想いはクラインを追い続ける鴉の想いによく似ていた。
その痛切な想いは鴉がクラインに抱く想いよりも純粋で殆ど愛といってもいいような想いだった。
「いいだろう!俺がアンタの想いを受け止めてやる。俺がアンタの望みを叶えてやる!!俺とこのアナイアレイターで!!!」
ジナイーダの想いに応えるべく、鴉は愛機に戦闘態勢をとらせる。
「ありがとう鴉。さあ教えてくれ!私の生きる理由を!さあ二人で探そう!私たちの存在の意味を!!」

ジナイーダの歓喜の叫びと共に、今まで幾度もすれ違いを繰り返した二人の、どこまでも似ているが決定的に違う二人の、二羽の鴉の最後の戦いが始まった。

<最後の鴉>第172羽 『ラスジナ①』に続く


「誰にでもできる簡単な料理の作り方始めるわよ。講師は私ことシャミア、助手はメイでお送りするわ」
「ふぃふぁふぇふぇ!!ふぃふぁふぇふぇ!!」
「今日の料理はハンバーグよ。入るものは小麦粉に玉葱に挽肉ね。挽肉以外は準備できているので、今から挽肉を作るわ」
「ふぁふふぇふぇ!!ふぇふふぇふぇ!!ふぇふぇふぇふはははい!!!」
「挽肉にしやすい脂肪の乗っている左腿の辺りを使う事にしましょう」
「ふぁぁぁああ!!ふぇふぇえ!!!」
「食ざ、じゃなかった助手も大賛成だそうよ。それじゃぁいくわよ!!そぉれぇえ!!!」
「ふぃぎゃぁああぁ!!」

*****  少々お待ちください  *****

「ダンと!」「エイプーの!」「「誰にでも出来る簡単な恋人への手料理の作り方講座!!!」
「え~、先程は電波が混在して大変見苦しいものをお見せしてしまい申し訳ございません」
「な、なぁ、今死んだシャミアとメイが映ってた気がするんだけど」
「はい!それじゃぁ、今日の料理はカップ麺です!!これを恋人もしくは恋人にしたい人にあげたら好感度急上昇の素敵な料理に変えちゃいますよ!!」
「え!?俺の意見無視!!無事なんだよな、メイ?…無事じゃないのか?…無事なんだろ?」
「まずは、愛情を籠めてお湯をそそぎま~す。と思ったら愛はともかくお湯が無かったので、お水を注いだ後レンジに入れて三分間チンします」
「ちょ!?そんなことしたら麺がふやけちまう!!お湯くらい沸かそうぜ!」
「めんどくさいからやです。ついでに残った汁でオジヤを作るためにパックご飯も一緒にチンします。はい、スイッチオン!!」
「オジヤって。そりゃよくやるけどさぁ。つーかこれのどこが恋人料理だよ。俺の普段の食事と変わらないじゃん」
「はい、ダン君のリンクスにあるまじき侘しい食生活が暴露されたところで、三分待つのも暇ですし愛を籠める踊りをします。これをすればノックアウトですよ!TVの前の皆も私のまねをしてくださいね。
 じゃぁ、いきます!
 まず最初に~、出来るだけ焦らしながら服を脱いでいきます!」
「ぶは!はっ鼻血が!!ってエイ=プールさん!いきなり何を!?」
「違いますよ~、私はエイプー姉さんです。リンクスなんかじゃなくてただの美人のお姉さんです。
 次に全部脱いだら、エプロンだけ着ます。
 はい!完成です!!」
「男のロマン!!裸エプロン!きたぁぁぁああぁああ!!!!」
「どうです、ダン君、好感度上がりましたか?」
「上がりました!!カンストっす!!カップ麺最高です!!」
「まだ食べる前にカンストするとは流石カップ麺!それでは実際に食べてもらいましょう!はい、ダン君」
「わ~い!ってご飯だけ!?カップ麺は?」
「お腹がすいたので私が食べます。なのでダン君はご飯だけです。大丈夫、おかずは私ですから。チラ」
「ぶは!!!はっはい!!これなら丼三倍はいけます!!がつがつ!!」
「若い子は元気でいいですね~。チュルル、ピラリ」
「ぶは!?…ガツガツ」
「チュルチュル、ムニュウ」
「おおおおおおおぉおぉおっぉおぉっぉぉおぉぉぉぉぉぉ!!!!!…がつがつ」
「チュルチュル。と、そうだダン君お願いがあるんですが、次のミッションでダン君を僚機で雇ってもいいですか?」
「いいですよ!セレブリティ・アッシュに任せてください!」
「ありがとうございます。では、取り分はダン君8、私2で弾薬費はダン君持ちで」
「ちょっと待ったァァ!!!5:5、いや4:6でいいですから弾薬費は各自精算にしましょう!!!」
「…ダン君。私ご飯を食べたら運動したくなっちゃいました。ちょっと隣の部屋で汗を流しませんか?それに運動したら蛋白質を飲みたくなるからダン君に飲ませて欲しいな?」
「そっそれってっももしかして!?」
「私汗かいたからダン君のミルクが飲みたいなぁ~。ほら私のこここんなに汗かいているんですよ、見てください、クパァ」
「よっ喜んで!!じゃっじゃぁ!早速!!!」
「焦らないでください。その前にこれにサインを。5:5で弾薬費はダン君持ちでいいですね?」
「ええ!なんでもいいです!!サラサラサラ~と。サイン終わり!!じゃぁ早く運動しましょう!!」
「がっついちゃ駄目。そろそろ友達がくるので三人で運動しましょう」
「え?友達?3P!?初めてがそんな特殊で大丈夫かな、俺」

「ダン!!アンタなんでこんなとこにいるのよ!今日は遊びにいくんでしょ!」

「げ!?メイ!!何でもお前がここに!?そんな約束したっけ?……うん!やっぱりしてないぞ!!」
「煩いわね!私がさっき遊びにいくと決めたのよ!!アンタは黙ってそれに従いなさい!!ほら!早く車出して!!一昨日嫌な夢みたからそれを振り払うためにも今日は遊び倒すわよ!!!」
「ちょ!?そんな横暴な!俺にも用事が!その、えーとあるような無いような」
「煩いわね!あんたの用事何かたいした事ないでしょ!まぁいいわ、一応聞いてあげる何?」
「そっそれはえーと、エイ=プールさんとその汗を流してって、いねぇ!?」
「誰もいないじゃない!!妄想もいい加減にしなさいよ!さあ!まずは折角の夏だし海に行って泳いだ後に美味しい料理とご飯をお酒を飲んだ後に夜の海をクルージングして、朝になったらまた買い物したり体動かした後は夜はカジノで派手に遊ぶわよ!!
 まずは海、じゃないわね。海に行くための準備をしないと。さぁ!買い物に行くわよ!!!」
「ちょっと、メイ!待てよ!俺の話を聞けって!待って!先に行くなよぉ!!そのプランだと寝る時間が無いしそもそも俺三日後にミッションが入ってって、お~い、待てよぉ~」

「ふふふ、二人はいったようですね。それにしても青春っていいですねぇ。
 それでは次回の『誰でも出来る簡単料理』ですがジャック先生をお招きして女体盛りならぬ男体盛りを作ります。楽しみにしていてくださいね?
 では、また明日~。講師はアナタの股間の恋人エイプーに、ゲストはヘタレダンでお送りしました~」


後書き
某所からの移送です。良かったら見てください


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